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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【4月17日㈬~4月23日㈫】

Facebookの“振り返り機能”っていうんでしょうか、タイムラインに「去年のこの日のあなたの投稿」みたいのが勝手に出てきますが、ドイツ映画祭『ミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ』(映画祭時のタイトルは「クルナス母さん対アメリカ大統領」)を観た、2023年4月22日の書き込みが上がってきて、「ちょうど1年前なんだぁ」と感慨にふけっていたところです。読み返してみて「アレ?」と思うのは、作品のことには具体的には一切触れずに「映画祭で1本観た後、ランウェアに着替えて川崎まで走り…」とかサラッと流して書いていること。“友達“で繋がっている業界の方も多いFacebookなので、敢えて感想は書かなかったのだと思われます。私、どうやら観た直後にはもう買う気になってたみたいです(笑)。

あれから1年と2週間。いよいよ来週金曜日、5月3日から『ミセス・クルナス~新宿武蔵野館シネスイッチ銀座kinocinema立川高島屋S.C.館kinocinema横浜みなとみらいテアトル梅田シネ・リーブル神戸岡山シネマ・クレール丸の内で上映がスタート、以降全国で順次公開されます。先ほど、新宿武蔵野館さんに宣伝の進捗のご報告に伺って、帰りがけにロビーに掲出中の、噂の巨大バナーをこの目で確かめて、画像に収めてきました。デ、デカいッ!武蔵野館でご覧になる予定の方はぜひご鑑賞後、このバナーをバックに記念撮影してSNSに上げて下さいね。

人が写り込んでいないので、“巨大バナー”の巨大さが実感出来にくい画像です…。失敗。

私が『ミセス・クルナス~』と出会ったドイツ映画祭は基本隔年開催のようなので、残念ながら今年は無いのですが、毎年ゴールデン・ウィーク期間中、イタリア映画ファンにとっては欠かせない恒例イベントとなっているイタリア映画祭が、今年も5月1日から6日間に渡って、いつもの有楽町朝日ホールで開催されます。今年で24回目だそうです。

で、この場だけで一足お先にこっそりお教えしてしまいますが、実は先々週辺りからの当通信で「邦題が…」とか「ティザーチラシが…」と思わせぶりに情報を小出しにしている今夏公開の弊社配給作品の全貌が、会場で明らかになります!どんな反響を頂けるか、めちゃめちゃ楽しみです!

さて。そのイタリア映画祭ですが、今年のLINE UPで私が既に観ているのは2本。昨年東京でバイヤー向け試写を行った、アカデミー賞国際長編賞ノミネートのマッテオ・ガローネ監督『僕はキャプテン』と、去年のイタリアン・スクリーニングに参加した際に試写した、ドイツの俳優フランツ・ロゴフスキ(『大いなる自由』)主演の『ルボ』です。どちらもどっしりと見応えのある力作なので、観て損はありません。

上記2作品も、改めて日本語字幕入りで観てみたいと思っているのですが(昨年の試写は英語字幕)、他に気になる作品を何本か挙げるとしたら…。

昨年本国でナンバーワンヒットとなり、先頃発表になったダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞のノミネーションで、最多19部門にノミネートされた『まだ明日がある』、ダニエル・ルケッティ監督(『靴ひものロンド』)の新作で、エリオ・ジェルマーノ(『ナポリの隣人』『蟻の王』)が高校教師に扮するドラマ『信頼』辺りは観ておきたい。でも個人的に一番観たいのは、名実ともにイタリアのトップ女優であるところのマルゲリータ・ブイが初監督、主演も務める“飛行機恐怖症”を克服しようとする女優を描くコメディ『ヴォラーレ』。前述の4作品は比較的重めな内容だけど、これは気軽に楽しめそう…と思ったら、上映は5月3日の朝1回ぽっきり。『ミセス・クルナス~』の初日に立ち会わなければならないので観られません。残念!きっとこの映画、ブイ本人の話だと思うので、飛行機恐怖症ゆえ来日してゲストとしての登壇がないから1回の上映のみ、と勝手に推測していますが、どうでしょう?

イタリア映画のお話の流れのついでに…。日本で独立系の配給会社が外国映画を買う場合、海外の権利元との契約に「契約期間」があることはご存知だと思います。新作であれば大抵は7年とか9年が一般的だと思いますが(何十万ドルもする高額な映画の場合は、10年以上くれることもあるようです)、クラシック作品はそれより短い場合が多く、だいたいは5年。最近は劇場の上映権のみ1年とかの短期間で契約を交わすことも増えてきました。で、ここのところ、ザジで配給しているイタリアン・クラシック作品の権利終了が続々近づいていて、延長の交渉に追われています。契約書にサインした作品なら明らかにしても良いと思うので具体的に書きますが、つい先日はフェリーニの『8 1/2』の延長が済みました。これでマルチェロ・マストロヤンニ生誕100年を迎える今年9月から来年にかけても、引き続き『8 1/2』の配給を続けられることになりました。

カンヌのコンペには、クリストフ・オノレ監督がマストロヤンニにオマージュを捧げた「MARCELLO MIO」という映画も選出されていて、マルチェロ生誕100年を盛り上げるようです。

そのほかにも、素材が新たに4Kになった作品何本かの延長交渉を進めています。”30年以上ぶりの水準”と言われる円安で、契約金額が割高になってしまい悲鳴を上げていますが、無事に話がまとまれば、劇場での初4K上映や、4Kレストア版でのブルーレイの再発売なども展開出来る予定。引き続き交渉、頑張ります!

texte de daisuke SHIMURA


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