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型月円卓好きに贈る『アーサー王物語』のススメ(172):死ぬほど長いトリストラム卿の冒険~トリストラム卿の追放~

前回までのあらすじ:元引きこもり、あっという間に死す。

トリストラム卿の追放(第20~21章)

助けられたディナント卿は巨人の首を拾い上げてマーク王のところに持っていって、自分が見たものを報告した。


マーク王「どこでその冒険に出会ったのか?」
ディナント卿「実はある美しい泉のそばです。 そこは冒険を求めた多くの騎士たちが出会うところです。そしてそこに気の狂った男もいたのです」
マーク王「さて、わたしもその狂人に会ってみたいものだ」


数日後、マーク王は有言実行とばかりに泉のそばにやってきて裸で眠っているトリストラム卿を見つけた。
マーク王は騎士たちに命じてトリストラム卿を城に連れて行って風呂に入れて食事を与え、正気が戻るようにした。
だが、彼らはそこにいる狂った男がトリストラム卿だと気がつく事はなかった。

ある日、イソード王妃も裸の狂った男が城にいる事を耳にして、ブラグウェイン婦人と一緒にその男を見に行くことにした。
だが残念ながらイソード王妃もその男がトリストラム卿だと気が付かず、「前に会った事がある気がする」レベルに収まった。
一方のトリストラム卿はイソード王妃の事を忘れていなかったので、顔をそむけて涙を流したのだった。

<ツッコミ>
みんなトリストラム卿に気が付かなすぎだろ……。
髪切っただけでそんなわからんくなる???
実はスキンヘッドとかになってたりするのか???

だがここで急に後付設定が出てくる。イソード王妃はコーンウォールに初めて来たときにトリストラム卿が贈ってくれた子犬を飼っていた。
トリストラム卿に懐いていたこの子犬はトリストラム卿に飛びついて顔を舐めたので、ここでようやくこの男がトリストラム卿だとわかったのだ。

<ツッコミ>
そういう設定はもっと早くから出しておくんだよ!!!!!!!!!
唐突に出すな!!!!

イソード王妃は気絶してなかなか回復しなかったのだが、回復するとこう言った。


イソード王妃「ああ、わたしの愛しいトリストラム、あなたが生きていらしたなんて、なんてありがたいのでしょう。あなたはこの子犬のために、あなただとわかってしまいましたわね。
だってこの犬はあなたから離れようとしないんですもの。このことでマーク王があなただと気づいたら、すぐにあなたをこの国から追放するか、あるいはあなたを殺すでしょう。
ですので、お願いです。 マーク王には好きにさせて、あなたはアーサー王の宮廷にいらしてください。あなたは、あそこなら皆に好かれていますから、折りをみてあなたに使いを送りましょう。
そうすればあなたは気が向いたときに、わたくしのところに来られますわ。朝夜いつでも、わたくしはあなたのご指示に従いましょう。
そしてどんな王妃もどんな貴婦人もしたことのないような貧しい暮らしにも耐えていくつもりですわ」
トリストラム卿「ああ、貴婦人よ。わたしのそばから離れてください。わたしはあなたへの愛のために、多くの苦悩や危険に耐えてきたのですから」


イソード王妃は立ち去ったが、子犬はトリストラム卿から離れようとしなかった。

<ツッコミ>
もしかして駆け落ちのお誘い????

そしてそこにマーク王がやってきてしまったのだ。はい話がややこしくなる予感。
子犬がトリストラム卿の上に座って吠え立てるのを見て、実はいたアンドレッド卿が余計な事を言った。


アンドレッド卿「王よ、これはトリストラム卿です。この子犬の様子を見ればわかりますよ」
マーク王「いや、わたしにはそうは思えない。おまえは何者であるか、名前はなんというのか、正直に言うがよい」
トリストラム卿「神かけてわたしの名前はリオネスのトリストラムです。さあ、このわたしを好きなようにしてください」
マーク王「ああ。そなたが正気になったことが、残念だ」


マーク王はトリストラム卿を死刑にしようとしたが、反対にあい、10年の国外追放となった。

<ツッコミ>
つまり狂ったままならこのまま許せたのに……みたいな?
なにそれ……こわ……。

一方その頃、ディナダン卿というアーサー王の騎士がやってきて、トリストラム卿が追放される前に馬上槍試合をしたいと言い出した。
トリストラム卿はそれを受け、ディナダン卿を落馬させた。
はいフラグがたちました。ディナダン卿 が なかま に なった!


トリストラム卿「マーク王とわたしの敵みんなに挨拶を送りたい。わたしはできるならばいつでも戻ってくるとマーク王に伝えてほしい。
わたしはマーハウスと戦い、この国をアイルランドの属国から解放したのに、そのお礼がこれなのか。
それからわたしはブルーアー城からイソード王妃を、アイルランドからお連れいたし、それにかかった時間や苦労、またその前後を通じて、わたしにふりかかった危険に対しても、受ける扱いがこれだとは。
またブルーアー城からイソード王妃をお連れするために、途中でどんなにか危険を冒したことだろう。
セグワリデス卿の妻のためにプレオベリスと戦ったわたしは、今充分にその報いを受けているわけだろうし、美しきイソードの父アグウィッサンス王のためにプラモー・ド・ゲイネス卿と戦ったときのことも今充分に報われているわけだ。
また王の要請によって良き騎士であるウェールズのラモラック・ド・ゲール卿を倒したお礼も、今こうしていただいているわけだ。
百騎王と北ウェールズ王がマーク王の国を支配下に収めようとしたとき、わたしは彼らと戦い彼らを敗北させた。そのときのお礼も今いただいているわけだ。
強大な巨人トーラスをやっつけたことも報われたわけだ。そしてこれまでわたしが、マーク王のためにやってきた他の多くのことに対して、今こそわたしは報いを受けたわけだ。
マーク王に伝えてほしい。 わたしのために多くの高貴な円卓の騎士が、この国の直臣たちに危害を加えず見逃してくれたのだ。
またわたしがパロミデス卿からイソード王妃を救い出したときのお礼はまだ充分にはいただいてない。
あのとき、マーク王が配下のみなの前で言ったわたしへのお礼は、この仕打ちよりは良いものだったはずだ」


<ツッコミ>
総集編かな??????????
トリストラム卿のこれまでの冒険が簡単にわかるのでこの台詞は非常に参考になる。
でも自分がやった悪い事は隠してる辺りがこいつ……感あるな。

では、また次回。

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