「ちむどんどん」物語の出発点と終着点

言いたい奴には言わせておけばいいさ
暢子は暢子のままで上等
自分の信じた道を行け
まくとぅそーけーなんくるないさ
正しいと信じて筋を通せば答えは必ず見つかるからよ

「ちむどんどん」 第1回 


「ちむどんどん」のメインテーマが、第1回冒頭のシーンで語られる。物語のすべてがギュッと詰まっている大事な言葉。この言葉を視聴者が理解するための長い長い旅路の始まりだ。

小学校5年生の暢子が「女らしくない」と学校で言われていると父賢三にポロリと漏らす。その暢子への賢三からこの言葉をもらう。

父にこの言葉をもらっても、暢子はきょとんとしている。まだわかっていない。見ている私たちと同じで、暢子もこの言葉を物語の中で少しずつ自分のものにしていくのである。


シークワーサーの実

手の届かない場所にあるシークワーサーの実をジャンプして取ろうとする暢子
賢三が楽々とシークワーサーの実を取って暢子に渡す

「ここのシークワーサーは世界で一番おいしい」「世界中の美味しいものを全部食べたい」

世界中の美味しいものを食べたくて西洋料理の料理人になった暢子が、最終的に地元やんばるの食材を使ったレストランを作ることになるという一連の流れがここでもう暗示されている

第3回ではのちに夫となる和彦の父・史彦が、暢子にシークワーサーの実を渡す

https://mobile.twitter.com/asadora_nhk/status/1514091272222515205


「暢子ちゃんにとってはこの村がふるさと
いつか暢子ちゃんが大きくなって、今の暢子ちゃんみたいな子にシークワーサーの実を取ってあげる時がきっと来るから
そうしたらもう一度考えてみればいい この村が本当につまらないかどうか」

最終盤になり、暢子が自分の息子健彦にシークワーサーの実を取ってあげる日が来る その時に、この史彦の言葉が蘇ってきてこの村の豊かさを再発見することになる
本当に長い長いパスだ


ちむどんどんはどの回も本当に情報量が多い(セリフだけではなく、演者の表情、あえて語られないことなど)
特に子ども週は後々語られる物語の布石がたくさんあり、何度見ても発見がある  
第一、二週の子ども時代がちむどんどんの物語を読み解く大切な地図になっていく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?