【滋賀】日本の淡水湖唯一の有人島「沖島」について淡々と語る
琵琶湖には4つの島があります。
竹生島、多景島、沖の白石、そして沖島。
この最後の一つ「沖島」は、日本の淡水湖の島で唯一の有人島です。
最寄りの港(堀切港)からは連絡船でわずか10分ほど。
しかし、この10分の向こう側は、あたかも時間の流れが異なるかのよう。
自動車が一台もない。そういえば、グッとイメージが湧きやすくなるかもしれません。
下写真のような三輪車が主要な移動手段です。
人口は現在200人ほど。
そんな島には一年間に2万人もの人が訪れています。
理由は幾つかあります。
まずは、古き良き街並み。
中心の生活道路「ホンミチ」は、「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」にも選出されています。
次に、自然の美しい景色。
生憎の雨と力不足で満足な写真を撮れませんでしたが、季節ごとに琵琶湖をはじめとした折々の景観を楽しめます。
そして、最近インスタで人気の猫。
観光客や写真家には大人気ですが、網を破ったりするため島民の方々にはあまり好かれていないようです。
また、唯一の淡水湖の有人島という特異さから、視察や研究に訪れる人も少なくありません。
先日は滋賀県立大学の学生が休憩所の建設を行なっていました。
そんな沖島は、急激な人口減少と少子高齢化により60年前に800人だった人口が、現在では200人ほど、そのうち150人が60歳以上となっています。
そのため、島唯一の学校である沖島小学校に通う島内の子供は現在たったの2人。
ところが、そんな学校には少人数教育や豊かな環境を求めて、島外から10名以上の学生が通学しています。
また、大阪出身の滋賀県立大学4年生の久保瑞季さんのように沖島へ移住する人も出てきたりしています。
沖島出身の服飾デザイナーの奥村ひとみさんはUターンして、「汀の精」という素敵なお店を開いたりもしています。
しかし、今回僕も御年91歳の小川正芳さんにお話を伺った、沖島の歴史や伝統の伝承の場「おきしま資料館」は老朽化のため取り壊さずを得ない状況であったり。
沖島は、いまターニングポイントを迎えていると言ってよいでしょう。
実際沖島の中でも、島のこれからを見据えた動きが始まっています。
終わりに
海無し県の離島、沖島。
この土地を訪れ、様々な人の話をきき、語り合い、僕は正直いまは非常に複雑な気持ちです。
訪問前は自分の感じた沖島の魅力をnote にまとめようと意気込んでいましたが、2日間の滞在を経て、果たして自分の為すべきことがそれなのかどうかわからなくなりました。
だからタイトルに書いたように、今回はひとまず「淡々と」記してみることにしました。
この文章から、筆致から、みなさん各々に何かを感じてもらえると嬉しいです。
最後に付け加えておくと、今回の沖島訪問はまず何より確かに楽しかったということ。友人たちの写真を添えて。
(文・写真=ざわけん)
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