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20010908 HPの電卓

 学生時代にどうしても欲しい電卓があった。ヒューレット・パッカード社$${^{*1}}$$の電卓である。当時、日本ヒューレット・パッカード社 は横河(よこがわ)ヒューレット・パッカード$${^{*2}}$$という社名であった。件の電卓はYHP社では直接扱っていなかったためか、輸入品しかなかったと思う。当時は1ドル240円$${^{*3}}$$ぐらいだったので秋葉原$${^{*4}}$$で4万円ぐらいで売っていた。一所懸命、金を貯めて円高の時期を狙って買いに行ったが、店の人に輸入した時の値段で売っているから現時点での円高円安は関係ない、と言われた記憶がある。

 手に入れた電卓はこれ$${^{*5}}$$であった。HP-15C$${^{*6}}$$というモデルである。複素数計算、行列計算などが出来た。当時、国内の電卓で複素数や行列の計算が出来るものはなかったと思う。複素数の四則演算は当然出来て、指数計算も出来た。$${i^i}$$($${\sqrt{-1}}$$の$${\sqrt{-1}}$$乗)と言う計算も出来た。その他、定積分やプラグラムも出来た。プログラムを動かすと「日」の字の形をした7セグメントの液晶で「running」と点滅表示された。初めてこれを見た時、ローマ字の「running」に見えず、壊れたのかと思った。

 どうしてもこの電卓が欲しかった理由はこの機能にもあるが、一番はそのデザインにあった。黒い筐体に独特な形状のボタン。ボタンを押した時の感触が日本の電卓にはないもので、がっちりしており、それがまた良かった。しかも一つのボタンに三つの機能が割り当てられていた。だからシフトキーが「f」と「g」の二種類があった。大きさや形$${^{*7}}$$も私の物欲$${^{*8}}$$をくすぐった。縦横の比率は$${5.1/3.1= 1.65}$$でほぼ黄金分割$${^{*9}}$$の比率になっている。これ以外のモデルでもこのような比率になっているのだろうか。他のHPの電卓はこのページ$${^{*10}}$$で見ることが出来る。

 こんなに欲しくて堪らなくて、やっと手に入れた電卓であったが、数年後、自分の不注意から紛失してしまった。

 それからまた数年後、知人$${^{*11}}$$にMacのソフト$${^{*12}}$$でこんなものがあると教えられた。こんな感じ$${^{*13}}$$でデスクトップ上に懐かしい電卓が現れてくる。これまたうれしいソフトである。この電卓ソフトの作者は左利きらしく、電卓のボタンを押すポインターが左手になっている。

*1 hp, Hewlett-Packard: leader in computing and imaging solutions and services
*2 日本HPの沿革
*3 ドル円レート長期推移1971~(チャート・変動要因) - ファイナンシャルスター
*4 東京ラジオデパート ホームページ
*5 http://www.hpmuseum.org/15.jpg
*6 HP-15C
*7 10C Series Dimensions and Weight
*8 20010604 シリコンの歯車
*9 §1 黄金数(黄金分割)
*10 The Museum of HP Calculators
*11 19990902 カセットの対角線
*12 Mike Wessler's home page
*13 hpcalc!.jpg

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