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【AIに物語りを作らせる!】 キャラ設定を作る。

前回「【AIに物語りを作らせる】 桃太郎をホラーにしよう。」という記事で、ChatGPT-4を使った桃太郎の続編(のあらすじ)を作っていきました。しかもホラーで。

今回は物語に必要なキャラクター設定をAIに作ってもらおうと思います。


今回はキャラクター設定についての予備知識的なものも紹介しています。
そこを景気よくすっとばして、いきなりAIのプロンプトが知りたい! という方は目次から「実際にAIにキャラを生成させる」へ飛んで下さい。



そもそもキャラクター設定って何?


小説にしても脚本にしても物語に登場するキャラクターは、多かれ少なかれ性格や背景をあらかじめ決められています(もちろん例外もあります)。

創作の世界では「キャラが全て!」と言う作家や編集者も少なくありません。主人公その他の登場人物が魅力的であればあるほど、読み手や観客も物語に引き込まれていきます。

逆に、キャラクターに魅力が無いのに物語は抜群に面白い、という作品はめったに見かけません。それほどキャラクターというのは物語の大事な要素なわけです。

たとえばあなたが一番好きなマンガ、映画、小説の主人公には、あなたを惹きつける特別な魅力はありませんか? 彼ら彼女らはどんな性格をして、どんな言葉で話して、どんな服を着て、そんな人生を背負っているでしょうか?  

それがキャラクター設定です。

「面白い物語を作って!」

とAIに指示しても、そこに魅力的なキャラクターがいなければ物語は面白くなりません。

しかし現状、ChatGPT-4では物語の製作を指示しても、キャラ作りまでは自動で生成してくれません。もしAIで物語を創作するなら、僕らがAIにキャラ設定を別途指示する必要が出てきます。


AIが作った桃太郎2イラスト。雉が2羽いるけれども。


「比較神話学」とキャラクター


このキャラクター設定はとても奥が深い作業です。なんなら「キャラ作り」をテーマにした書籍が何十冊も出版されているほどです。キャラ作りをどのように行うかは作家それぞれで、キャラごとに詳細な履歴書を何枚も用意する作家もいれば、たった1,2行のメモだけであとは原稿を書きながら考えていく作家もいます。

ではもしあなたが創作の初心者なら、なにを参考にすればいいのでしょう?

AIにキャラ作りをさせる前に、まずは前提として「比較神話学」の話をちょろっとさせて下さい。

「あ? AIの話じゃねーのかよ!」

唾を吐きたくなるのはごもっともなんですが(そんなに荒々しくないはず)、創作の助けになる知識でもあるので簡単にご紹介します。

世界では19世紀頃から物語に関する研究が進み、20世紀に入ってからは「比較神話学」という学問が生まれました。「物語」の構造について学術的に科学的に研究していく学問です。

名前に「神話」とついているとおり、この学問は世界中の神話を調べに調べまくって、その共通点を見つけ出し、整理していくところから始まりました。

なぜ神話なのか?

それは神話が数千年ものあいだ人々に語り継がれている最強の物語だからです(世界中でもっとも読まれている本と言えば「聖書」ですが、これも神話のひとつです)。

人類が生まれてから、数え切れないほどの物語が生まれているはずです。そのなかでも数千年に渡って

「この話おもろ!」
「このキャラ推せる!」

と思われ続け、いまだ現代に残っているものは神話と呼ばれるものだけ。20年前に流行していたけれど今では忘れ去られている、という一時的な流行ではありません。

数千年ものあいだ推されつづけてる!

そう考えると、その物語力、キャラ力ってすごくないですか?

神話には人間の本能が否応なく反応して、心に深く根ざしてしまうような強烈な刺激と構造があります(あるいはユングはそれを集合的無意識として説明しています)。最強の物語を作る、その秘密を探っていくのがこの比較神話学ともいえるでしょう。


……で「最強の物語」を作る秘密、知りたくない?


実際に「知りてぇ!」と思った青年がいました。彼は比較神話学の第一人者だったジョーゼフ・キャンベル(1904 - 1987)の授業に出て感銘を受け、その後に作った映画が空前の大ヒット! その作品は現在にいたっても新シリーズがまだまだ作られ続けています。それはご存知ジョージ・ルーカスの「スター・ウォーズ」です。スター・ウォーズ(特にEp.4~6)は神話の構造を完璧に保った作品とも呼ばれています。

比較神話学では神話に登場するキャラクターの種類が定義されています。どのような神話にも、似たような役割を持つ登場人物がいる。それを整理していくと、英雄、老賢者、戸口の番人、使者、変身する者、影、仲間、トリックスター、などにまとめられます。

神話のなかでも特に「英雄冒険譚(ヒーローズ・ジャーニー)」と呼ばれる王道タイプの神話では、上記の種類のキャラクターが活躍します。

もし興味があれば関連書籍をペラペラとめくってみてもいいかもしれません。
ジョーゼフ・キャンベルの本を源流として、創作の現場で使えるようにツール化したような書籍もあります。「セーブ・ザ・キャットの法則」や「ライターズ・ジャーニー」なんて有名ですね。


この桃太郎、こわい


既存のキャラを土台に使う


さて、ここからAIに話を戻します。

なんと、AIは比較神話学で述べられているキャラタイプ(アーキタイプと呼ばれます)を理解してくれます。すごくない? アーキタイプを指示することで、キャラクターを細かく生成していくことが可能です。

でも、細かく指示していくには、僕たち側にもキャラクターの特性を詳しく知っている必要がある。「戸口の番人」ってなに? 何する人? どんな特徴? どんな役割? に答えられなければ、戸口の番人を上手く作らせることができないというわけです。

そこで今回は簡単に、というか一瞬でAIにキャラクターを生成させる方法をご紹介します。(比較神話学を元に細かい設定を加える方法はまた別の機会にご紹介します)

ポイントは、既存のキャラクターを土台とすることです。

現代においても人気作品に登場する人物たちも、大まかに神話にでてくるキャラにタイプ分けできます。作品が人気なのはキャラクターが魅力的だからだし、魅力的なキャラクターの共通点は神話のキャラタイプに集約されている

なので、

「この物語にでてくる登場人物たちをベースにして各キャラを作って!」

と指示することで、小難しいキャラのアーキタイプなんてしらなくても、それぞれの特徴を持ったキャラクターを生成することができます。

たとえば進撃の巨人。

たとえば呪術廻戦。

アイアンマンでもバットマンでも、あるいは少女マンガなどの恋愛ストーリーからキャラクターを引っ張ってきても構いません。


で。
僕らが前回作ったのは「桃太郎の続編」です。ものすごく乱暴に言ってしまえば、この続編も主人公と鬼の戦いのストーリー。

ここはひとつ、主人公たちと鬼の戦いである『鬼滅の刃』に登場するキャラクターを土台に敷いてみましょう。相性が悪いわけがない。

いったん、前回AIで生成した桃太郎の続編を確認してみましょう。

かつて鬼ヶ島を制した英雄、少年桃太郎。しかし、彼が鬼を倒してから数年後、桃太郎の村に再び恐怖が訪れる。夜ごとに村人が消え、残されるのは血の跡と奇妙な桃の香り。

桃太郎は犬、猿、キジと共に再び立ち上がるが、彼らは桃太郎に重大な秘密を打ち明ける。かつて桃太郎が鬼ヶ島で倒した鬼たちは、実は呪いによって鬼の姿に変えられた他の村人たちだった。この事実に打ちのめされた桃太郎だったが、村を救うため、再び立ち上がる決意をする。

そこに現れる新たな味方、謎めいた青年月太郎。彼は桃太郎に協力を申し出る。一方、敵側には闇鬼が登場。彼は鬼ヶ島で唯一生き残った鬼であり、桃太郎への復讐を企てていた。

桃太郎たちは、闇鬼が引き起こす恐怖に立ち向かうが、物語のクライマックスで月太郎の衝撃的な正体が明らかになる。月太郎は実は闇鬼の弟で、桃太郎を陥れるために近づいたが、桃太郎との絆に心を動かされていた。

最終的に、月太郎は桃太郎を救い、自らは兄と共に消えることを選ぶ。これにより村に平和が戻るが、桃太郎は深い悲しみと孤独を抱えることに。彼はかつての鬼たちが呪われた村人だったという事実に苦しみながら、新たな伝説を刻むことになる。

【AIに物語りを作らせる】 桃太郎をホラーにしよう。


ここに名前の挙がる登場人物に、それぞれ性格を持たせていきます。


実際にAIにキャラを生成させる


本来ならすぐに

「『鬼滅の刃』の各キャラ設定を、さっき生成した物語に割り振って!」

と言いたいところですが、一足飛びに指示を出すと期待したものが出てくる可能性は低くなります。というのも、AIは一度に全ての答えを求めようとすると、アウトプットの精度にばらつきが生まれるためです。ここはAIの手を引いて優しくステップを踏んで活きましょう。

まずは、既存の物語のキャラクターの説明をいちどAI自身の手で行わせます。

「鬼滅の刃」の主たる登場人物の名前を10人挙げてください。敵役の名前も挙げてください。

人数を指定しないと3人くらいで辞めてしまうこともあるので、ちょっと多めに指示します。

『鬼滅の刃』には様々な魅力的なキャラクターが登場します。主要な登場人物といくつかの敵役の名前を挙げますね。

主要登場人物
炭治郎 (たんじろう) - 主人公である善良な少年。

禰豆子 (ねずこ) - 炭治郎の妹で、鬼に変えられてしまう。

善逸 (ぜんいつ) - 雷の呼吸を使う、臆病ながらも心優しい少年。

伊之助 (いのすけ) - 獣のような野性的な戦闘スタイルを持つ少年。

義勇 (ぎゆう) - 水の呼吸を使う、冷静沈着な鬼殺隊の剣士。

しのぶ - 薬を使った戦闘スタイルの女性剣士。

玄弥 (げんや) - 鬼殺隊の一員で、炭治郎の同期。

宇髄 天元 (うずい てんげん) - 華麗な戦闘スタイルを持つ音柱。

甘露寺 蜜璃 (かんろじ みつり) - 愛柱で、他人を思いやる優しい性格。

冨岡 義勇 (とみおか ぎゆう) - 水柱で、炭治郎にとって重要な存在。

敵役
鬼舞辻 無惨 (きぶつじ むざん) - 鬼の頂点に立つ、物語の主要な敵。

猗窩座 (あかざ) - 上弦の鬼の一人で、強力な戦闘能力を持つ。

童磨 (どうま) - 鬼の中でも特に残忍な性格を持つ上弦の鬼。

まずは、AIが把握している登場人物の名前が挙がりました。こんなところでよさそうかな、と思ったら次は彼らの性格を説明させましょう。料理をするように、ひとつひとつ段階を踏んでいきます。


上記13人のキャラクターの性格を詳しく教えてください。

即、ChatGPT-4が答えてくれます。

『鬼滅の刃』の上記13人のキャラクターそれぞれの性格を詳細に説明します。


主要登場人物

炭治郎 (たんじろう)
性格:優しく、心が強い。家族を深く愛し、他人に対しても思いやりがある。

禰豆子 (ねずこ)
性格:鬼に変わっても弟を守る強い意志を持つ。普段はおとなしいが、戦闘時は凶暴化する。

善逸 (ぜんいつ)
性格:臆病で泣き虫だが、本当は優れた戦士。女性に弱く、恋愛に関しては非常に奥手。

伊之助 (いのすけ)
性格:野生的で攻撃的だが、心根は素直。新しいことや変化に興奮しやすい。

義勇 (ぎゆう)
性格:非常に冷静で寡黙。自分に厳しく、他人への思いやりが深い。

しのぶ
性格:外見は穏やかだが、内面は冷酷。非常に賢く、鬼に対しては容赦ない。

玄弥 (げんや)
性格:無口で短気ながら、根は真面目。炭治郎たちとの交流を通じて徐々に変化していく。

宇髄 天元 (うずい てんげん)
性格:自信に満ちており、やや大袈裟な話し方をする。しかし、部下や家族を大切にする心優しい一面も。

甘露寺 蜜璃 (かんろじ みつり)
性格:非常に明るく、他人に対する思いやりが強い。恋愛に興味があり、可愛らしい言動が特徴。

冨岡 義勇 (とみおか ぎゆう)
性格:義勇と同一人物です。外見は冷静で寡黙ですが、内面には熱い思いを秘めています。

敵役

鬼舞辻 無惨 (きぶつじ むざん)
性格:冷酷無比で、自己中心的。自らの野望のためなら手段を選ばない。

猗窩座 (あかざ)
性格:戦いを楽しみ、強い相手に興奮する。傲慢だが、ある種の戦士としての誇りを持っている。

童磨 (どうま)
性格:表面上は穏やかだが、内面は冷酷で残忍。他人の感情をもてあそぶことを楽しむ。


かなり粗いけど、今回はこの粒度でよしとしましょう。

もうすこし細かい設定をしていきたいときは、AIにもっと細かくと指示していくことになります。たとえば「それぞれのキャラクター設定について○○○字で説明して」というような指示の仕方もあります。


で、いよいよここからが本番。
ここでAIに説明させた鬼滅の刃のキャラの性格を参考にして、「桃太郎2」の登場人物の設定を作らせます。


「桃太郎2」に登場する
・桃太郎
・犬
・雉
・猿
・月太郎
・闇鬼
・おじいさん
・おばあさん
・村長
それぞれのキャラクター設定を、上記の性格を参考にして製作してください。

注意事項
「○○のように」と参照元をそのまま利用するのではなく、あくまで上記性格を参考として、オリジナルのキャラクター性格を製作してください。

「村長」というキャラはこれまでの「桃太郎2」に出てきていませんでしたが、第三者のおっさんが一人欲しいな、と思って急遽付け加えました。この程度の無茶振りならAIはニコニコしたまま答えてくれます(たぶん)。

さて、ここで大事なのは、太字で書いた「注意事項」の部分です。

この注意事項を書いておかないと、AIは「炭治郎のように優しい少年」などという手抜きを始めます。あくまで「自分で考えろ」という点を強調する必要があります。

このような指示を行うことで、AIは鬼滅の刃のキャラをベースにして、現状の「桃太郎2」にちょうどフィットするキャラクターを生成してくれます。


桃太郎
性格:家族を深く愛する心優しい少年。他人に対する思いやりがあり、正義感が強い。過去の経験から内に秘めた苦悩を持つ。


性格:忠実で勇敢。いざという時は力強く行動するが、普段は穏やかで人懐っこい。

雉(キジ)
性格:誇り高く、少々気取り屋。しかし、危機に陥った仲間に対しては自己犠牲的に振る舞う。


性格:いたずら好きで好奇心旺盛。一見軽薄に見えるが、実は計算高く、戦略的な思考を持つ。

月太郎
性格:謎に満ちた青年で、表面上は冷静で控えめ。しかし、内には情熱と強い信念を秘めている。

闇鬼
性格:復讐心に燃える冷酷な存在。非常に知的で、計画的な行動を好む。しかし、過去の出来事に対する悲しみも持つ。

おじいさん
性格:穏やかで慈悲深い。村のことを第一に考える賢明な老人。何事にも冷静な判断を下す。

おばあさん
性格:温かみがあり、面倒見が良い。家族や村人を心から大切に思う。困った人を放っておけない性格。

村長
性格:村のリーダーとしての責任感が強く、公正な判断力を持つ。時には厳しい決断も下すが、村人たちの幸せを一番に考える。


一気にキャラクターの性格ができあがりました。

これまで平板だった「桃太郎2」のキャラクターの表情が少し見えてきた気がします。

今回は『鬼滅の刃』のキャラ設定を使いましたが、前述したとおり他の物語を土台にすれば、またまったく違うキャラクターが生まれます。

「このストーリーに、このキャラクターを掛け合わせてみよう」

思いついたらAIで試すことで、すぐにその印象を確かめることができます。
もし呪術廻戦のキャラを土台にしたら? チェンソーマンだったら? 推しの子だったら?
ぜひ様々なパターンで試してみて下さい。


次回は、今回作ったキャラクター設定を元に、「桃太郎2」のキャラを立たせて物語をリライトさせていきましょう。


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