他の音楽ジャンルだったらヨダレが出そうな吹奏楽の話

今日も今日とて吹奏楽の話。どんどん広めていきますよ。じわじわと興味を持っていただければ幸いです。

さてロックバンドを組んで地元のライブハウスとかに自腹で出るところから始まって、「いつか俺らもCDデビューするんだ、さいたまスーパーアリーナでライブするんだ」みたいな野望を持ったことありますか。僕はあります。

グラミー賞のスピーチどうしようかなって考えてました。

だがしかし駄菓子菓子、世の中そんなに甘くない。インディーズレーベルすら契約出来ず、僕はバンドをやめてから1人家で宅録やって自分のサイトに無料でアップしてご満悦という、今思うと何やってんだお前っていうことをしてて、尻すぼみ的に僕の創作活動は終わりました。

かたや吹奏楽。他のクラシック音楽とは業界構造的にだいぶ違うだろうなというのは、学校の吹奏楽部や社会人吹奏楽団など、アマチュアが中心になっているというところでしょう。

プロよりアマチュアの方が多いのはクラシックの他の編成やロックなど他のジャンルでも同じだと思うので、商品を売るターゲット層がアマチュアになるのは同じです。が、そんなレベルではありません。全日本吹奏楽連盟というのがあって、おそらくほとんどの学校の吹奏楽部は加盟してるんじゃないかと思いますが、そういうバンドが参加できる「全日本吹奏楽コンクール」というアマチュアの一大イベントがあります。吹奏楽を扱った小説なんかでもこのコンクールをメインに据えて話が展開されることが多いように思います。地区大会、県大会、支部大会と審査を経て、最終的に全国大会に出場できる団体が決まります。中学校、高校、大学、職場・一般の部に分かれていて、まあなんというかアマチュア最高峰はどこだー!みたいな大会なんだと僕は認識してるんですけど、業界全体的にこのコンクールを中心に回ってます(コンクールに左右されるところが大きいとも言えます)(もちろんそれとは距離を置いている会社もあります)

このコンクール、なんと全国大会の演奏はキングレコードからCDが出るし、インディーズレーベルですが吹奏楽業界大手の会社からはブルーレイが出ます。しかもこれがメチャメチャ売れます。恐ろしいくらいに売れるので、これを扱わない小売店ってほとんどないのでは、という感じですね。

アマチュアロックバンドの全国大会のCDとかなくないですか。あるのかもしらんけど。まあ要らないですよね。でも吹奏楽だと売れるんですよ。

さらに全国大会常連校とか、常連団体とか、そういうアマチュア楽団の定期演奏会とか、場合によってはセッションレコーディングとかのCDが全国発売されることも多く、毎年レーベルからCDがリリースされる楽団もあります。毎年出るってことはそこそこ売れるんでしょう。

凄いですよね。今でこそロックだろうがなんだろうがアマチュアもチューンコアとか使えば配信出来ますけど、CDはなかなかねえ。そんな話ないですよね、っていうかロックやポップスで自主制作盤じゃなくてどこかしらのレーベルからCDが出て事務所に所属してたらそれはプロ扱いでしょうから、アマチュアバンドのCDが全国流通ってのはちょっと考えられないしレーベル的にも作りたくないでしょうし。

でも吹奏楽は違う。

プロの吹奏楽団の数が数えるほどしかないっていう事情も関係していると思いますが、アマチュアのライブ盤だけじゃなくて、場合によっては楽譜出版社のカタログ音源集アルバムの演奏がアマチュアだったりする。

CDデビューなんてロックとかに比べればめちゃくそハードル低いんですよ。曲も別にバンドが作るわけじゃないし、とにかく全国大会まで進めばオムニバスとはいえCDは出るし、その後いくつかのレーベルから声もかかるようになるでしょう。

これ羨ましいよね。僕は大学の時にCDデビューしてます。(全国大会オムニバス盤で)

吹奏楽始めたのは高校からで、クラリネット始めたのは大学から。クラリネット始めてから2年でCD全国デビューですよ。ありえないでしょ。ありえるんですねえ。

ちなみにですね、吹奏楽部の中には「マーチング」やってる団体もあります。社会人のマーチングバンドもあります。マーチングの全国大会は連盟と協会それぞれで2種類(それ以外にもドラムコーというちょっと違うやつもあるけど)だったと思うのですが、そのうち片方は全国大会の会場がさいたまスーパーアリーナです。アマチュアでもさいたまスーパーアリーナで演奏できる、それがマーチング。

それもDVDだかブルーレイだかで発売されます。凄いよね。

アマチュアの演奏に対するファン

ってのがいっぱいいらっしゃるんですよ。これはロックとかジャズとか、クラシックでも管弦楽とか室内楽、器楽ではまず見られない傾向じゃないかなと思います。

吹奏楽業界の特殊性のひとつかもしれませんね。プロの定期演奏会のCDよりも全国大会常連校のCDの方が売れる、ってこともなきにしもあらずかと思います。

これが良い悪いという話ではなくて、純粋に、ふとこの業界で我に返った時に、「なんかすごい構造してんな」って思うんです。

夢があると言えば夢がありますし、アマチュアからプロへのドラフトがあるわけではないので、音大に入って卒業してプロになったらアマチュア楽団でやってたときみたいにお客さんが集まらないっていう、そういう意味での夢のなさもあって、なんかたまにしょっちゅうときどきしばしばモヤるのですが、とにかくロック畑出身(だと自分では思ってる)の身からすると、結構ミステリアスなんですよね。

ツイッターで「ロック名言」っていうボットをフォローしてて、甲本ヒロトさんの言葉として「売れてるのが1番良いものなんだったら、1番美味いラーメンはカップラーメンだ」的な言葉が紹介されてて、凄い好きなんですけど(本人が本当にそう言ったのかどうかはしらないよ)、そんな感じの業界。

僕はコンクールがマーケットのメインだとすると、ちょっと(かなりかな)外れた場所で事業展開してるんですけど、「商品がコンクールと絡まないとこんなに苦戦するんだな」ってのをこの3年くらいビシバシ感じてます。逆にコンクールコンテンツを確実に抑えられるのであれば新規参入しても十分に儲かる業界じゃないかなと思います。

まあ僕はプロアマ関係なく、紹介して販売してる楽譜が演奏会で取り上げられたら嬉しいな、というスタンスでやってますけど。「ちょうどいい曲がない」みたいな現場の声も人づてに聞こえてくるので、「こんな新しいのがありまっせ」とやってる感じですね。

コンクール中心の業界でコンクール関係なく戦えるようになったら面白いな、っていう、そんな自分のロックでパンクな魂が憎いです。お金になってないので。まあでも、やるよ。やり遂げる。

「へえ吹奏楽って面白そうだなあ」って思ったら近くの学校の吹奏楽部の演奏会とか行ってみてくださいね。たいていは無料です。ドリンクチャージもないです。管弦楽よりはうるさいですがライブハウスよりは静かです。ぜひ。

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梅本周平

ONSAの屋号で個人事業主として吹奏楽や管楽器打楽器を中心に、情報サイト「Wind Band Press」、楽譜出版の「Golden Hearts Publications」、セレクトショップ「WBP Plus」などクラシック音楽関連の事業を行なっています。
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