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20010325 甲羅干し

 家の亀は冬眠$${^{*1}}$$に成功した。去年は冬眠させるかどうか$${^{*2}}$$悩み、結局、冬眠させることにした。

 冬眠の途中は死ぬのではないかと心配していたが、現在は元気に活動し、日が照ればこのように甲羅干し$${^{*3}}$$をやっている。

 甲羅干しの姿が面白い。水中から這い出てきて、甲羅が完全に乾き出す頃から後ろ足を写真のようにピンと突っ張る。この癖はミシシッピーアカミミガメだけのものなのか、イシガメ$${^{*4}}$$やクサガメ$${^{*5}}$$などのヌマガメ類に共通なのだろうか。

 ヌマガメ類の甲羅干しの目的$${^{*6}}$$は(1)体温を上昇させて活動しやすくする、(2)紫外線を浴びてビタミンDを形成し、それによってカルシウムを吸収させ甲羅や骨を形成する、(3)皮膚や甲羅を乾燥させて皮膚病を予防する、らしい。

 甲羅干しという言葉から漠然と「甲羅」が甲羅干しの主役のような気がしていたが、家のカメの甲羅干しの様子を見ているとどうもそうではないような気がしてきた。

 まず、(1)体温を上昇させるには日光の中に含まれる赤外線を出来るだけ沢山吸収しなければならない。これはカメの体で一番面積の広い甲羅が主体となって赤外線を吸収しているのだろう。
 次に(2)ビタミンDを作るための紫外線はどこで吸収するのか。紫外線を必要とするのは最終的には硬い甲羅を形成するためなので、何となく甲羅で紫外線を吸収しているような気がしていたが、よく考えてみるとそれはおかしい。

 紫外線は可視光線や赤外線に比べて物質を透過しにくい性質がある。例えば透明に見える一般の窓ガラスは殆ど紫外線を透さない。従ってガラス窓を透した日光でカメに甲羅干しをさせてもビタミンDが形成されないのでカルシウムが吸収されなくなり甲羅が軟らかくなってしまうらしい。

 カメの甲羅は紫外線を十分透過させることが出来るのだろうか。カメの甲羅の最表面は角質板と呼ばれる皮膚が変化したものである。甲羅を見ると年輪みたいになっているので角質板は下から成長していくのだろう。カルシウムで角質板を作るためには角質板の下にビタミンDがなければだめということになる。従って角質板は紫外線を十分透過できなければいけない。しかしどう見ても透しそうにない。つまり甲羅では紫外線が当たってもビタミンDは生成されないのではないか。

 では、どこで紫外線を吸収するのか。頭部、頚部、前足そして後ろ足の皮膚である。後ろ足の「突っ張り」は紫外線を十分吸収するための仕草と考えることが出来る。

*1 20010107 亀の冬眠(2)
*2 20001118 亀の冬眠
*3 kame.jpg
*4 イシガメ
*5 クサガメ
*6 クサガメ 日光浴のさせ方

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