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『K2』は実質『ウルトラマン』である

少し前、まだ正気だった頃にはただ「面白い漫画」としか思っていなかったはずなのに、何度も読み返し噛みしめるうちに気が狂っていた。なんだこれ遅効性の毒か? 潜伏期間が長いタイプの感染症か? こわっ。

それもこれも『K2』がウルトラマンと人間の絆の物語だからである。
はいそこ、狂人の戯言が始まったと思ってブラウザバックしない。これから説明するから。私は大真面目だから。

『スーパードクターK』『Doctor K』『K2』におけるウルトラマンとは誰か。
これは当然Kの一族である。「Kの一族は超人的な医療技術を持っているだけであくまで人間」とかそういうマジレスはこの場合しなくていい。概念の話なので。
ウルトラマンとは光の超人であり、人間を超越した力を持っているが神ではなく限界はあり、人間に好意的な善の存在で、人間が努力しても力及ばない時に現れて助けてくれる者だ。
ほら、Kの一族じゃん!!!!!!!!

しかもこの漫画、ストーリー展開もだいたいウルトラマンである。

・日常描写→怪獣が出現→人間が退治しようとするがピンチに→ウルトラマン登場→怪獣を倒す

これが大まかなウルトラマンのストーリー展開だ。一方の『K2』のストーリー展開はこうなる。

・日常描写→病人怪我人が出てくる→一般医者が治療しようとするが手に負えない→ドクターK登場→手術で病気や怪我を治す

ほらウルトラマンじゃん!!!!!!!!!!!!!!
「ギリギリまで頑張ってギリギリまで踏ん張ってどうにもこうにもどうにもならないそんな時にウルトラマン(ドクターK)がほしい」じゃん!!!!!!!!!!!!

そのうえ、『スーパードクターK』『Doctor K』『K2』で世代交代しているのもウルトラマン感をだいぶ出してくる。
西城KAZUYA→神代一人→黒須一也の世代交代は、『ウルトラマン』→『ウルトラセブン』→『帰ってきたウルトラマン』のシリーズ展開を彷彿とさせるのだ。「それはお前だけだろ」というツッコミは私が泣くので勘弁してほしい。

さらにさらにウルトラマン感を出してくるポイントは他にもある。ウルトラマンことKの一族と変身者ことKの一族ではない医者との関係性だ。
ウルトラマンは大きく「融合型」と「擬態型」に分けられる。
「融合型」は現地人とウルトラマンが融合し、現地人が変身する事で別人格のウルトラマンになるタイプの事だ。現地人とウルトラマンはあくまでも別人格である。
「擬態型」はウルトラマンが現地人のフリをしており、変身する事で元の姿に戻るタイプの事だ。現地人の姿をしていても人格はウルトラマンのものである。

この論理をKの一族に当てはめると、神代一人は「融合型」、黒須一也は「擬態型」となるだろう。
西城KAZUYAについては『スーパードクターK』『Doctor K』を未読なので断定はできないが、おそらく「融合型」だ。

とはいってもKの一族は一応人間なので、実際に融合するわけではなく概念の話だ。
「融合型」ウルトラマンの醍醐味はバディとなった人間とウルトラマンの絆であり、ウルトラマンは人間を助ける存在だが同時に変身者である人間に助けられる事もある。
では、『K2』における変身者とは誰か。これは非常にわかりやすい。富永研太である。
そもそも『K2』は神代一人と富永研太の出会いから始まるのだ。もうその流れが完全にウルトラマンメソッドなのである。
『K2』第一話「消えた傷」において、富永研太は負傷した岡元刑事を助けようとするが力及ばず、泣きながら医者を呼ぶ。そこにドクターK――神代一人が現れ、手術をする流れだ。
これは「融合型」ウルトラマンの第一話にかなり近い。「融合型」ウルトラマンはだいたいこのような流れで融合する。
・怪獣出現→勇気ある地球人の若者が誰かを助けようとするが力及ばずピンチに→空からウルトラマンが現れ若者を助け融合、怪獣を倒す
これ読んだ!!!!!! 『K2』第一話で読んだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
もうこれは『ウルトラマンK2』ですわ!!!!!!!!!

そして先に紹介した「融合型」ウルトラマンの醍醐味、人間とウルトラマンの絆は当然『K2』でも描かれている。めっちゃ仲良いもんなこの2人。一緒に野球とか見に行ってるし。
さらに「融合型」ウルトラマン最終回でおなじみ、「ウルトラマンとの別れ」も『K2』はやっている。そう、『K2』187~192話の「岐路」だ。この回で富永研太は親の跡を継ぎ、「戦友」神代一人の元を離れる事となる。「人間」富永研太は自らの力で「怪獣」病魔を倒せるようになり、「ウルトラマン」神代一人と離れていても共に戦う仲となったのだ。感動の『ウルトラマンK2』最終回である。

一方の「擬態型」ウルトラマンの醍醐味は、宇宙から来た異物とも言えるウルトラマンと人間の絆だ。ウルトラマンは自分が宇宙人である事を隠して人間たちと接しているわけだから、「融合型」とは違った栄養素が取れる。
黒須一也は西城KAZUYAのクローンであり、他の人たちとは違った生い立ちをしている。いわば彼も人間の異物であり、「擬態型」ウルトラマンの特徴を有していると言っていいだろう。
そんな「擬態型」ウルトラマンの見せ場は「正体を明かす」場面である。自らが人間ではないと親しい人に打ち明け、果たして認められるのかという場面だ。ウルトラマンシリーズでは最終回で正体バレする事が多いのだが、中盤で正体バレしたものも存在している。
この正体バレに該当する『K2』のエピソードは195~201話の「啓発」だ。同級生の宮坂詩織に自らの出生を語り、彼女がそれを受け入れる感動的なシーンである。もう実質『ウルトラセブン』の最終回なんだよなこれ!!!!!!!!!!!

『ウルトラセブン』49話「史上最大の侵略(後編)」
「アンヌ、ぼくは……ぼくはね、地球の人間じゃないんだよ。M78星雲から来た、ウルトラセブンなんだ! ……びっくりしただろう?」
「ううん、地球人でも、宇宙人でも、ダンはダンに変わりないじゃないの。例えウルトラセブンでも」

『K2』200話「啓発(その6)」
「じゃあ今ここにいる僕は……一体なんなんだ!?」
「君は 黒須一也くん」

同じじゃん!!!!!!!!!! 同じじゃん!!!!!!!!!!

あとこれはおまけだが、そもそも人類の善性と強さをとことん信じる作風もウルトラマンっぽいと言える。
なのでこれは『K2』を愛するイメソンマンにお伝えしたいライフハックなのだが、割とウルトラマンのテーマソングが合う。『M八七』とか『K2』の曲な気がしてきた。「君が望むならそれは強く応えてくれるのだ」とかだいぶKの一族じゃん。
ちなみに作者の真船一雄氏はあの『ウルトラマンSTORY0』の作者で大の特撮好きとか。……マジで確信犯かもしれない。

以上である。ここまで私の早口語りを読んでくれた方、本気でありがとう。
全人類『K2』を読んでくれ。あとあわよくば特撮も見てくれ。あのキャラやあのキャラの名前の元ネタらしき名前がぽんぽん出てくるから。
例:「富永研司」という名のスーツアクターさんがいるなど

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