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型月円卓好きに贈る『アーサー王物語』のススメ(221):死ぬほど長いトリストラム卿の冒険~トリストラム卿と美しきイソードについてくるパロミデス卿~

前回までのあらすじ:自分も散々変装してたのにトリストラム卿の変装に文句をつける、自分を客観視できないラーンスロット卿。

トリストラム卿と美しきイソードについてくるパロミデス卿(第77~78章)

天幕に案内されたイソード王妃は、パロミデス卿にブチ切れていた。
パロミデス卿に卑怯な行動を全部見ていたのだ。
一方、トリストラム卿やガレス卿、ディナダン卿はまだ知らない。

試合が終わるとトリストラム卿、ガレス卿、ディナダン卿はイソード王妃がいる天幕に戻った。
パロミデス卿も変装したままついてきたので、トリストラム卿は銀の盾の騎士がパロミデス卿だとわかった。


トリストラム卿「騎士よ、ここにはあなたが一緒に必要としている者はおりません。どうぞお引き取りください」
トリストラム卿を知らないフリをしているパロミデス卿「わたしはこの一行から離れません。なぜならこのもっとも優れた騎士がわたしに同行を命じたからです。その人がその命令を撤回するまで、わたしはその人の命令を守ります」
トリストラム卿「ああ、パロミデス卿よ。そなたの名声は間違いだった。そなたは立派な騎士だと言われてきた。だが今日にひどいことをしましたね。
もう少しでわたしは殺されるところだった。だがそなただけが相手なら、わたしはとてもよく戦えたろうと思う。
でもラーンスロット卿がそなたの味方についたのでは、負担が重すぎました。ラーンスロット卿が本気になれば、ラーンスロット卿本人しか相手にならないことを、わたしはよく知っていますよ」
パロミデス卿「本当に、あなたはご主人のトリストラム卿なのですか?」
トリストラム卿「そうです。そなたにはよくわかっているはずだ」
パロミデス卿「わたしは騎士道にかけて申しあげるのですが、いままであなただとは知りませんでした。アイルランド王だと思っていました。その王の武具を着ておいでなので」
トリストラム卿「そうだ、王の武具をつけていた。わたしはこれからもそうしよう。これはマーハウス卿という名の立派な騎士と戦って勝ち取ったものなのだ。
苦戦のあげくその騎士に勝ったのだが、さもなくば殺されていたろう。マーハウス卿は偽医者にかかって後で命を落とすのだが、わたしには降伏しなかったな」
パロミデス卿「殿よ。あなたがラーンスロット卿の側に変わったのだと思って、それでわたしもあちら側に変わったのです」
トリストラム卿「よく言った。そういうことにして、そなたを許そう」


<ツッコミ>
その言い訳は無理がある……! トリストラム卿も無理があると思ってる……!
でも許してくれるんだな……優しすぎるなトリストラム卿……。

天幕に帰った一行は武装を取って食事を始めた。
だがイソード王妃パロミデス卿にブチギレていたので、怒りのあまり口もきけなかった。


トリストラム卿「なぜそのような顔つきをなさるのですか? 今日われわれはたいへんな働きをしたのに、どうしてなのですか」
イソード王妃「わたくしの親愛なる殿よ。どうぞわたくしのことを不愉快に思わないでくださいな。ほかにどうしようもなかったのですわ。
今日あなたが裏切りにあわれ、死にそうな目にあわれたのを見てしまったのです。どうしてそのようになったのか、わたくしは見ていたのです。
ですのでパロミデス卿のようなひどい裏切り者とあなたが同席しているのを、どうやって耐えていたらいいのでしょうか。
試合場を出ていくあなたを見ているパロミデス卿をわたくしは見ていました。あなたが戻ってくるまでパロミデス卿は馬に乗って待っており、それから傷ついた騎士のところに行って武具を取り替えると、試合場じゅうあなたを探し、
見つけるとまっすぐにあなたに向かっていき、意図してあなたと戦ったのです。
だけどわたくしは、あの人のことは大して恐れませんでしたが、あなたと知らずにいるラーンスロット卿は恐ろしいと思いましたわ」
パロミデス卿「王妃よ。何とでも言ってください。反論はいたしません。だが、騎士道にかけて申し上げますが、あれがトリストラム卿だとは知らなかったのです」
トリストラム卿「パロミデス卿、そなたの言うことを信じよう。だがそなたはわたしにあまり手影をしなかったな。だがもういいのだ。わたしはすべてを許そう」


イソード王妃はそう聞いて、言うのをやめた。

<ツッコミ>
そんなクソ言い訳を騎士道にかけて言って大丈夫か????
トリストラム卿は優しすぎる。五発くらい殴ってもいいと思うんだが。

そこに騎士が二人武装したままでやってきた。


トリストラム卿「立派な騎士どのよ。食事の最中にそのように完全武装のまま入って来るなどとは、失礼ではないですか。
試合場にいるときに、われわれに何かを求められるならば、お心にそえるようにはいたしますが」
騎士「そうではないのです。そのような目的で来たのではないのです。実はトリストラム卿、われわれは友だちとして来たのです。
わたしはあなたに会うために、そしてこの騎士はイソード王妃に会うために来たのです」
トリストラム卿「では顔が見えるように、兜を取ってください」
騎士たち「はい、ではあなたが言われるとおりにしましょう」
ディナダン卿「最初に話しかけた人はわがラーンスロット卿で、あちらは主君のアーサー王ですよ」(小声)
トリストラム卿「王妃よ。お立ちください。ここにおられるのは、わが主君アーサー王です」 "


一行は挨拶を交わし、アーサー王とラーンスロット卿は武装をといて語らいが始まった。


アーサー王「王妃よ。私は何日も前から、あなたにお会いしたいと思っていました。
あなたはたいへんお美しい方だと聞いておりましたが、本当にあなたほど美しい方を見たことがありません。
そしてトリストラム卿は、私が知っているよりも強いです。二人はとてもお似合いですね」
トリストラム卿&イソード王妃「ありがとうございます。王さまの気高いこと寛大なことは、ほかに比べようがございません」
アーサー王「だけど、いったいどういう理由でトリストラム卿と、あなたはわたしの敵側についたのですか? あなたは円卓の騎士なのだから、本来は味方につくべきなのに」
トリストラム卿「はい、王さま。ここにディナダン卿と王さまの甥のガレス卿がおりますが、この二人がわたしに敵になるように仕向けたのです」
ガレス卿「わが主君アーサー王よ。その非難は甘んじて受けましょう。でも実は、トリストラム卿自身がされたことなのです」
ディナダン卿「実際のところ、それが残念でなりませんよ。この不幸を招くトリストラム卿が、われわれをこの試合場に駆り出して、われわれに大きな打撃をこうむらせてしまったのですよ」
(ラーンスロット卿とアーサー王、大爆笑)
アーサー王「ところで、あれは誰だったのかな。そなたをあんなに激しく攻め立てた銀の盾の騎士とは?」
トリストラム卿「はい、王よ。彼ならこの食卓に座っています」
アーサー王「何と。ではパロミデス卿だったのか」
イソード王妃「王さま 確かにそうですわ」
アーサー王「何ということだ。そなたのような立派な騎士が。礼儀正しい騎士と聞いていたのに、騎士らしくもないな」
パロミデス卿「王よ、トリストラム卿だとは知らなかったのです。変装していましたので」
ラーンスロット卿「まったくそうかもしれないな。わたし自身もトリストラム卿とは知らなかったのだからな」
トリストラム卿「それにつきましては、彼を許しましたし、パロミデス卿が仲間から離れることはとても残念ですし、彼が仲間でいることが好きですから」


<ツッコミ>
アーサー王がずっと気になってる事をツッコんでくれた。
でも隣にいる湖の騎士にもツッコんでくれ。
それにしてもトリストラム卿、心が広い。

夕方になるとアーサー王とラーンスロット卿は宿舎に帰っていく。
パロミデス卿の心は晴れず、徹夜でぴえんしていたのだった。

<ツッコミ>
パロミデス卿……(ドン引き)。

トリストラム卿、ガレス卿、ディナダン卿は早起きしてパロミデス卿のところに行った。
徹夜だったのでパロミデス卿はぐっすりだ。涙のあとが残っていたらしい。

<ツッコミ>
恋する乙女みたいな事してる……。


「何も言わないでくれ。わたしやイソード王妃から侮辱を受けたと思い、怒ったり悲しんだりしたのだろうな」


<ツッコミ>
トリストラム卿、なんて優しいんだ……。

では、また次回。

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