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マーケティング支援会社がクライアントの組織課題を無理に解決しなくても良い

マーケティング支援会社によって考え方は様々ですが、中小企業やスタートアップよりも大手企業(JTC)のほうが予算も案件規模も大きいですし、大手企業との取引は自社のブランドにもなるので、大手企業を中心に取引している支援会社は多いと思います。特に総合代理店などはほとんどがナショナルクライアントとの取引でしょう。

一方で、大手企業になるほど組織課題も大きくなります。特に、前の記事で説明したような過去の因習による組織課題が顕著です。

  • 事業成長を原因とする組織課題

    • (例)事業の成長にメンバーのスキルが追いつかない

    • (例)新規事業に最適な組織構造になっていない

  • 過去の因習を原因とする組織課題

    • (例)派閥による対立が強く、社内の連携が悪い

    • (例)失敗を低評価する社風により、社員が挑戦しない

    • (例)異なる社風の会社が合併したため、社内の仲が悪い

支援会社からすると、本来は企画や施策、クリエイティブを作りこむことに時間を使いたいはずですが、

  • 今までの延長線上に無い新しい施策をやる必要があるのに、クライアントが失敗を恐れる社風のため了承してくれない

  • 営業とマーケティングを横断した施策を行うのに、営業部とマーケティング部が互いに無関心

など、後者の課題を抱えるクライアントでは組織課題がボトルネックになり、施策を推進するためにまず組織課題を解決せざるをえないということになります。マーケティング支援会社のはずなのに、組織開発の支援会社のような動きを求められることになります。

ここからが私見ですが、クライアントの組織課題を外部から解決するのは限界があると私は考えています。その理由は以下です。

  1. そもそもクライアントが組織課題を解決したいと考えていないことが多い(支援会社がそう考えているだけ)。クライアント自身が変わる意識が無いなら無理。

  2. 1をクリアしたとしても、「施策の推進がメインミッション、組織課題がサブミッション」ではコミットメントが弱すぎて途中で挫折する。組織改善をメインミッションにするだけの強いコミットメントがクライアント、支援会社ともに必要。

  3. 前の記事で説明した通り、過去の因習は何十年と何十年と積み重ねてきたものなので、5〜10年という長期スパンで取り組む必要があるが、マーケティング支援は半年や1年スパンの契約更新が多いため、長期スパンで取り組んでいる最中に契約を打ち切られるリスクがある。

私自身、過去に大手企業の人材育成や組織改善などを支援したことがありますが、成功したケースはいずれもプロジェクト当初から「組織課題の解決」をメインミッションに据えており、クライアントが強い問題意識が持ち、中長期的スパンで取り組む姿勢を持ったものでした。1〜3の条件がどれも揃っていたわけですが、そうではないものは全て失敗しました。組織課題の解決は軽いコミットメントでやるものではないということですね。

こうした理由から、私は支援会社がクライアントの組織課題を無理に解決しなくても良いと考えています。言い方は悪いですがトリアージのようなものであり、組織課題が大きいクライアントは諦めて、より組織課題が小さいクライアントにフォーカスして、企画や施策面で支援したほうが良いのではないでしょうか。

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