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『 どうする?警察署?消防署? 』

晩秋の繁華街での話です。

月末でしかも週末とあって、
その夜の人出はかなりのものでした。

そろそろ日付の変わる深夜に手が上がりました。
ご乗車のサインです。

男性に見送られて同伴の女性がご乗車。
(そう、年の頃は30代前半)

かなりご酩酊(通称・ヨッパ)^^

そして
何か、しんみりした空気。

しばらくすると、シクシク(T_T)泣きだされました。

ワタシの野暮で安易な想像を働かせれば、先ほどの男性と何かあったのでしょうか?

普段、お喋りなワタシでもこんな時はそっとしておいてあげた方がいいとしばらく様子をみることに。

そして、そろそろ目的地かと思った直後・・・
まさかの出来事です!

泣きながらのリバース。。。
しかも1回・・2回・・3回・・!!!

オイオイオイオイ!
マジか!? (゚д゚)!

お声がけをしても反応なし!

一気に立場が逆転
こっちが泣きたいっス~(´;ω;`)ウゥゥ

送り先の住所はお聴きしているのでこのまま走ってもいいのですが・・

暖房された車内で「充満したリバース臭」に窓を全開にしてもワタシの限界が・・・。(-_-;)

協力頂いて簡単な掃除でもして再スタートしようと安全な場所に車を止めました。

ただ、ご婦人に声をかけるも全く反応がない。

息はしているようですが、動かない。

声掛けをしたり、汚れたコートなどをよけたりすったもんだしている内に、ついにはフロアーに転がってしまったご婦人。Σ(゚Д゚)

(車両はワンボックスなので、車内のフロアーもかなり広いのです。)

ここで注釈
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
我々タクシードライバーには、基本的に何があっても
「お客様(男性・女性に限らず)の身体に指一本触れてはならない」

正確に言えば「触れない方がいい」という決めごとがあります。

御客様に触れると言う行為そのものは法的な制約はありませんが「さわった」「さわってない」のトラブルへの発展を予防する意味合いが有ります。

つまり出来るだけ後々に誤解を招く行為は控えた方がいいと言う判断からです。(特にお客様が女性のケースです。)
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

では、
そんな場面に出会ったらドライバーはどうすればいいのでしょう?

会社からの指導や仲間との話では例外なく電話で「警察」に協力を要請するか、近くの「交番」に着けるか、もしくは「消防署」のお世話になるんです。


この夜は運よく近くに「消防署」があったのでそこへ急行。

出てきた署員の方々に状況を説明し、ご婦人の介護をお願いしました。

その間、ワタシは水道をお借りして汚れた衣類、車内マット、シートを簡単に掃除します。

しかし、
ご婦人の酩酊は相当なもので一向にお目覚めにならない。

しかも
スタート時に確認した自宅の住所を署員の方と確認するとどうも番地が違っている模様。

らちが明かないので、消防署員の方々の確認の下に、
ご婦人のバックから身分証明、免許証等を探し出し現住所を確認。

また、彼女の携帯からご主人と思われる電話番号も発見し連絡。

なぬ!?
既婚者でしたか!(゚д゚)!

その後ご主人との連絡も取れてなんとか無事に?ご自宅まで送らせて頂きました。

しかし、この月末でしかも週末のゴールデンタイムに取り返しのつかないロスタイム!

タクシードライバーにとっては致命的なトラブルになりました。

車内の清掃もあり、泣く泣くこの日の営業は終了。

タクドラ業、色々ありますけどなんだか今回ばかりは腹が立つというより「切ない思い出」になってしまいました。

こんなトラブルは滅多にありませんがこれもタクドラ業ならでは・・かなと。

とはいえ、
「こんなハプニングは絶対に嫌だ!」という方はこの仕事は辞めておいた方がいいかもしれません。

逆に、「歓迎は出来ないけどそんなこともあるよね」的に思えた方はタクドラに向いている人です。

ハプニング対応も含めて気楽そうに見えるタクドラ業ですが
こんな苦労もあるんですよってお話でした。

でもね、自由で楽しい時間が圧倒的に多いこの仕事です。

だから辞められませんね~(笑)

コラム・タクドラ@zakkiy