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20000825 発見

 発見というと誰も知らなかった物や現象を初めて見い出すことの意味に使われるが、次のような場合にも使う。

 図書館、博物館や美術館で埋もれていた文献や美術品が出てきた時に「発見」されたという言い方をする。もともと誰かが図書館などに搬入して所蔵物の目録なども作っている筈なのに、それが長い年月の経過によってそれらが忘れ去られたのだろうか。確かに目録などが紛失してしまえば、見つかった現時点では誰も知らない訳だから「発見」に違いない。しかし発見という言い方は何となく妙な気がしてならない。「新大陸の発見」と同じで現地の人々にとって元々大陸の存在は周知のことだし、図書館や美術館に搬入したり目録を作った過去の人は「発見されたもの」について十分知っていた訳である。

 数学にも発見があるようだ。数学は純粋に思考だけの世界だから「発見」という言い方は何か変であるが、思わぬところで新しいことが分かると発見というのかも知れない。例えば「論理の逆理が発見された」という表現を見かけた。数学は矛盾がないように理論を構築したつもりでも、時として矛盾が出てくるらしい。

 1902年、リシャール$${^{*1}}$$は興味深い論理の逆理を発見している。
 次の様な内容のことをフランス語で書いているらしいが、彼はどんな大きな数でも20文字以下で表現できることを示した。何故なら20文字以内で表現できない最小の数は「20文字以下で表現できない最小の数」という20文字以下の文で表現されているからである。

*1 Jules Richard 
※内容を見直していたら、この逆理を発見したのはリシャールでないことが判った。オックスフォード大の図書館員ベリー見つけた逆理だった。このことはよく混同されるらしい。

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