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読書メモ:エンジニアリング組織論への招待

ちょっと前に「エンジニアリング組織論への招待~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング」を読んだので、感想をポストします。

この本を読もうと思った理由

本を読んだきっかけは、書籍の紹介ページに載っていた序文を読んで、これはちょうど自分の求めていた内容が書いてあるのかもしれない、と思ったことです。

こんな内容です。(引用)

そして,問題解決のためには,コードだけでなく,人々の思考・組織・ビジネスの「構造」こそリファクタリングしなければいけないと考えるようになりました。それこそがエンジニアリングの本質なのだと気がついたのです。

私の前々職と前職はそれなりの規模のエンジニアリング組織がある会社に所属していて、開発者もそれなりに多くの人数がいました。会社自体も、小さい会社ではありませんでした。

その中で常に課題に感じていたのは、結局のところシステムのエンジニアリングだけで解決できる課題は思ったほど多くなく、ビジネスや組織の構造にまでスコープを広げてエンジニアリングし連動させていかなければ、本質的な課題解決・ユーザー体験の良化は達成できないのだ、ということでした。

この本に書かれていること

この本で一貫して書かれていることは「不確実性をどうやって削減していくか」ということです。

最近、社内でも口癖のように「だいたいの問題は、わからないことから起きている。だから、わかるようにするのが大事だ」と言い続けていたので、個人的ににピタリとハマるテーマでした。

全体的に、システムのエンジニアリングについてというよりは、エンジニアリングの力を正しくビジネスに反映していくために、ビジネスモデル・組織・人と人の問題をどうエンジニアリングして解決していくのか、それがなぜ必要なのかという視点の話が体系的に整理されて書かれています。

同様の気づきや課題感を持っていて、実際にこの問題に真正面から取り組んでいる人にとっては、非常に頭の中が整理されるような、最良のパートナーになる本だと思います。

タイトルはエンジニアリング組織論への招待ですが、不確実性への対処という意味では、UXやデザイン思考の文脈にも近しい部分があるような気がします。

これからは、エンジニアリングはほぼ全ての企業のコアになっていくはずなので、エンジニアリングの問題は会社の問題と言っても過言ではないです。そういう意味では、技術サイドではない経営レイヤーの方にもオススメできるのではないかなと感じました。

その他の感想

個人的に、データサイエンス出身であったり、マーケティング(広告運用)出身のプロダクトマネージャーに対して、改善施策が小さくまとまりがちな傾向があるなと感じていたのですが、それについても「経験主義」や「帰納法と仮説法」のようなワードでスッキリ整理がつきました。要は不確実性をどう扱うかのクセの違いなのだなと。

今チャレンジしていること

これまでの経験を踏まえて、今の会社でやりたいと思っているのは、エンジニアが単にソフトウェア開発技術を行使してシステムを開発するというだけに留まらず、サービス全体のUXをエンジニアリングすることを目標にして、そのために組織構造やビジネスに課題があるなら、それすらもエンジニアリングして解決していく、そういう技術組織をつくることです。

「エンジニアリング組織論への招待」の内容は、まさにドンピシャでした。

このあいだ同僚の疋田がWantedlyブログを投稿してくれたのですが、その中にいいことが書かれていたので、こちらに引用します。

COUNTERWORKSのエンジニアはプロダクトマーケチームのメンバとして動きます。作る専門って感じは全くなく、ユーザに提供しているサービスを取り巻く、あらゆる要素の中に存在している課題を解決し、ユーザに最高の体験を届けるのがCOUNTERWORKSのエンジニアなのかなと思ってます。
課題はユーザに直接関係していることから、内部フローの話まで様々です。実際にユーザにお届けできている価値はその中の一部分であり、結果に過ぎません。そのプロセスの中に潜む課題を技術を使ったり、使わなかったりして解決するのが僕たちです。

これを目指していきたいと思います。


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