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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【2月21日㈬~2月27日㈫】

2月23日に帰国して、早1週間以上が経過。先週号のザジ通信はロンドンからの帰りの機内でノートパソコンを開いて下書きを書いたりして、何とか2日遅れ、金曜の深夜にはアップ出来たのですが、今週は週半ばまで外回りで忙しく時間が取れず。久々の土曜日更新となってしまいました。お待ち下さっていた方がもしいらっしゃったら(いるのか?)申し訳ございません。

外回りはベルリン国際映画祭の帰国報告、というと大げさですが、「コンぺティション部門に出品されていたこんな作品が評判になってました」とか、「日本の某社が某作品を買ったらしい」とか、そんな話をしつつ、DVD、ブルーレイを発売販売しているメーカーさんには「こんなクラシック作品が4K化されたそうですよ!」、「うちで劇場でリバイバル公開して、そのあとブルーレイをリリースするのはどうでしょう?」などと、具体的なビジネスのお話をさせて頂いたりしておりました…。が、実のところ7割、8割は世間話がメイン。どちらに伺っても「ヨーロッパの物価は高い!」という話ばかりしていた気がします。

ベルリンは他のヨーロッパの大都市に比べて、比較的物価が安めなのですが、コロナ前から少しずつ上がってきた印象がありましたが、円安もあって今年はなお顕著になった気がします。が、ベルリンの比でないのはロンドン!最後のロンドン一泊で、日本料理屋の昼定食に目ん玉が飛び出たのは、先週の当通信でも書いた通りですが、ホテルの近くに日本のカレーライスのチェーン、CoCo壱番屋が出来ていたので外からメニューを眺めてみましたが、やっぱりバカ高でした。たとえば“手仕込みチキンカツカレー”が13.9£。今日のTTSレートが1£=193.78円なので、単純に計算して日本円で2,693円ということになります。日本のCoco壱のHPを今見てみたのですが、通常の手仕込みとんかつカレーが1,093円。2.5倍という感じです

CoCo ICHIBAN-YA  Bond Street店のメニュー。カレーうどんにとんかつが乗ってる!斬新!

同業の友人も、同じタイミングでベルリンからロンドン入りしていたので、LINEで「高いね」「高いね」とやり取りしていたのですが、決定打は朝入ってきたLINE。「今、ホテルの朝食で茹で卵をオプションで追加したんだけど、日本円で何と1,000円だって!もちろん1個!」。もう笑うしかなかったです。おそらく茹で卵1個=5£、ということなのでしょう。

ちなみに映画の入場料金はどうなのかな?とネットで調べてみました。今週の通信のトップ画像に使っているのは、私の泊まったホテルのすぐそばにあるデパートSelfridgesの地下にある2スクリーンのミニシアターへ向かう階段踊り場の案内なのですが(“マガジン”のトップ、赤い画像も、同じ劇場の入口のものです)、そのTHE CINEMA at Selfridgesの料金は時間帯によって異なるようで、日中早い時間は一般15£、午後から夜は20£、となっていました。おそらく会員制度などもあると思うので、もっと安く観られる方法もあるのでしょうが、円安の現在はやはり映画も割高。ひと昔前は、“日本の映画料金は、他の国に比べて高い”と言われていましたが、世界の都市の物価高騰、円安の状況を鑑みると、現在は一概にはそう言えないかもしれません(給与水準が低い割には依然高いのかも…)。

映画料金はそこまで差がついていないかもしれませんが、外食に限っていうと今のヨーロッパ、日本の少なくとも倍、下手をすると3倍、4倍ということもありそう。帰国してテレビを見ていたら、お弁当チェーンHotMottoのCMで、“今なら海苔弁390円!”とやってました。ロンドンで2£じゃ茹で卵も食べられません…。

なんだかしょっぱい話ばかりになってしまいましたが、遅ればせながら肝心のベルリン国際映画祭のコンペティション部門の結果についても触れておきましょう。最高賞の金熊賞を受賞したのは、前作『アトランティックス』が2019年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したマティ・ディオップ監督のドキュメンタリー『Dahomey(原題)』。こちらは昨日時点ではまだ日本の配給は決まっていないようで、セールス会社からうちにもオンライン試写のリンクが来ていました。

銀熊賞各賞は、審査員大賞にホン・サンス監督、イザベル・ユペール主演の『A Traveler's Needs(英題)』(某社さん、買うのかしら?買ったのかしら?)、審査員賞はブリュノ・デュモン監督の賛否両論のSF(!)『The Empire(英題)』、監督賞はドミニカ共和国のカバの映画(大ざっぱ過ぎる説明)『Pepe(原題)』のネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス、芸術貢献賞が『グッドナイト・マミー』の監督の新作『The Devil's Bath(英題)』(日本は配給決定済み)、脚本賞が3時間の長尺ドイツ映画『Dying』のマティアス・グラスナー、主演俳優賞がA24のアメリカ映画『 Different Man(原題)』のセバスチャン・スタン、助演俳優賞が映画祭のオープニングだった『Small Things Like These(原題)』のエミリー・ワトソンにそれぞれ贈られました。

先週情報解禁したうちの次回配給作品『ミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ』の監督の最新作『From Hilda, with Love(英題』は残念ながら無冠でした。見応えのある素晴らしい映画だったので、ぜひ日本での公開が決まって欲しいです。

最後にお知らせ。4月12日にブルーレイが発売されることが決まり、絶賛予約受付中『オオカミの家』ですが、ブルーレイの発売の一足お先に3月12日からU-NEXTで先行配信(レンタル)が行われます!“コレを見ればもう1度観たくなる?!ミニ解説番組付き“とあります。どんな解説番組なのか?乞うご期待!

もう1つお知らせ!『セールス・ガールの考現学』が3月13日にWOWOWでテレビ初放送です。劇場でご覧下さった方も、未見の方も、ぜひこの機会にご覧下さい!

texte de daisuke SHIMURA






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