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差し出がましくも問わず語りに      〜朝倉未来後[4]真剣、本気、一生懸命

*格闘家の皆様におかれましては肩書、敬称を省略させていただきました。またYouTube朝倉未来チャンネルに演者として出演するメンバーは番組内での呼び方「君」付けをお許しください。以上、ありったけの敬意を込めて。RIZINの盛栄を祈念しつつ。

-----朝倉未来に思うこと-----

「差し出がましくも」朝倉未来に不安を抱いている所は、明らかに影響を与えた格闘家たちがトラブルを起こし、呼び寄せた新人たちがあまり活躍していないように見えること。偶然ではないと思います。解析と言っても所詮素人の戯言だけれど、トレーニング設備の揃った旧ソ連下にあったダゲスタン共和国やチェチェン共和国に見る、侵攻や紛争に明け暮れた地で育まれた格闘家の強さが比類ないように、普通の生まれ育ちでは不可能なほど独立自尊精神を宿す貴方だからこそ成し得る『強者の流儀』(朝倉未来著 出版:KADOKAWA)。自分を知悉し、己が性分に特化した他人に依存しない成功物語なのです。努力は当然として出した結果をなぞるではなく、その人の持ち味のまま良い結果へ導く思考論が必要です。
もうひとつ。礼儀正しくは見えないが、偉そうにしているようで人の誇りを傷付けない心遣いは素敵。誇りを微妙に揺さぶりながら誤解を解き、望ましい方向へ引っ張っていく力量。しかしそれが仇にもなっていること。
相手がその道のプロであれば、何かで失敗しそうでも忠告めいたことはしない。社会的上下はあれど人として常に対等でいたいから。
本気を出す人、勇気のある人が大好きだが、楽しようとする人、言い訳がましい人、特に曲学阿世の徒は苦手のようです。
                               以上                         
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<本文>


人(YouTuber)として格闘家として朝倉未来の真贋を見極めようとすれば、「ヤラセ」と演出の許容範囲(アンチに理解してもらいたい部分)について考える必要があり、また、使う語義が国語辞典的でなく原意に近い(後述します)ことも指摘しておきます。そこで今、真剣、本気、一生懸命(全力)の違いを、「真剣勝負」が意味するものから見ていきましょう。

真剣勝負とは

(実力拮抗の場合)

甲冑や防具を着けずに真剣(打刀)での果し合いをイメージしてください。練達の闘いは初太刀かその対応まで返し刀まで、一足一刀の間合いから踏み込んだら一瞬。鍔迫りになっても帰趨は決したも同然とされます。互いの間合いに入るまでが事実上の勝負。何より決着するまで危険極まりない。木刀に持ち替えた「木刀勝負」があるとすれば、顔面を守り、突きを警戒し胴に2、3発打ち込まれ打撲、運が悪けりゃ骨折ぐらいで死にはせん。突っ込んで相打ちに持ち込めるか。真剣と木刀では危険度が決定的に違うのです。
天下泰平の江戸。概ね町道場では木刀寸止めで稽古をしていたようです。後になるほど防具竹刀を使う流派が増えたそうですが、木刀で打ち込む実戦稽古を標榜する流派は怪我人続出。道場生が稽古を休む、来なくなるで、寸止めに成らざるを得なかったと。真剣で闘った経験のある師匠筋は「木刀如きに音を上げるようじゃ、本番じゃ使えん」と嘆いていたそうな。
今、縦長の線分上に剣術果し合いの危険度最高を真剣レベル、その下に木刀レベル、竹刀レベル、ずっと下がって最低安全レベルの区切りを付けるとすると、ステゴロ・タイマン勝負の場では真剣と決闘、木刀とMMAが対応すると考えて差し支えないでしょう。(本気図参照)
そのとき、RIZIN がファンに約束し、出場選手が誓う「真剣勝負」には、選手本人がリングに立つことによる心理的プレッシャー(場の空気も含まれる。危険度は相手との強弱によって大きく変わる)に加え、負けたとき失うもの(表示していない)の大きさがのしかかる。決闘より小さくMMA試合以上のプレッシャーを受けて闘う気持ちを「真剣」と言っているが、実際は「本気」の意味だ。殺し合いでないから少しなら相手の攻撃を喰らう余裕があり、従って「際の攻防」に習熟していればタックルも狙え、予め勝敗を決めない「申し合わせ」まで可能だ。強い方はさらに余裕があるから、素人相手の「茶番」試合でも横綱相撲を取ることができる。わざと試合を引き伸ばしたり、レベルの低いエンタメでなければよく、漬け続けて判定勝ちを狙って構わないが、絶対勝つつもりで、ファンの望む立ち技でのKO決着があってもよいと思う。漬けずに極めに行き、極めきれず逃げられたら立ち技に戻るから、それもありか。
本気図。実は相手が好敵手の場合を描いてある。「おぬしも中々やるな」の状況だ。相手が弱いときは緊張しつつ余裕綽々、強いときは恐怖との闘いになり緊張感が半端ない。料理人が素早く自由自在に包丁を扱うようなものだ。一生懸命とか「全力で」は、試合中我が身の安全が保障された闘いでの頑張り具合、自己申告ベスト。心身両方にリミッターがあって、巧く外す訓練をしていないとそうそう本気にはなれない。意外にお手軽な方法はギャンブルだ。決してお勧めはしないが。安全な闘いの本気度は、本人にとって負けて失うものの大きさと、負ける可能性の高さで決まる。味わいは、そこそこの時間、実力勝負と思いたいが運だとも言いたくなるぐらいの、プロセスを楽しめる勝負が深い。短時間にベットを延々繰り返すゲームは抜け時の判断が難しく、畢竟強い者が勝つ。飽くまでファンタジーだが、味わい深いゲームに今月の家計費相当額ぐらい賭けてみよ。本気気分になる。指一本とか(以下自粛)。
安全でない本気の出し方はYouTube佐山サトル氏の修斗合宿風景や極真会館時代大山茂師範(今は故人)の特訓等を見れば納得してもらえるかもしれない。RIZIN榊原氏がファンに言うところの「真剣(=本気)勝負」は、マッチメイクから始まり、大会決済終了まで一連のOUTPUTを指し、見せるのは試合前後の告知情報・配信動画とリング上の闘いだ。一出場選手に限ると試合開始のゴングが鳴るまでの駆け引きは伝えない。

シバター戦~八百長か

八百長発覚と騒がれた昨年末のシバター戦は、結局お咎めなし(YogiboMAXが送られてこず、confession出演シーンが消されていたと嘆いていたが、大会スポンサー企業が提供を拒否したせいだろう)で、「やはりRIZINはそういう団体なんだな。分かっていたけど」と一切のヤラセを許さない格闘技ファンを得心させた。
しかし、昨年大晦日のシバター戦は有料試合として成立しているし、「申し合わせ」発覚後の「シバター処分せず」は妥当だと考える。
まず、シバターにオファーが来たのは、実力的にはRIZINナンバー大会にMMA選手として出場するレベルにないが、面白い試合をして視聴率が稼げる、闘えるプロレスラーだからだ。前回のHIROYA戦の実績はあるものの、
結局バレバレの同じ作戦以外に勝機はなく、しかも相手がK-1時代トップレベルの久保優太では健闘する以前に、コアな格闘技ファンの期待通りボコボコにされるのがオチだ。
とすれば司法判断に委ねられることなく、RIZIN出場契約を適用できない形で、相手に八百長を持ち掛け、台本破りをすればよい。プロレスは合法。八百長なしの真剣勝負は契約書提出前であればRIZINが勝手に掲げている「掟」に過ぎない。八百長とは予め勝敗が決まっていることを言い、そうでなければ「申し合わせ」だ。

残る問題は、如何にして契約書提出を遅らせ、相手に台本を呑ませるか。

試合一週間前に久保選手に電話をし、「かなり身体を痛めていて、本気で闘われたら回復不能の障害を負ってしまう」旨八百長話を持ち掛けた。電話でのファースト・アプローチは有効な証拠を残さないためだ。無視されても着信記録は残る。これなら「挨拶目的だったけれど、一週間前でもいけないんですか」で済む。無事繋がり、ストレートに八百長を持ち掛けるがまさか録音されていて、試合後公開されるところまでは読んでいなかっただろう。勝機を見出せず、台本通りになっていたらアウトだった。2回目、最後のアプローチは提出前でLINEだったが、そのときは勝敗を約束しておらず「申し合わせ」の証拠に過ぎない。途中、「本心から闘うのが怖い」「それでもRIZINは出場させるのか」アリバイ動画、煽りVをせっせと配信していたから大したもの。まんまと久保選手は絆されてしまったが、悪事を為す場合、リスクに見合う現金を手にするまで信用するな、が鉄則だ。取り返されないことが確定するまでとは敢えて言わないけれども。途中、久保はRIZINサイドに相談したそうだ。テレビ局側の要請もあって今更試合を中止する訳にはいかないし、都合いいことにお金を受け取っていないから、ある程度まで台本通りなんてくれぐれも疑われないよう1Rでボコボコにすればよい。久保は確約。表沙汰にせず勝てると踏んだ。読みが浅い。相手もあちらの世界のプロだからという信頼があったのだろうが、「人間のクズ」を芸風にする「物申す」系YouTuberだと言うことをご存じなかった。
シバターの身体を気遣ってだとしても八百長がいけないことぐらい久保でも分かる。ならばRIZINサイドに何らかの打診は行くはず。RIZINが中止決定しない理由があるとしたらシバター動画は試合を盛り上げるための煽り、さすがにRIZINの信用を傷付けてまで八百長はしないだろうと判断し、久保が台本破りをすれば恙なく終わると。

シバターは久保とRIZINの受け止め方、感触の違いに気付いていた。

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