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20051228 日本で一番古い駅舎など

 九月に仲間と一緒に寂れた鉄道沿線の探索に出かけた。今年の二月にも同じ様なことをした。こう言った探索はその時が初めてで、結構楽しめたから第二弾を企画したのであった。行き先は愛知県のJR武豊(たけとよ)線$${^{*1}}$$になった。

 その路線に亀崎$${^{*2}}$$という駅がある。この駅は日本最古の現役駅舎$${^{*3}}$$らしい。このことは少し前に知った。そのことから今回の行き先が決定した。歴史的価値がありそうなので、もう少し有名になってもいいような気がするが、全然知られていない。最古の駅舎といってもところどころ修繕を繰り返しているようなので、古いという感じがしない。建て直すまではどんなに修繕を繰り返しても開業当時から存続していると考えるべきなのだろう。

 法隆寺の五重塔$${^{*4}}$$は、建設当時または再建当時から見た目は殆ど変わっていないのではないか。一方、亀崎駅はどうか。開業当時の姿と今の姿と比べるとどうだろう。骨格は同じかも知れないが壁など外観は大きく変化しているに違いない。五重塔と比較すること自体ちぐはぐな話だが、百年以上前の日本最古の駅舎なのに全く有名ではないのは、外観が建設当時そのままでないという点が原因のような気もする。

 構内で面白い看板を見つけた。武豊線の電化複線化を呼びかける看板$${^{*5}}$$である。掲げてから三、四十年は経過していそうだ。路線開業から現在まで電化も複線化も一度もされていない。おそらくこの路線が廃止されるまでこれは実現しそうもない。

 武豊線は終着駅が武豊駅$${^{*6}}$$である。かってはこの駅から先にも線路があったが、廃止されている$${^{*7}}$$。そこに興味深い遺構が残っているのだ。貨車を回転させて方向を変える転車台$${^{*8}}$$と呼ばれる設備である。武豊町によって整備されて保存されている。通常の転車台は、台の上に線路が一対あるだけ$${^{*9}}$$だが、ここのは直交した二対の線路で構成されている。どうしてこの様な構成になっているのか。

 効率的に貨車の方向を変えるためと武豊町が作った説明看板に書いてあったが、線路を十時にするとどうして効率的になるのかよく判らない。貨車を百八十度回転させるのなら全く意味がない。貨車を九十度回転させる場合、一対しかないと元に戻すのに九十度回転させなければならないが、十字になっていればその手間が省ける。しかしそんなに大きくない台なので大した手間と思えない。本当にこれが主な理由だろうか。どうも違うような気がする。十字の線路を敷くことによって貨車も何も載せずに九十度回転させる手間を省くという意味も当然あるが、それが主ではないだろう。

 簡易的な転車台なので動力は付いていなかった。人間の手で台を回転させていたらしい。ここでは九十度と百八十度との回転が行われていたのだろう。台に貨車を載せてから貨車を押して台を回転させる。台を回転させるには貨車を載せていないと押すところがないのである。九十度回転させる場合、線路が一対しかなければ転車台のみを回転させるためには転車台のどこかに取っ手付けなくてはならない。線路一対のままで取っ手を付けるのと線路二対を十字に敷くのとどっちが簡単かと言えば、取っ手の方だが、何も載せずに九十度回転させる手間を考えて十字にする方を選んだのだろう。取っ手を省略して更に効率を高めると言った究極の設備であったようだ。

*1 時刻表 JR武豊線 大府 - goo 路線
*2 kamezaki.jpg
*3 亀崎駅
*4 法隆寺 五重塔
*5 taketoyosen.jpg
*6 JR武豊駅から転車台へ(武豊線廃線跡)
*7 taketoyoeki.jpg
*8 turntable.jpg
*9 天竜浜名湖鉄道 天竜二俣駅構内

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