学生時代、楽器屋さんが苦手だった

今でこそ吹奏楽業界などというニッチの中のニッチ、ニッチオブニッチェストな業界で働き始めて累計で20年弱は浸かっているので、楽器屋さんがそれぞれ試行錯誤してることも知ってるし、お客様の要望を叶えるために全力投球されている姿も目にすることもあった。

※ここでいう「楽器屋さん」とは僕の仕事だったりプライベートだったりの都合で主に「管楽器メイン」の楽器屋さんだと思って読み進めていただければと思います。

だけど学生時代は本当に楽器屋さんが嫌いだったし怖かった。初めてクラリネットを買った時でこそ全くの初心者でクラリネットを触ったこともない僕に優しく接客してくれて、リードも僕の状況から2半のリードを勧めてくれた。町田の鈴木楽器さん、ヤマハの一番安いプラスチック管しか買えなかった僕にさらに大幅な値引きをしてくれて本当にありがとうございました。

だがしかし駄菓子菓子ダガシカシ(フィルイン)、その後は楽器屋さんが怖くなってしまう。何が怖いってリペアマンさんだ。逆にリペアマンさん以外は怖くないといっても良いのだがリペアマンさんだったり学校販売で訪れる営業兼リペアマンさんだったり、そういう人が怖かったのでどうしても楽器屋さんへの足は遠のいた。

リペアマンさんの何が怖いのか。初心者の僕にとっても初心者でない先輩にとっても、楽器が壊れたらアカン、ということぐらいは分かる。実際に見た目からしてキイが曲がったりピストンが入らなくなったりとかすれば「あかんわ」と思うのだけど、そうでもない限りどこの調子が狂ってるかなんてわからんのだ。なのにちょっとした不具合でリペアマンさんのところに楽器を持っていくと、当時は必ずと言っていいほど「なんでもっと早くもってこないの」「もっとこまめに調整出さないと」とか言われるわけよ。

言ってる本人は生徒さんのためを思って言ってくれてるってのは今になってこそ分かるけど、当時は「なんで金払って怒られなきゃいけないんだ、ここはSMクラブなのか」と憤りを感じるとともに、「修理に出すと怒られる」という印象が強くなり、総じて「楽器屋さんは怖い」「だから余程じゃないと行かない」という悪循環に陥った次第です。

とはいえ消耗品、例えば僕が高校時代にやってたチューバならバルブオイルとか、大学時代にやってたクラリネットならクリーニングペーパーとか、そういうのは必要なので、「楽器屋に行く用事がある人」に代わりに買ってきてもらったりする人も多かったように思う。当然こまめにリペア(または調整)に出す、なんて人は少なかった。小言を言われる、怖い、高い、楽器を預けている間は自分の楽器が吹けない、となるとそりゃ「なんでそんな奴に会いに行かなきゃ行けねえんだ」とか思う青葉の頃でありました。

冒頭あたりでも述べたけど社会人になりニッチェストな世界に入り、彼らと多少なりとも交流が出来てくると、まあ大変な仕事だなと思うし職人気質な商売だし、貧乏学生の僕に「もっとこまめに持ってこい、早く持ってこい」と怒っていたリペアマンの気持ちもわかるんだけど、最近はどうなんだろう。

SNSとかで悪評はすぐに広まってしまうので、最近のリペアマンは優しいかもしれない。リペアマンが職人気質だったら他のスタッフが優しくフォローしてるかもしれない。

かもしれない。そう、ここにひとつ問題がある。人によっては(特に学生さんは)、楽器屋さんは「かもしれない」の域を出ない存在なのではないか、と思うときがある。謎なのだ。仕事の内容も、彼らの熱い想いも、七つのヴェールの踊りの中に隠されている。わかるわけないのだ。

業界を問わず、実店舗については「リアルとネットの融合」とか言われて現場は大変だと思うのだけれど、単にネットショップもやってみるとかそういうことではなくて、楽器店であれば、そして吹奏楽部の学生をメインの顧客層と想定しているのであれば、会社のツイッターアカウントで自分の名前を出さずに業界批判するとかじゃなくて、スタッフや経営者の想い、職人の仕事風景、こだわり、裏側などを発信してみたらどうかと思う。特にブログやInstagramが良いんじゃないかな。ツイッターはそれらの情報を連携させる感じで運用すればいい。余計なことは言わなくて良いのだ。

そうすれば僕みたいに「楽器屋さん怖い」「リペアマンうざい」みたいに思う学生さんも減るかもしれない。かもしれないじゃ意味ないから減らすように努力しないといけない。

楽器屋さんはいつでもどこでも演奏者にとって頼れる味方。そのことを知ってもらうには、楽器屋さんのことを知らない人に知ってもらう必要があるし、興味を持ってもらえるような内容を発信していくといいんじゃないかなあと思ったのでした。

僕も見たいですね各楽器屋さんの想いや仕事風景、裏側。見たいです。きっと熱いコンテンツになる。熱い人たちが集まってるんですから。

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梅本周平

ONSAの屋号で個人事業主として吹奏楽や管楽器打楽器を中心に、情報サイト「Wind Band Press」、楽譜出版の「Golden Hearts Publications」、セレクトショップ「WBP Plus」などクラシック音楽関連の事業を行なっています。
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