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ポール・マッカートニー自身が語った NOW AND THEN.

先日12月2日、私たちビートルズファンが 新曲 "Now And Then" についてずっと聞きたいと思ってたことを、遂にポール自身が彼の口から語ってくれました!

ポールは現在 Got Back Tourでブラジルを訪れていて、そこでブラジル最大の放送局ヘジ・グローボの番組 "Conversa com Bial" に出演し、進行役のペドロ・ビアルと対話する形でさまざまなトピックについて話しています。

▼ 今回、わたしはこちらの番組の書き起こし記事や、実際に番組を見た方のSNSへの投稿を情報源に記事をまとめています。🇧🇷

では早速、時系列無視でビートルズのことについて語っている部分を抜粋して紹介させていただきます。


ジョンは誰を想って書いたのか?

まずひとつは、『ジョンは "Now and Then"(デモ段階のタイトルは "I don’t want to lose you")を誰のために書いたのか?』ということです。

ポールは、そのことについて問われ、以下のように答えています。(要約)

「ジョンがこの曲を誰に向けて書いたのかは分からない。ヨーコの可能性もあるし、僕たちのことなのかもしれないし」
「でも『ポール、君のためだと思う』って言ってくれる人がいて、それって凄くいいなって思うから、僕はそう思うことにしたんだ。ありがとう、ジョン」

これまでわたしが読んできたいくつかのインタビュー記事で、例えばプロデューサーのジャイルズ・マーティンが「この曲はジョンからポールや他のビートルへのラブレターだと思う」と言っていたり、ピーター・ジャクソン監督が「これはジョンが直接的にポールに語りかけてるんだと思う」と話したりしていましたが、ポールはそういう風に言ってくれる人たちの話を聞いて、その解釈は素敵だし、自分もそれを採用することにしたと語っています。

ポールは誰を想って歌っているのか?

さらに、「 “If I make it through, it's all because of you” という歌詞を歌う時、誰のことを想ってるの?」と聞かれたポールは次のように語りました。

「これはジョンの曲で、自分はジョンの歌詞を歌っているだけなんだけど、この "Now And Then" を作ったグループ、4人のこと、4人のボーイズのことを想って歌ってるんだ」

これは非常に衝撃的というか、わたし(たちファン!)もそう思いたいし、ポールもきっとそんな風に思ってるんじゃないかと妄想してきましたが、「やっぱりそうだったのね!」とポールと想いを共有できたような、かなり震える発言でした。

そして、ポール、ジョン、ジョージ、リンゴ、ビートルズ、本当に存在してくれてありがとう!!!!!!!!!!という気持ちになりました。

これは持論でしかありませんが、歌詞というのは一義的に捉えることは難しくて、わたしは "Now And Then" のジョンのソロver.を聴いた時も、ビートルズの事・ヨーコの事・果ては母ジュリアの事にも思えました。
ジョンがこの楽曲に手を付けたのは1974年だとか1978年だとか色々言われていて、彼も作曲する中で、また歌う時によって、思うことや想い浮かべる相手が変わっていた可能性だってあるんじゃないかと思います。
 
だからポールがこう捉えて楽曲を完成させたのなら、ビートルズの "Now And Then" はそういう意味合いを持つ曲ってことで良いんだと、改めて感じました。

Now And Thenの歌詞の変遷

Now And Then ライナーノーツより

これまでいくつかのジョンの歌詞の変遷が窺える資料を目にしましたが、その中でわたしが注目しているのが "Now And Then" のアナログ盤のライナーノーツに掲載されているジョンの手書きの歌詞の画像です。↑

これをじっと眺めて続けてわたしが解読した歌詞がこちらです。

英語だしジョンの字が独特で完全に読解できてる訳でもなく、読み違えもあると思います。リリースされたビートルズの"Now And Then"とも、ジョンの "I dont want to lose you" の歌詞とされるものとも結構違います。

でも "I’m still in love with you" とか "now we will start as friend" とか、これはジョンがポールやビートルズを想って書いたと受け取れるんじゃないかなーーーーー????と妄想が捗るような内容にも読めてしまうのです。

このジャケットに掲載されている画像の歌詞は、ジョンがどのタイミングでどこに書いたものなのか、またいつか知る機会があればいいなと思います。

ポールと新しいテクノロジー

ポールは、ブラジルで出演した番組の中で、「ジョージはもうギターを演奏することができないけど、"Now And Then" では4人で一緒に演奏することができたから本物のビートルズのレコーディングのように聞こえるし、多くの人がワオ!って言ってくれて、とてもいいと思う」とも語りました。

「ある種のテクノロジーは人を欺いて『これはポールが歌ってる ”God Only Knows”だ』と言うことだってできる(僕は歌ってないのに)」みたいな事も話しています。
私たちはちゃんとそういったテクノロジーとの付き合い方についても考えないといけないな、と思いました。"Now And Then" を契機に。

そして "Get Back" や "Now And Then" の制作にも使われ、ポールが「とてもクール」と語ったのが、ピーター・ジャクソン監督のチームが開発したMALの技術。
そのお陰で私たちは今ビートルズの新曲・新譜が聴けています。
PJ監督はマジック・アレックスの100倍、ちゃんとした魔法使いというかテクノロジーの使い手です!(これはわたしの感想です。)

ポールはこの技術を使ってPJ監督が "I’ve got a feeling" のジョンのパートのクリアな音と映像を持ってきてくれて衝撃を受け、そのジョンとツアーで一緒に演奏できた喜びについても語っています。

ビートルズと世界ツアー


ビートルズは世界ツアーでブラジルを含む南米を訪れていませんが、60年台のビートルズのブラジルツアーの計画について尋ねられたポールは、当時のことをこう振り返っています。

「僕たちはマネージャーの言う事を聞かないといけなくて、エージェントが『次は日本だ』と言うと『分かった』と日本に行くことになる。自分たちで『ブラジルに行こう』と決めることはなかった。でも、今は自分でツアーで訪れたい場所を選べるんだ」

ビートルズ日本公演

私たち日本人にとっては、ビートルズが1966年に来日してくれたことはとても嬉しいことですし、きっとそこにはボーイズの意向もあったのではないかという希望的観測もしつつ、その時来日に向けて尽力してくださった方々に改めて感謝の気持ちを抱きます。

ポールのブラジルでの思い出

他にも番組の中でポールは、ブラジルの印象や音楽について、またこれまでのツアーでの出来事や環境問題などについても触れています。
わたしが興味深いと思ったエピソードをいくつか紹介します。

まずひとつは、1990年のポールのワールドツアーのブラジル初公演の時のこと。
マラカナンに着いた時すごく天気が悪くて、記者会見でも「雨が降ったらどうするんだ」と尋ねられたポールは、天気予報も知らない中で「大丈夫、雨は降らない」と答えます。
そして実際に、当日はライブの1時間くらい前に雨が止んだそうで、そんな自信満々エピソードはポールらしくていいなと思いました。

それから、2013年のゴイアニアのライブで 「"The Long And Winding Road" を歌っているときに侵入してきたコオロギに "ハロルド" というあだ名をつけた」とか、「"Live and Let Die” を歌っている時にスクリーンの光に吸い寄せられて無数のコオロギがやってきて、でも舞台演出の爆発で一気に飛んでいったけど何匹かが自分の上に落ちてきた」みたいなブラジルならではの虫エピソードも披露してくれています。

ポールがライブで一番好きなこと

ポールはライブで、自分以上に自分を知ってくれているようなファンの前で演奏し、彼らの反応を見たり温かい気持ちを受け取ることが何よりも好きなんだそうです。

あるブラジルのライブで、"Let It Be" か何かを歌っている時、男性が腕に抱いた娘とお互いに見つめ合っていてその表情がとても愛情に溢れていてグッときた、というようなエピソードも語っています。

もし、来年以降ポールの来日公演が実現し、そこへ行く機会があれば、私たち日本のファンもポールが嬉しいと感じてくれるような雰囲気を作れるといいなと思います。

"Now And Then" という言葉

ジョンがポールと交わした生前最後の言葉が「 "Think of me every now and then, old friend"たまには俺のことも思い出してくれよな」だったという事が、このビートルズの "Now And Then" がリリースされた時に話題になりました。
この言葉も楽曲制作に影響してるのか問われたショーン・オノ・レノンは否定も肯定もせず、「そうだったら素敵なことだね」と返していましたが、この " Now And Then/時々 " という言葉は本当に絶妙な表現です。

"Always love you" とかじゃなくて "Now and then I miss you" っていう距離感が、私たちをこんなにも切なくさせて、表舞台から離れていたジョンが、ポールや、かつて共に音楽を作ったビートルたちを思いながら書いたんじゃないかと思わせる所以のひとつになってるんじゃないかな、なんて思います。

Now And Then ポスターとビートルズ号外

12月1日には、日本国内仕様盤CDの発売に合わせて『ビートルズ号外』が発行されたりと、まだまだ話題の尽きないビートルズのラストソング "Now And Then" ですが、こうして新しい証言やエピソードを見聞きするたびにますます好きになっていきます。

師走を迎え一気に寒くなって参りましたが、引き続き "Now And Then" 、赤盤青盤ニュー・リミックスなんかを聴きながら、ビートリーな年末を過ごしましょう。

▼同じ内容の動画もあります。


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