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20060921 オキシヘーラー

 婦人家庭百科辞典を見ていたら面白い物が載っていた。この百科辞典は昭和十二年に三省堂から刊行された辞典で、手許にあるのは縮刷複製されて去年発行された文庫版$${^{*1}}$$である。

 載っていたのはこれ$${^{*2}}$$である。「オキシヘーラー」と書いてある。「英國の科學者マイケル、ファラデー$${^{*3}}$$の學説に本づく磁氣應用の家庭治療器である」と説明されている。心臓の動きを整調して血液の循環と呼吸作用とを良好にし、人体固有の自然治癒力を旺盛にならしめて、諸種の疾病の治癒と健康の増進を計るものらしい。

 「ファラデーの学説に基づく磁気応用の家庭治療器」とある。さらっと読むとファラデーが医学的な学説を唱えていたかのように思えてしまうが、そう言ったことは聞いたことがない$${^{*4}}$$。この文では「ファラデーの学説に基づいている」のは「磁気」の部分だけで、その磁気現象を応用した治療器という意味になる。

 それにしても装置の図を見ただけでは磁気がどう関係しているのかよく判らない。電源らしき物がないので電磁的作用ではなさそうだ。磁石だけを利用しているのだろうか。インターネットで調べてみるとその構造を説明したページ$${^{*5}}$$があった。筒の中には砂鉄のようなものが詰め込まれていたらしい。砂鉄だから「磁気の応用」なのだろうか。これで様々な病気が治ってしまうと謳って装置を販売すれば、現代なら間違いなく公正取引委員会$${^{*6}}$$から不当表示に当たる$${^{*7}}$$として排除措置命令$${^{*8}}$$が下される。

 「オキシヘーラー」とはどういう意味か。ローマ字では「Oxyhealer」と綴る。「healer」は治療するものだから判りやすい。ところが「oxy-」の意味は「酸素を含む」である。磁気なのに酸素とは一体どういうことか。とにかく学術的な言葉を拾ってきた$${^{*9}}$$のか。よく調べてみると「oxy-」には「急速な」という意味もある。「即座に治してしまう器械」と言った意味だろうか。

*1 筑摩書房 書誌検索 婦人家庭百科辞典 上 あ-し
*2 oxyhealer.jpg
*3 20040825 マイナスイオン
*4 Faraday summary
*5 Mind Craft オキシヘラー
*6 公正取引委員会ホームページ
*7 こどものページ 不当表示とは
*8 独占禁止法違反事件の処理手続き図
*9 20060724 組織水と洗濯


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