見出し画像

20050404 ほめ殺し

 「ほめ殺し」という言葉の意味は「相手を褒めちぎって油断させて、不利な立場にさせたたり、自分を有利な立場にする技」と思っていた。「褒めて油断させる」ことがほめ殺しの肝心な点で、褒めることそのものには意味はない。

「センセイ、ホントに素晴らしいお出来ですね。今まで色んなものを拝見させて頂きましたが、イヤ、これ以上に見事なものはございませんよ」
「でへへ、そうかな」
 褒めちぎられたセンセイは、これ以降努力するのを忘れてしまい飽きられて、いつしか誰にも相手にされなくなりました。

というのが「ほめ殺し」であって、相手に分かるのは自分がただ褒められたことだけで、その意図が慢心させて自ら破滅するのを待っているとのである。

 かって竹下元首相$${^{*1}}$$が皇民党事件$${^{*2}}$$で「ほめ殺し」に遭ったと言われた。この時、これが「ほめ殺し」と言えるのかと思った。攻撃の対象となった竹下元首相は褒められている意識が全然ない。ほめ殺しが恐ろしいのは、褒められてそれに油断した相手が自らの立場を不利にしてしまう点である。ただし相手が「ほめ殺し」と判った時点で「ほめ殺し」としての技は効力を失う。竹下元首相の場合は最初からそれが判っていた訳だから、それは単なる「皮肉」である。この事件から「ほめ殺し」の意味が歪んだ$${^{*3}}$$ような気がする。

 大抵、ほめ殺しは何らかの勝負をしている相手に使う。相手より自分が有利な立場になるために使う技である。ところが最近は、そもそも相手が不明確な場合にも使われているようだ。これ$${^{*4}}$$やこれ$${^{*5}}$$などの書名はどういった意味で「ほめ殺し」という言葉を使っているのだろう。「褒めちぎり」の間違いか。

*1 竹下登 - Wikipedia
*2 用語解説-政治 ☆日本皇民党事件(「ホメ殺し」)☆
*3 1992 新語部門・金賞 ほめ殺し 受賞者:小林泰一郎(サンデー毎日編集部員)
*4 Amazon.co.jp: 本: 東京現代建築ほめ殺し―「ウンコビル」から巨匠の代表作まで
*5 Amazon.co.jp: 本: クラシック名盤ほめ殺し

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?