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デザインと心理学と購入意欲

成熟市場のおける商品やサービスとデザインは、密接な関係にあると思っています。成熟市場では、商品やサービス自体で他社と差別化するのは難しくなります。いくつかあると思いますが、大きくは下記のような理由からだと思います。

・どの商品やサービスも品質は一定レベル以上であり、どれを使っても大した違いは見られず、大きな不満もないため
・その業界での技術開発は天井に近づいており、これまで程の新しい切り口でのインパクトはなく、微妙な差の競争になってしまっているため
・市場が拡大したことで一般ユーザーの割合の方が多くなってしまい、その微妙な差にこだわる人が極端に少なくなってしまったから

良いか悪いかは別として、現実として、商品のパッケージのデザインやコーポレートサイトやオンラインショッピングサイトの「デザイン性」が、とても重要な要素となっている気がします。

「自分たちは良質のモノを作っているし、良質のサービスを提供している。」と自負していたとしても、それはどの企業でも同じであり、お客さまやユーザーからすれば「どれも対して違わない(違いがそこまで識別できない)」状態なわけです。結果として、どれを使っても失敗はせず欲求は満たせるという状況となってしまっており、商品やサービスでの差別化は難しくなるという理由もここにあるわけです。

商品力が頭打ちになったとき、勝負の土俵は、提供の仕方、言い換えれば「アウトプットの質」へと移っていくようになります。もっともわかりやすいのが、視覚に左右されるデザインとなるわけですね。どんなに品質が良くても、お客さまやユーザーからの見え方のコントロールができていなければ、その商品は人の心には届かないわけです。

私も経験ありますけど、せっかく提供されている商品やサービスは素晴らしいのに、パッケージデザインが微妙だったので購入を迷ったり、コーポレートサイトの掲載情報やデザインが古くて問い合わせるのを止めたりという機会損失は、日常において頻繁に発生しています。採用面接時における、オフィスエントランスでの空間演出や採用担当者の対応というのも、ある意味同じと言えるかも知れません。

人は目にすることで良くも悪くも錯覚をおこし、期待したり失望したりしています。視覚やデザインにおけるマーケティング戦略は、期待や希望を持ってもらい、購入や問い合わせるという実際の行動につなげること。そして人は、何か新しいものを見たり触れたとき、無意識のうちに過去の知識に照らし合わせて考える(比較する)と言われています。ですので、見え方のコントロールを考えるときは、ここも大事なポイントのひとつかと思います。

デザインはこれからのマーケティング戦略において、切り札にもなる一方で、扱い方を間違えてしまうとブランド毀損を起こしてしまうかも知れない諸刃の剣なのかも知れませんね。

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