見出し画像

差し出がましくも問わず語りに        〜朝倉未来 後[2] 彼氏へのお願い

*格闘家の皆様におかれましては肩書、敬称を省略させていただきました。ありったけの敬意を込めて。RIZINの盛栄を祈念しつつ。

前記事で書いた「結果としてその道で成功した人」とは、皆と同じ「やり方」で競い合い、誰よりも努力したからこそ、その道で一握りの「勝ち組」となったように見える人を指し、言わば「運の良さ」、例えば1000人に1人、0.1%類稀なり、です。

他方「成功するべくして成功する人」朝倉未来は、古今の成功哲学を俺流にカスタマイズしつつ、入った世界の内外に適用し、日本の格闘家として実力はトップクラス、(YouTube関連事業等を含めた)総収入ベースで間違いなく成功者となっています。「成功するべくして」の人が10人いたら7人は成功、成功率70%てな具合。全国オーディションより、腕っ扱きのスカウトマンに掘り出し物を期待したほうがヒット率が高いのと同じで、新人が強引に売り込んできても相手にしないほうが得策という訳です。

どこがどう違うのか。

彼の著書『強者の流儀』(株式会社KADOKAWA発行)は朝倉未来へのインタビュー取材を元にライターが書いた、優男が分かりやすい人生訓を笑顔で垂れる風な体裁で、如何にも売れ筋な本。彼を知らない方、特に女性にはオススメです。しかし、コアな朝倉ファン、朝倉アンチに対して。また、自ら望んだ真剣勝負の魅力を伝え、若者を格闘技界へ誘う説得力はない。その点物足りない。爪牙を抜いた虎を、猫に見立てて可愛がる程でもあります。爪を見せてほしい。牙を出してほしい。怖さを知りたい。

---(挿入文)---朝倉未来氏へのお願い------

拙文ですが、貴殿の許可なく論評すること、そして本稿から各記事後半を有料化することお許しください。上記ご著書への批判過ぎました。申し訳ありません。しかしながら、わたくしが思うに貴殿RIZIN引退後、日本格闘技界への功績として人々に記憶されるものは、強く格好よく集客力抜群の選手でYouTuberとしても成功し大金持ちになったこと、実際はそれ以上の波及効果の大きさ「格闘技界を盛り上げた」ことでしょう。

けれども、榊原氏率いるRIZINという舞台に立ち、今後貴殿を越える人はまず出ない。外形は真似できても「成功するKNOW-HOW」は掴めない。差異化のためか開陳もしてくれない。明らかに影響を受けたり真似する格闘家やファンにトラブルが目立ちます。理由は例えば「責任のある自由」と仰るとき「責任」の意味を理解させていないところです。

貴方の原動力であり、称揚する「勇気」も「智慧」を伴ってこそ結果を良くする。無謀は「凄いけど(電車内喫煙事件のツイート)」。となると「見返り」を最大にするリスクの取り方、それを実現する智慧の出し方、智慧を磨く日常的方法論。わたしはそんなことをいつも読み取ろうとしていますが、驚くのは試合中の闘い方と普段(配信動画)の思考が一致している、大まかな作戦を立て、使用技は入念に訓練しつつも臨機応変、ほとんどアドリブだということ。台本は棒読みアクションは俳優に敵わないが、その場で思ったことを口にするリアルファイトならば「余人をもって替えがたし」。

「責任」に話を戻して。したいことをして結果が悪ければ「自己責任」ですが、何かをしなくても、まんまと騙されても(アドバイスに従った)、知らなかった、誰も教えてくれなかったとは言えず、すべて「自己責任」。独立自尊の覚悟(発想の転換)を持ち、それを「自分にとって当たり前」に生活する人が前提になります。道徳を守り、組織に属して上司の命令に従い、配慮や忖度、礼儀を忘れず、協調性のある覚えめでたい「生き方」、全身全言動に保険かけた安全人生を選ぶほうが賢明ですが、うまく泳いでも本業では金持ちになれず、自由の身ではなく。雁字搦め。

娑婆に疎い選手は格闘技外のビジネススキルが不足しがち。他者に依存せず自分で考え、自己責任ですべきことを見極め、足りないスキルは外部調達する必要も出てくるでしょう。

最後に。
欲得抜きの誠意は通じる、それが誠意ならば受け止める。真心はきっと届く、心の琴線に触れて響き合う。
「天道様が見てる」とか「恥の文化」を誇りに思う日本人は少なからず「人に真心=誠意がある」と信じている。期待はいつも儚く裏切られるが。「金で買えないものがある」「金に魂を売りたくない」と信じたい。本当は「誠意は誠意」「カネはカネ」この順で切り離してマッチメイクするからサプライズになるのだけれど、動画で現生の受け渡しは見たくない。況や損得勘定に秀でた格闘家においておや。
「金で動かない」誇りを、それを見て得心する人の気持ちを忘れないでください。擱筆。

-----------------------------------------

以下、本稿の続き「朝倉未来 思考の来歴」です。

ここから先は

1,490字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?