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型月円卓好きに贈る『アーサー王物語』のススメ(231):円卓の崩壊~グィネヴィア王妃救出作戦~

前回までのあらすじ:アグラヴェイン卿は一撃で死んだ。アーメン。

グィネヴィア王妃救出作戦(第5~6章)

ラーンスロット卿が帰ってきたのを見て、ボース卿は大喜びだった。


ラーンスロット卿「これはこれは、そなたたちはなぜ、そんな武装をしているのかな?」
ボース卿「あなたが外出された後、親族の者やあなたに心を寄せている者たちは不安になり、ある者は寝台から裸のまま飛び出し、またある者は抜き身を手にした夢を見たのです。
それなので、なにか重大な事件が近くで起こりそうなので、あなたが罠にかけられるのではないかと思って、それでわれわれはこのような用意をしていたのです」
ラーンスロット卿「わたしのいとこよ。それではお知らせしようか。たしかに今夜、わたしの一生のうちでこれまでになかったほどの困難にあいました。 だけどわたしはこのように逃げのびられたのです」
(かくかくしかじか)
ラーンスロット卿「ですので皆さん。われわれの間に、今や戦いが始まりました。だから皆さん、お願いです。いかなる危機にあっても助けを求めたときには、どうぞお助けください。今や戦いなのですから」
ボース卿「いとこよ。神が与えたもうたものなら、何でもします。われわれはあなたとともに、多くの幸福や尊敬を手に入れてきたのですから、不幸だってあなたと一緒にに受け入れるつもりです」
皆「それだから、ご心配めさるな。あなたを苦しめる相手を同じように苦しめられる騎士たちは、この世にわれわれの騎士団しかいないでしょう。
だから決してご心配なく。われわれが愛する者たちやわれわれを愛する者たちもすべて集めましょう。
だからラーンスロット卿よ、あなたがやりたいようにやりましょう。だから不幸も喜びもともにしようではありませんか」
ラーンスロット卿「かたじけない。わたしが危機にあるとき、あなた方はよい慰めを与えてくれました。いとこよ、とても安心し大いに期待しています。
だがいとこよ、夜が明けきらぬうちに急いで、やってもらいたいことがあるのです。王の身近の者の宿所に行って、誰が味方で誰が敵であるかを調べてもらいたいのです。仲間のうちで味方と敵とのを知っておきたいのです」
ボース卿「それでは、わたしは力を尽くしてやります。七時までにあなたが言ったように、誰が味方かを調べましょう」


ボース卿は早速味方集めに走った。味方になってくれたのは以下24人だ。

・ライオネル卿
・エクター・ド・マリス卿
・ブラモー・ド・ゲイネス卿
・ブレオベリス・ド・ゲイネス卿
・ガハランティン卿
・ガリホディン卿
・ガリハッド卿
・メナデューク卿
・勇者ヴィラーズ卿
・ヒービス・ル・ルノーム卿
・ラヴェイン卿
・ハンガリーのアリー卿
・ネロヴュース卿
・プレノリアス卿
・ハリー・ル・フィス・ラック卿
・「嘆きの塔」のセリシズ卿
・メリアス・ド・リール卿
・孤児アレクサンダー卿の子ペリンガー・ル・ピューズ卿
・パロミデス卿
・サフィア卿
・クレギス卿
・サドック卿
・ディナス卿
・クリアモウントのクララス卿

更にラモラック卿とトリストラム卿の縁で80人のウェールズとコーンウォールの騎士も味方してくれた。

<ツッコミ>
うん、なんというか、世の理を感じるよね。
勝つのは正しい方ではなく、間違っていても人望がある方っていう世知辛い真実をね……。


ラーンスロット卿「よく聞いてほしいのです。わたしはこの国に来てから、わが殿であるアーサー王とわがグィネヴィア王妃に対し、力のおよぶかぎりの好意をよせてきました。
でも今夜、王妃が話があるとわたしを呼ばれたのですが、それは彼らの仕組んだ罠だったとわたしは推測します。
だから神の助力がなかったなら、彼らの計にかかって、すんでのところで殺されるところだったわけですが、それにしても王妃自身には、罪はないものと判断しています」
(かくかくしかじか)
ラーンスロット卿「皆さん、このような次第ですから、これからわたしとその一門に対する戦いが始まるだろうと思うのです。
わたしは今夜ガーウェイン卿の弟のアグラヴェイン卿とその仲間の十二人の騎士を殺してしまったのだから、きっと死を賭けた戦いになると思うのです。
その騎士たちはわたしを陥れるために、アーサー王から遣わされたわけですから。王は怒りと憎しみに駆られて、王妃に火あぶりの刑の判決を下されるでしょう。
でも王妃がわたしのために火あぶりにされるなんて、とてもたえられません。
もしもわたしの言うことが聞き入れられ、王妃のために戦う戦士として受け入れられるのならば、王妃が正しい人であることを立証するために、わたしは王妃のために戦いたいと思います。
だが王は怒り狂っているので、残念ながらわたしを正当には受け入れてはくださるまいと思う」
ボース卿「わがラーンスロット卿よ。わたしの意見ですが、神に感謝し、良いことも悪いことも、一緒に受け入れてください。気をつけましょう。
しかしキリスト教の騎士であなたに悪いことをする者はおりません。また、もしもわがグィネヴィア王妃が危ない目にあって、あなたのために苦しんでおられるのなら、あなたは騎士として、王妃をお助けください。
それされなければこの世の終わりまで、世の人々はあなたのことを、恥知らずと罵ることでしょう。
王妃とともにいたところを取り押さえられたからには、たとえあなたの行為が正しく不正でなかったとしても、今となっては王妃が恥ずかしい殺され方をしないように、王妃の味方をするのがあなたの役目でしょう。
もし王妃がそんな死に方をされれば、永久にあなたの恥になるはずです」
ラーンスロット卿「神よ、そのような恥辱より、われを守りたまえ。そしてわが王妃を非道で恥辱的な死に方から守りたまえ。
またわたしゆえに王妃が、破滅に導かれることがありませんように。だから諸公よ、わが一門の者よ、わが友よ。 おのおの方はどうなされるおつもりか?」
一同「あなたがなさるとおりにいたします」
ラーンスロット卿「それではあなた方に言いましょう。もしもわが殿アーサー王が悪意ある違憲から、明日の朝、わが王妃を火あぶりの刑に処すようなことになったなら、どのようにすれば一番いいのか、どうかわたしに助言をしていただきたいのです」
一同「騎士としてふさわしく、王妃をお救いするのがもっとも良いことだと存じます。王妃が火あぶりにされるのはあなたのせいですし、もしあなたが捕らえられるならば、同じように火あぶりか、不名誉な死刑かでしょう。
でもあなたが他の人の争いごとで、王妃を何度も死の淵から救ったことを知っています。それが今度はあなた自身のために王妃が争いに巻き込まれたわけですから、その争いから王妃を救い出すことは、あなたの名誉でもあるでしょう」
ラーンスロット卿「皆さま方、わたしは諸公や親族の不名誉になることはしたくないですし、またわが王妃がそのような不名誉な死に方をされるのも我慢ができません。
しかし皆さま方が王妃を救うようになるなら、救い出すように努めますが、それにはかなり危害を与えることになり、親しい方を何人も殺さぬともかぎらないので、後悔することになりましょう。
また何人かはうまくいくなら、あるいはアーサー王に従わずに済むならすぐにでもわたしのもとに馳せ参じたいと思っているでしょう。
こういう者たちを傷つけるのではと心配ですが、もし王妃を救うことができたとしても、どう王妃を守ってあげたらいいのか心配です」
ボース卿「そんなことを、われわれは少しも心配しておりませんよ。あの高貴な騎士トリストラム卿は、どうされたでしょうか?
あなたの好意によって美しきイソードさまも、三年余りも『喜びの城』にかくまっていたではありませんか。 あれはあなた方すべての助言で実行されたのでした。あの城はあなたの城です。
もしアーサー王が王妃に火あぶりの判決を下すようなことがあったなら、騎士らしく王妃をそこにお連れすればいいかと存じます。
そして王の怒りが静まるまで、その『喜びの城』で王妃を守ってさしあげればよろしいかと思います。
そして王の怒りが静まったなら、王の許にお連れすればよろしいので、そうすれば敵意を抱く人もいるでしょうが、 王妃をお返ししたことで、きっと感謝されるでしょう」
ラーンスロット卿「それは難しいことだろうな。たしかにトリストラム卿の場合が一つの見本になるでしょう。しかしトリストラム卿は協定を結んで、美しきイソードを『喜びの城』からマーク王のところに返しました。
だが最後にはどうなったでしょうか。トリストラム卿が愛する美しきイソードの前で竪琴を弾いていると、あの嘘つきで裏切り者のマーク王が、恥知らずなやり方でトリストラム卿を殺したのです。
背後から研ぎ澄ました槍で、一突きに、背中を心臓まで突き刺して。これは実に嘆かわしいことです。トリストラム卿の最期を語るのは、本当に痛ましいことです。世界じゅうを探しても、あれほどの騎士は、見つからないでしょうからね」
ボース卿「すべてその通りでしょうな。ただ一つだけ、あなたやわれわれを勇気づけてくれることがありますね。それはアーサー王とマーク王とでは、まったく事情が違うということですよ。
ご存じのようにアーサー王が約束を破った、などと立証できる者はいまだかつて一人もおりませんからね」


こうして翌朝、グィネヴィア王妃が火刑場に連れ出されていたら全員でグィネヴィア王妃を救出する事になった。
そのためカーライルの森の近くに全員で身を潜め、王の動向を確認するという事で違憲がまとまったのであった。

<ツッコミ>
ヴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!(あまりの倫理の違いに限界が来て絶叫)
どいつもこいつも「不倫して何が悪いんですか???」みたいなノリでいやがって!!!!!!!!!!!!!!!
不倫男と不倫女ばっかりかこの国は!!!!!!! だから円卓の騎士に童貞が150人中3人しかいないなんて事に、あああああああああああああああああもおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
全員慰謝料請求されちまえ!!!!!!!!!!!!!!! グィネヴィア王妃に5億くらい慰謝料払わせろ!!!!!! 20年以上浮気は悪質すぎるだろ!!!!!
あ、でもアーサー王もマーゴースと浮気してるので慰謝料払ってくださいね。この国の弁護士、9割離婚専門だろうな。
それはそれとして、ちょこちょこ推しが良い感じのアドバイスをラーンスロット卿にして頼りにされているのは嬉しい。複雑なファン心。

では、また次回。

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