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20010330 自走ミニカー

 ミニカーでよく知られるトミー$${^{*1}}$$が、近頃、充電して走る「Bit Racer$${^{*2}}$$」というレーシングミニカーを発売した。全国の主要都市の一部では先月から先行発売していたが、全国発売は先々週からであった。

 充電式の自走ミニカーは30年前にもあった。アメリカのMattel社$${^{*3}}$$が発売していた「Sizzler$${^{*4}}$$」である。これは日本でも「世界一はやいエレクトリックカー シズラー」という名前で発売していた。超高級玩具で当時これを購入できた家庭はそれ程多くなかった。私も当然買って貰えなかったので、唯一買ってもらっていた友達の家に入り浸っていた。

 所有出来たのはせいぜい普通のミニカーで、これは手で動かしたり、坂を作って重力で動かすのが当たり前だと思っていた。そのミニカーが自分で動くわけである。しかもゼンマイではなく電気で。電気といっても普通の乾電池ではなく、充電池$${^{*5}}$$という当時の子供とってとてつもない未知の高度技術による電気であった。当時はよく解らなかったが、90秒の充電で5~7分程度走ったようだ$${^{*6}}$$。

 シズラーの30年後に発売されたBit Racerは30秒の充電で3分間走る。30年かけてこの程度か、と思いたくなるが、こればっかりを30年やっていたわけではないのだから仕方がない。

 このBit Racerは超小型モーター$${^{*7}}$$が技術の中心である。このモーターは携帯電話のバイブレータに使われているものを改良したものらしい$${^{*8}}$$。といってもトミーがバイブレータ用のモーター$${^{*9}}$$を開発したわけではない。携帯電話の小型化が進んだのはこのバイブレータ用小型モータの開発$${^{*10}}$$が大いに貢献しているようだ。トミーは携帯電話事業にも参入$${^{*11}}$$しているので技術の流用を図った訳である。

 それにしても30年前のシズラーにはどんなモーターが使われていたのだろう。何れにしろこの頃からミニカーに搭載できる程度の小さなモーターはあったのである。

 こうして見るとシズラーとBit Racerとではあまり違いがないように思われるかも知れないが、Bit Racerは自分で部品を交換して好きなように改造できる。ミニ4駆$${^{*12}}$$のミニカー版みたいなものである。Bit Racerはまだ発売されたばかりなので部品の種類がミニ4駆に比べ圧倒的に少ないが、人気が出てくればどんどん増えてくるだろう。

 30年前は21世紀になれば自動車はビルとビルとの間を縦横無尽に通る透明チューブの中を走っているだろうと思っていたが、未だに地面の道でガソリンを使って走っている。30年前に比べれば燃費や性能は向上しているが、基本構造は自動車の発明当初から殆ど変わっていない$${^{*13}}$$。玩具の自動車でも全く同じ歴史を辿っているのは本家がそうなのだから当然といえば当然かも知れない。

*1 ようこそ! (株)TOMY トイキングダムへ!
*2 気になるe-Toy遊んでレポート
*3 Mattel.com
*4 マテルのシズラー
*5 20000615 電池
*6 Sizzlerking: Sizzlers History
*7 toy08_04.jpg
*8 7867 トミー(2000年終値:2740円)
*9 パーツ一般/動力部品/バイブレータ(振動モータ) 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
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*11 ファーストモバイル 『tel-me』
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