見出し画像

「小編成のための吹奏楽作品」すら演奏できない未来に備える


2018年の出生率が過去最低を更新したというニュースが出ましたね。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45809520X00C19A6MM8000/

3年連続で100万人を割っているそうです。

吹奏楽の業界では前々から「少子化の時代に何をどう提供するか考えなさい」と出版社などに言ってくれている先々を見据えておられる人もいたのですが、すでに学校の吹奏楽部も社会人吹奏楽団も人手不足、人数不足になっている中、出版社など作品の提供側は、従来の作品では編成が大きすぎて現状に即していないため、対症療法的に「少人数でも出来る」シリーズをたくさん出版し、それで売上を保ってきた面もあるかと思います。「小編成」にはじまり、楽器を指定しない「フレキシブル」に移り・・・という形ですね。

ですがそれもそろそろ限界なのではないでしょうか。

これは別に出版社だけが悪いというわけではなくて、むしろ出版社は売価の低い小編成楽譜をたくさん売って利益を確保するために努力してきたわけでよくやったと賞賛されるに値するでしょう。救われた楽団も多いと思います。

もちろん国内需要だけを見ているのではないか、という賞賛されるに値しない側面もあります。市場規模が小さくなっているのであれば単純に海外に打って出てターゲット層の規模を大きくすれば良かったのですが、残念ながら国内需要を優先した結果、海外で(特に人数の多い団体を編成できやすそうな欧米で)通用するような作品はさほど産まれていないように思います。(産まれていないわけではないと思います、それを海外にプロモーションしているかどうかは別として)

フレキシブルなんかは海外でも人数の少ない団体には喜ばれると思うのでもっとプロモーションしていいと思いますしね。

ただ国内の演奏側からすると、今後新しい部員、新しい団員というのは、吹奏楽そのものがブレイクしない限りは減る一方ですよね。部員数、団員数はどんどん減っていきます。

そうなったとき、「もうやめようか、解散しようか・・・」っていう気分になっちゃうほどに人が足りなくなったとき、そのときではもう遅いんですよね。

まだ「吹奏楽やりたい!」という気持ちがあるうちに次の手を打って置かなければいけません。

元々小編成がやりたくてそういう楽団を作った場合を除き、ほとんどの小さな楽団では「編成の都合上やりたい曲をやれないから小編成の作品から選んでいる」という状況ではないでしょうか。

大は小を兼ねますが小は大を兼ねないのでまあ無理ですよね。大編成の楽譜を大胆に無許諾で編成を変えて演奏して「小編成の良さがある」とかいうのも「何いってんだおまえ」という気がします。

考えられる手段としてもっとも手っ取り早いのは「合併」です。人口が減った時市町村も合併しましたよね。同じです。合併しないと団費も足りないから楽譜も買えない、大編成のやりたい曲も演奏できないですが、合併すればそれが出来るようになります。

もちろん企業と同じで団の「理念」みたいなものはあるでしょうし、部活動の場合はもっと色々な制約が出るかも知れません。

ですがもし社会人バンドで活動地域が近いバンドが他にあって、理念のすり合わせも出来るなら一緒になったほうが良いかと思うのです。大編成の作品も演奏出来ますし、やりたいと思ったら自分たちの選択肢として小編成の作品を演奏することも出来ます。演奏技術や練習への出席状況から、どの団員をどの曲で演奏させてどの曲では演奏させないか、という選択も出来るようになるでしょう。

部活動であれば、高校くらいになると結構距離が離れるので「合同演奏」くらいしか手がないのですが、例えば同じ地域の中学校と高校、小学校と中学校など、一緒に練習をしやすい距離の学校同士であればコンクールはさておき(規約がよくわからないので)、定期演奏会などは合同でやってしまうほうが良いんじゃないかと思います。

世の中では日本だけでなく海外で毎月のように吹奏楽の新作が出てきます。演奏したくても人数の都合で演奏できないから諦めよう、というのは、今でこそまだそれでも演奏できる楽譜がありますが、10年後どうなっているでしょうか。完全に合併をしなくてももう一つ楽団を作るという手もあります。A楽団、B楽団はそれぞれ存続させたままで、AとBから希望者を募って大編成のC楽団を作るという発想です。もちろんこれを実現させるためには団長はじめ各楽団の執行部の間でキチンとした理念や規約を作り、各楽団の他の団員に参加してもらえるような体制を構築する必要はあります。

気分的になかなか難しいかも知れませんが、どうせなら団費もしっかり余裕があったほうが良いですし、大編成の楽譜も演奏できたほうが選曲の幅も広がります。

特に社会人吹奏楽団(一般吹奏楽団)は、学校の吹奏楽部になじめなかった生徒の受け皿としても機能したいところです。解団になる前に、そろそろ考え始めても良いことなのではないかな、と思うのです。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

ありがとうございます!

梅本周平

ONSAの屋号で個人事業主として吹奏楽や管楽器打楽器を中心に、情報サイト「Wind Band Press」、楽譜出版の「Golden Hearts Publications」、セレクトショップ「WBP Plus」などクラシック音楽関連の事業を行なっています。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。