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LUNA SEA/absorbの歌詞は主人公の心情を綴る異世界の旅がテーマ⁉

LUNA SEA/absorbは、2000年の終幕後の13年の時を経て完成したアルバム「A WILL」の7曲目に収録されている作品です。
本作は、幻想的な伴奏と独特な雰囲気を持つ歌詞が特徴です。
では、LUNA SEA/absorbの歌詞が持つ世界を覗いてみましょう。

【階段の先に扉が見えた。
僕は、その階段を1段ずつ登っていくのだが、いっこうに扉に辿り着かない。
周りを見渡すと、さまざまな情景が目に入る。誰かが涙を流し、誰かが微笑んでいる。
しかし、僕にはその情景が普段と違う気がした。深い湖に広がる1つの波紋のように、僕の心を不安にさせるのだ。
 
僕は、目を閉じて考えた。
「なぜこの場所にいるのだろうか?」
微かな記憶。薄暗い樹海の景色が浮かんでくる。
「そこで、僕は何かと出会った?」
 
花の匂いに気づいた。
僕が目を開けると、とても美しい景色が広がっていた。しかし、身体がやけに重く冷たい。それ以外の感覚を感じられなかった。
そこには、透明で美しい何が漂っていた。しかし、それはこの世のものとは思えなかった。
すると、その美しい何が馴染みのある声で僕に話しかけてくる。耳で聞いたわけではない。直接、心に干渉してくるのだ。
それは、どこか懐かしい声も含まれているような気がする。
しかし、はっきりとしたことはわからなかった。
ただ一つ、僕が感じたことは、ここが深海のように未知の何かと出会う場所。
そんな気がしただけだった。
 
気づくと、また階段を登っていた。
扉までの距離は、見るたびに変化しているようだ。周りには何もない。ただ空間が広がっているだけだ。
「僕が森で誰かと出会った?」
微かな記憶が蘇る。誰かの声。言葉。身体に残る温もり。その全てが何かを形作る。
 
脳内に、ある情景が広がった。
それは、とても美しく神秘的で御伽噺のような世界。
部屋から、産声が聞こえてくる。そして、視点が急激に離れ、その全体像が見えてくる。
空と雲、そして巨大な建造物。それは、地面からそびえる何かではなかった。
すると、視点が元に戻る。そこは産声がした部屋の中。そして、1枚の鏡が置かれている。中には樹海で出会った君が映っていた。
「僕が出会ったのは鏡の中に映る君?」
 
辺りに何かが漂っている。それは、さっき見た透明で美しい何かではない。
白く透き通った球体。
それは、どこか儚そうで、どこか力強くも見えた。
身体に感じる圧力は、視界に広がる暗闇は、白く透き通った球体は、まるで深海で生命の神秘を見ているようだった。
 
僕は背後が気になった。そして振り返ると、登ってきたはずの階段がないことに気づいた。僕が気づかないうちに、崩れ落ちてしまったようだ。
 
僕の脳は加熱した。そして、唐突に理解した。
ここは、時間を司る場所。この階段の先は未来への道。ならば、僕は...
 
また、記憶が蘇る。
「僕は君の目を見つめていた。そして、愛してしまったのだ」
さらに、記憶が鮮明になっていく。
「君の目に引き込まれて、今この場所にいる」
そこは、生命の時間を司る深海にも似た空間。
 
「階段の先にある扉を潜れば、樹海にいた僕の未来が見えるのだろうか」
僕はそう思いながら、扉を目指して階段を登るのであった。
届かない未来の先を目指して。】

LUNA SEA/absorbの歌詞は、樹海に迷い込んだ主人公が異世界をさまよいながら、現実世界につながる扉を目指している様子を描いているように思えます。
また、主人公は異世界の旅により希望を見出せるようになっている印象を受けます。
このように、LUNA SEA/absorbの歌詞は隠喩的であるものの、前向きな内容の歌詞だと捉えることができるのではないでしょうか。

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