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20030703 プラズマボール

 ヴィレッジヴァンガード$${^{*1}}$$に行ったら手頃な値段のプラズマボールがあった。プラズマボール$${^{*2}}$$とは電球のようなガラス製の球で、電源を入れると中心の電極からガラスに向かって妖しい光の筋が何本も発生して、それがゆらゆらと動く。見た目はその光の筋が中心電極から外側のガラスに向かって伸びているように見えるが、実際には、何が中心電極からガラスに向かっているのか、ガラスから中心電極に向かって走っているのかはよく判らない。

 眺めていると不思議な感じになる。グロー管$${^{*3}}$$を見つめるのと同じ様な感覚である。

 手頃な値段というのは2000円だった。球の大きさは直径8cmぐらいである。ついつい買ってしまった。

 原理は何だろう。ガラス球の中には真空にした後に低い圧力の不活性ガス$${^{*4}}$$が封入してあるらしい。中心の電極に高い周波数の高電圧$${^{*5}}$$をかけると中の希薄な不活性ガスが電離する。電離というのは気体分子から電子が分離することである。原子は原子核と電子とで構成され$${^{*6}}$$ていて、普段は原子核の周りを電子が回っている。周波数の高い電界の中に原子があるとその電界の振動で原子の原子核と電子とが揺れる。電子は原子核に較べて非常に軽いので、振動に伴って電子は勢い余って原子核から離れてしまう物が出てくる。これが電離気体プラズマ$${^{*7}}$$である。

 この電離がガラス球の中で起こっているらしい。中心の電極はガラスで包まれている。電離する不活性ガスは完全にガラスの中に閉じこめられている。電球のようにフィラメントがガスの中に晒されているわけではない。ガラスは電気を通さない物質の代表である。それでもガラス球の中にあるガスが電離するのだから何となく不思議である。

 見れば見るほど不思議な感じがする。中心電極の付近とガラス球の付近は光が赤いのに途中は青い光の筋$${^{*8}}$$になっている。球の下の方で黄緑色に光っているのは別の蛍光管なのでガラス球の中の現象とは関係がない。

 ガラス球に指を触れればこの光の筋がガラスの触れた部分に集まってくる。長く触っていると指先が少し熱くなってくる。光の筋が実体であると言うことを感じることが出来る。プラズマボールの解説$${^{*5}}$$を読むと人体に電流が流れるのでそれにつられて光の筋が集まってくるとある。

 ガラス球の中では、ガスの原子から電子が遊離しているので電気が通りやすくなっているのは理解できるが、絶縁体であるガラスを通して人体から電流が流れるというのは理解しにくい。

 ガラスを通して直接電子が流れているわけではなく、ガラス球の中では電流が往復し、それに合わせてガラス球の外の人体では指先と足許とで電流が往復しているので、全体的考えれば電流がガラスを通して往復して流れていることになる。

 何も触れない時はガラス球の中で光の筋に沿って電流が往復し、ガラス球の外側では空気全体で電流が往復している。そこへ空気よりも格段に電流が往復し易い指先が触れると、そこに電流が集中することになる。

 光の筋が見えるのは電子が普段の状態である原子核の周囲に戻る時にエネルギーを発してそれが光るのであろう。

*1 19990728 ヴィレッジヴァンガード
*2 プラズマボールの写真
*3 20020925 グロー放電管
*4 18族 希ガス
*5 横浜こども科学館ホームページ プラズマボール
*6 20030430 電気のプラスマイナス(2)
*7 横浜こども科学館ホームページ プラズマチューブ
*8 plasmaball1.jpg

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