3)タープでもいい。

キャンプの好きな瞬間に「タープを張り終えたとき」というのがある。わが家で使っているタープはシンプルなヘキサゴンタープといわれるもので、六角形の布を二本のポールでひっかけただけのものである。ロープでピンと引っ張られた布が雨や日差しから守ってくれる空間を作る。「最も軽量でシンプルな建築だ!」とキャンプ場では思えてくるから不思議だ。もちろん、タープやテントは建築基準法上の建築物ではない。
タープといえばこんな話もある。結婚する前に仲間で泊りがけの音楽フェスにいったのだが、(2000年代のメタモルフォーゼというイベントだったと思う。)まだ「フェスリテラシー」も高くなかったころだ。友人たちはブルーシートと銀マットをもって登場した私を笑ったが、ブルーシートをそこいらの木に結び付けてタープにした姿をみて、当時彼女だった妻は「結婚するならこういう人がいい」と思ったという。(という。)結婚を目指す若い人は覚えておくといい。家を作ってくれる人は結婚できる。ブルーシートでも大丈夫。


今回の非常に厳しい建蔽率を考えたとき、「リビングは別にタープ下でいいんじゃないかなあ」とふと思いついた。ダイニングや寝室などのそのほかの機能は狭い家にいれる。一番大きく取りたいリビングだけは外に出す。あんまり風に吹かれるのも嫌だし、周りに壁をたてて中庭ということにしよう。ふむふむ。なかなかいい思いつきかもね。ちょっとスケッチを描いてみよう。出張の帰りの飛行機でノートに描きなぐった。リビングだからテレビやピアノも配置しよう。でも濡れると困るし扉の中に入れよう。まあ、しかし、妻は反対するだろうね。いや、してくれるといいな、いや、されないと困ったことになるぞ、とすら思った。

「この新築案いいかもね!」妻は乗り気だった。無理もない。ブルーシートにビニールひもでよかったのだから。
 タープやテントは建築物か否か、という境界線の問題は実はあいまいだ。基準法によると「簡易な日よけは除く」としか書いていない。巻き取り式はよくて蛇腹式はだめ等、基準はあるようなのだが、今回は「日によってはちょっとした日よけとして利用できる」と考え、基本的には中庭からはジェームス・タレルの作品のように中庭からは空が見えるようにする。雪が降ったらリビングから雪越しにテレビを見るしかない。

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座二郎

z-house 自邸の設計

自邸を建てることになったので備忘録をかねて考えたことをメモしておきます。
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