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Webデザインは既に紙のデザインの延長ではない

今日のWebの嚆矢はティム・バーナーズ=リーによるCERNの文書管理システムからです。文書中にURLを埋め込むことで、他の文書も参照できるようにしたこのハイパーテキストが進化して今日のWorldWideWebの作っています。

そのハイパーテキストである、HTMLは今なおWebページの基本技術として活用されています。

Webデザインの発生

初期のWebはテキストと画像が載せられる程度だったので電子化された文書といった方が適切だったでしょう。HTMLの進化によってレイアウトや様々な装飾表現が実装されていく中でWebデザインというのも萌芽が生まれます。綺麗に飾ったり、見やすくレイアウトしたりデザインができるようになりました。

まだ専門のWebデザイナー(ここでは「Webの専門教育を受けて、Webを作るためのデザイナー」の意味)はいませんから、見た目を美しく整えられるデザイン素養のある人と言えばグラフィックデザイナーやエディトリアルデザイナーといった紙のデザイナーでした。

今のベテランWebデザイナーは元は紙のデザイナーといった人も多いのではないでしょうか?

インタラクティブなメディア

その後もWebは様々な機能を実装しながら進化していきました。文書を表示するものから、双方向性を備えたインタラクティブなメディアになっていったのです。

画面上には多数のボタンが出現し、ユーザーが操作する場面が多くなりました。もはや、単に文字や絵を読むためのデザインではなく、使うためデザインであることが求められます。

Webデザインへのフォーク

歴史的には紙のデザインからスタートしたWebも、紙のデザインからは袂を分かち、Webデザインとして独立しました。コンピュータっぽく言うと「フォーク」です。

つまりWebデザイン独自のデザイン言語を獲得し、そのデザイン言語をもってデザインする必要が今後はあります。UI/UXなどもその一つでしょう。紙のデザイン言語はWebデザインにおいては必ずしも通じないということです。(もちろん、共通する部分もあります)

マテリアルデザインはWebデザイン言語をまとめた一つの体系です。その他にも様々なデザインフォーマットが出ていますが、いずれもWebデザインとしてあるべきデザインの姿を提案しているのではないでしょうか。従来のデザインからは脱却した新しいWebデザインへの提案です。

UIデザインへと収斂していくのか

アプリとWebの境界は曖昧になってきています。Google spreadsheetをはじめとしたWebアプリだけでなく、スタンドアロンのアプリもクラウド連携によってオンラインで反映されるようになっています。

ともするとWebデザインはアプリもひっくるめた、UIデザインへと取り込まれて、WebデザインはUIデザインの一表現型としての立ち位置になるようにも思えます。Webデザイナーのキャリアパスは最終的にUIデザイナーになるのでしょうか。

そうは思いません。使うためのデザインであっても、使うためだけのデザインではないからです。アプリほど機能主義的ではないし、かといって紙のような見るためのデザインでもないです。その中間の、両方の要素がWebには必要だと思います。

Webデザインの未来

引き続きUIデザインの要素は重要になってくるでしょう。その一方でグラフィカルな要素もますます重要になってくると思います。それぞれが別個が独自に進化していく、というよりは互いに影響しあって化学反応を起こしながら進化いくと思います。

グラフィックにおけるUI要素、UIにおけるグラフィック要素、それぞれが混ざり合いながらより洗練されたWebデザインへと進化していくと思います。

最後に

15世紀にグーテンベルクによって活版印刷が開発されて以来、500年以上の歴史のある紙のデザインから比べれば、Webデザインなんて赤ん坊のようなものです。そのWebデザインがどのように進歩していくのか、これからも見守りたいと思います。



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