吹奏楽というニッチな業界で働くということ

最初の記事は自分が関わっている「吹奏楽」という編成のクラシック音楽の話をしてみましょう。せっかくだし。

仕事をしていると日々思うことはたくさんありますが、今日は時期も時期だし(2月6日、ちなみにマイマザーの誕生日です)、四月くらいから新入社員として「吹奏楽をメインコンテンツに据えた会社」で働く方を想定しつつ書いてみようと思います。

前にも僕がやってる情報サイトのWind Band Press で似たような記事を書きましたが、なぜそのサイトで書いたのか今になると不思議です。

https://windbandpress.net/7836

吹奏楽人口って結構多いみたいで、愛好家とか含めて百万人くらいはいるとかいないとかそんな話を聞いたことがある気がします。吹奏楽連盟に登録されている団体だけでも1万団体くらいあるので、まあもうちょっと多いかもしれません。

とはいえ「吹奏楽コンテンツがメインの会社」ってニッチです。クラシック音楽全体がほかのポップスやロックに比べたらニッチな分野だとは思うのですが、そこからさらにニッチに「吹奏楽」の仕事に関わりたいという人は結構多いみたい。

好きなものを仕事にするという意味では良いことなのですが、この業界、ニッチがゆえに決して楽ではありません。

新卒で入る場合は、とりあえず入れてラッキーだと思いましょう。おそらく志願者の数に比べて募集されている人数はごくわずかで、吹奏楽メインの会社で新卒採用する企業なんて一握り。老舗はこれまでの積み上げがあるのである程度利益が出るようになっていますが、そうはいってもヤマハとかでない限りはそんなに年商何百億とか何十億とか稼げないのではないでしょうか。ですから給料に関しては数年はまず諦めてください。人が減っていって結果的に残って役職付いたりしたら昇給するかもしれませんね。
おそらく新卒でわざわざ吹奏楽の仕事がしたいなんて人は吹奏楽が好きなんだと思うので、まだ「何がやりたい」とかないと思いますが、それで良いと思います。ひとまずどんな業界なのか慣れておく必要がありますしね。かといって何年もビギナー気分だと「戦力外」になってしまいます。
古い会社が多いのでなかには考え方が古い上司も多いかもしれません。あなたが若くて最先端のマーケティングを勉強していても、理解できないものは否定から入る、そんな人もいるかもしれないということは理解しておくと良いでしょう。全体的に時代の最先端から相当に離れたところに位置していますので、その点は徐々に納得してもらえるように働きかける必要があります。出来る人ほど根気と愛嬌が大事な世界です。

中途採用は結構あるかもしれません。この場合、
・担当者が辞めたから穴埋めで採用
・担当者が辞めたわけじゃないけど強化のために採用
のどちらの理由での採用だったかによって立ち振る舞いを考えないといけません。
古い頭の人も、裏ではアレが問題じゃコレが問題じゃと、何らかの問題意識を持っているかと思います。
穴埋め採用の場合は新しい知見は求められていないので、やりたいことやアイデアがたくさんあっても様子を見ながらやっていきましょう。出る杭は打たれる業界です。よってたかって打たれます。僕は打たれて飛ばされて退職まで行きました。怖いわね。
強化採用の場合は即戦力となることを期待されています。即戦力って何か。「当月から売上前年比2倍」くらいの期待がかけられています。プロパーさんがよってたかって2倍に出来ないのに中途の新人1人で2倍!まあ期待する方も本気で期待してないでしょうが「あわよくば」くらいには考えてるな、というのが僕の経験則です。120パーセントに上げても「お手並み拝見」ぶって特に何の指示もしない上司さんは「じゃけえなんなん」くらいにしか評価してくれません。厳しいですね。
さらに即戦力には「新風」が求められます。新しいアイデアとかですね。その割に革新的な案を出すと「うーん」と石のように固まって動かない、それもまたこの業界では当たり前だと思っておいた方が良さそうです。
よほど人が少ない会社ならフットワークは軽いかもしれませんが、それでも社長さんの想いとズレていたらまあ「期待はずれ」の烙印を押されるでしょう。吹奏楽がメインでない会社ならいざ知らず、いわゆる「吹奏楽業界の会社」みたいなところはザ・他力本願なところがあります。
入社理由が「吹奏楽が好きだから」でも「吹奏楽でこんなことしたいという明確なビジョンがある」でも同じですが、会社員という道を選んだ以上は会社の利益、社員の生活をともに支えるということを優先せざるを得ません。「吹奏楽マニアたちが楽しく働いてる業界」とは限らないのです。正直、客のままでいた方が幸せなこともあります。
薄給、ハードワーク、社内政治、クレーマー、土日祝日出勤、プロよりアマチュアコンテンツが売れる、時代が10年遅れてる、全体的に漂う昭和感、などなどストレスフルなことは多いので、マニアな人や最先端の事例を取り込みたいという人には向いてない業界です。多分吹奏楽嫌いになります。
もちろんそうでない会社もあると思いますが、こればかりは入ってみないと分からないですね。
ただ、狭い業界なので、一つの会社で頑張っていればいつのまにか業界で名の知れた人になっていることはあります。そこまでいくともう潰しが効かないんですけど。

長くなってきたので最後にひとつ「業界に入りたいと思っている人」に向けてお願いがあるとしたら、ぜひ最初は他業種に行って色んなビジネスマナーやノウハウを身につけてください。

最近はサクッと会社立ち上げられるので、「新風巻き起こすぜ!」と勇んでやることは出来る状況ではありますが、ビジネスマナーの悪い業界なので、まずはしっかり他業種で学んでから特攻してきてほしい次第です。

楽器(パーツ)関係ならヒットする可能性はありますが、ソフト系はそんなにいきなりメチャメチャ儲かるっていうもんでもないので、軌道に乗せる前にビジネスマナー上の問題で「あいつダメだ」っていう噂が業界内を駆け巡ったらファーストステージでゲームオーバー。

なんだか夢のない話をたくさん書いてますが、覚悟して志望しないと不満ばかりが募ってしまうと思うし、有能な方からどんどん業界を去ってしまう傾向にあるので、一応書いてみました。

僕の場合は個人的に色々勝手に背負ってしまっているので、吹奏楽が好きだからというよりは「吹奏楽が好きなひとたちがもっと楽しく吹奏楽と付き合えるために何が出来るか」みたいな感じでやってます。吹奏楽という編成自体には特にこだわりがない。もちろん嫌いでもないですけど。一人一人が得られる情報をどう整えていくかみたいなところに関心がありますね。

どこの業界でも似たようなもんかもしれませんけど、受け身で楽しめる業界ではないし、イエスマンじゃ世界を変えられないし、有能な若い世代の台頭が待たれるなあ、という印象です。

すでに働いている人も含めて、もし何か不安なこととか相談事とかあればお気軽にご連絡ください。ヒマな時間があれば何かしらレスポンスは出来るかもしれません。

じゃあの。

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梅本周平

ONSAの屋号で個人事業主として吹奏楽や管楽器打楽器を中心に、情報サイト「Wind Band Press」、楽譜出版の「Golden Hearts Publications」、セレクトショップ「WBP Plus」などクラシック音楽関連の事業を行なっています。
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