見出し画像

ゴジラの記憶 #13 「ゴジラ対メガロ」

https://www.youtube.com/watch?v=OBHgwl1cb4A

公開は1973年。もう中学生だから流石にリアルタイムでは観てない。と言うかレンタルビデオが出てくるまで存在自体知らなかった。初めて観たのは、平成VSシリーズの頃。公開が近づくとその宣伝を兼ね、深夜のテレビでゴジラ特集をやっていてそれでだったと思う。ただ、平成VSシリーズの中のどれかは覚えていない。まあ、この映画はあちこちで言われているように昭和ゴジラシリーズの極北のような作品である。中野昭慶監督によれば、撮影期間は実質1か月無かったそうで、それでも特撮映画は作れちゃうのである。まあ、会社から言われりゃ作らざるを得ないのだろうけど。

でもこの映画は、敵怪獣のメガロより、ゴジラと共闘して戦うロボットのジェットジャガーの方が有名である。何か般若みたいな顔で、とても正義の味方には見えないのだけども、結構後引くキャラクターで、何年か前にやってたアニメ「ゴジラSP」でも重要な役どころで出ていた。しかし、地球の平和を守る気持ちがジェットジャガーの自我を目覚めさせ、巨大化するというのだから凄い理屈である。というか、そんな高度なことできるロボットには見えないんだけどなあ。大体何をさせるのかよく分からないロボットで、敵役に乗っ取られてメガロの道案内をしたり、正義に目覚めて巨大化する以外は、ただ人間に操縦されて歩いているだけだったもんなあ。まるで、二足歩行ができるペッパー君という趣だったのだ。

に、しても、自我に目覚めて巨大化するとか、言ってみれば人間のコントロールを離れて暴走しているだけじゃないの?と思ってしまう。日本のSFに出てくるロボットにはこのように勝手な行動(それが人類の為だとは言え)をとるものが結構いて、アトムからエヴァまでつながる日本のロボットの伝統なのかも知れない。これが例えばアメリカのSF映画だったら、例えば「ウエスト・ワールド」ではロボット(アンドロイド)が人間に反乱を起こすけど、あれは機械的な故障とかバグとかが原因だったように記憶している。ターミネーターT800はご存じの通りプログラムを書き換えることで敵にも味方にもなるし、高度な機能を持っていたとしても所詮機械なのだ。まあ「ブレードランナー」のレプリカントのような例外はあるけど、あそこまで行くと、ロボットというよりは人造人間と言った方がよく、機械っぽい感じがしない。このあたり、日本と欧米の文化の違いというのもあるのかも知れない。ちなみに、レジェンダリーの「ゴジラVSコング」では暴走ロボットが出て来たけど、これはこのシリーズ自体が日本の特撮映画の強い影響下にあるからだろう。操縦していたのも日本人だったしw

「ゴジラ・ミニラ・ガバラオール怪獣総進撃」は妄想癖がある子供を主人公にした児童映画とすれば、まあ観れるが、「ゴジラ対メガロ」は、昭和ゴジラシリーズが行き着いた最果ての地として観るのが正しい。それでも、中野監督もおっしゃってるように、乏しい予算の中で一点豪華主義で撮影したダムの破壊シーンは見応えがあるし、ライブフィルムが多用されているため、「サンダ対ガイラ」等、東宝特撮の名場面が1本の映画で観られるという不思議な楽しみ方もできる。まあそれにしても、凄いニッチな楽しみ方ではあるが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?