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20070517 置き忘れられた傘

 乗客がまばらな電車から降りようとしたら、出入り口付近に女性向きの細い柄の赤い傘が立てかけてあるのに気付いた。周りには誰もいない。先に降りた婦人の持ち物のような気が一瞬したが、そのまま何もせずに降りてしまった。改札を出て暫くしたら、前を歩いていた件の婦人が突然立ち止まり振り向き様に「傘を忘れたわ$${^{*1}}$$」と叫んだ。「やはりそうだったか」と思いながら彼女の横を通り過ぎた。

 何故、傘に気付いた時に声を掛けなかったか。私のではないと言われた時にその傘の処置に困るからだった。それにそうなった時、周りから変にお節介な人$${^{*2}}$$だと言う目で見られたくなかったと言う思いがあった。確かにその婦人が傘を忘れているという確信があれば躊躇なく声を掛けられるが、置き忘れてある女性向きの傘と自分の少し前を歩く婦人とを勝手に結びつけて声を掛けるのは気が引けた。

 結果からすれば、声を掛ければ良かった。もし、私のではないと言われたら、その傘は駅員に預ければいい。そうすれば声を掛けた婦人ではなくても、本来の持ち主に戻る可能性$${^{*3}}$$が高くなる。残念なことをしてしまった。

*1 20001030 忘却
*2 20021214 忘年会の後の出来事
*3 20060625 戻ってきた息子の財布

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