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【読書感想文】佐藤可士和の超整理術

本の概要

クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏の思考のプロセスをまとめた本です。タイトルにもあるように「整理」というキーワードから、クライアントの要望に対してどう応え、問題を解決していくか、というのを事例を交えて紹介しています。

クリエイティビティを用いて問題を解決すると聞くと、すごく難しいそうで、アイデアやひらめきが必要にも感じられます。しかし、「整理」をうまく活用すれば、何か特別なことが必要ではないことを本書では解説しています。

デザイナーはもちろんのこと、そうではない仕事においても応用できる場面はたくさんあるので、どんな人が読んでも得るものがある本です。

モノも思考も整理が大事

本の前半ではモノの整理の仕方を、後半はそれを思考の整理として応用してます。いずれの場合も「状況を把握する」「軸を定める」「解決を目指す」というステップで整理しています。

例えば書類を整理するにしても、前段階の課題を解決せず、いきなり解決を目指したところで上手くいきません。その場合、一時的にはキレイになるかもしれませんが根本的には整理されていない、ということになります。

これは、ブランディングにもおいても同様で、この3ステップを経ないとブレたアウトプットになってしまいます。

聞くことからはじめる

状況を把握し、軸を定めるためにはクライアントから話を聞くことが大事だと氏は言います。問題の根はクライアント自身も分かっていないこともあるので、対話の中で見つけていくこともあるそうです。

相手の持っている情報を引き出し、整理することで問題の根本を把握することができます。そのためにはまず、聞くことからはじめないといけません。

本質的なるもの

氏によればクリエイティビティは単なるひらめきによるものではないそうです。整理を丁寧に行い、紐解くことで導けると。整理された情報をたどっていけば、そこに問題の本質が見えてくるのです。

その本質され見つかれば、あとはその問題を解決するようにアプローチしていけば良いのです。

つまり、その本質的なものを探し出すために、整理術は非常に大切なのです。

佐藤氏にしかできないこと

ただ一方で、最終的なアウトプットは佐藤氏のセンスによるものだなと感じました。

例えば氏が手掛けた国立新美術館のロゴも、アプローチを定めたうえであのロゴを生み出せるのは氏のなせる技でしょう。自分が同じアプローチ、着眼点、切り口でロゴを作っても、あのようなアウトプットは無理です。

しかしアウトプット直前の作業は特別なスキルがなくてもできますから、クリエイティブなアウトプットが必要ない場面でも有効です。日頃からこうしたやり方を身につけてると問題解決力が高まると思います。

対話ができる幸せ

話を聞くことが大切ですが、往々にして対話ができないこともあります。自分のクライアントが最終的なエンドクライアントでなかったり、担当者に権限がなかったりと、きちんと情報を整理できるような対話ができないことも往々にしてあります。

クリエイティブな仕事だけでなく、あらゆる仕事において対話をすることは成功に導くために重要な要素でしょう。自分の経験上、

解決の糸口は目の前に転がっている

本書の中で佐藤氏が示したのは、情報を整理すれば解決策は見つかるということ。それはシンプルで特別難しいことではなさそうです。一方でそれを実践できない現状を鑑みると、どう環境やクライアントとの関係性を構築するの方が、実は難しく、より重要なのではと思いました。

なかなか理想的な環境に持っていくのは難しいですが、問題解決の視点を広げてくれる良い本でした。


Photo by Nicole Honeywill on Unsplash

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