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SmartAlote.com 祝1周年

いよいよ2019年が始まってしまいましたね。前回の投稿が2017年12月22日なので1年以上更新が空いてしまいました。ミャンマー人向け総合転職ポータルサイト「SmartAlote.com」をローンチしたのが2017年12月20日ですから、そこからの1年間に何があったのかをここに備忘を兼ねて書いておこうと思います。今後ミャンマーで事業を開始される方の参考になれば幸いです。

SmartAlote.comの現在地

長くなりそうなので、現時点でSmartAloteがどういう状況なのかを纏めておこうと思います。本日時点で求人情報公開数は190、登録ユーザー数は非公開とさせて頂きますが10,000人以上のミャンマー人求職者にリーチできる規模となりました。転職サイトの規模としてはまだまだというのが正直なところで、成功したと胸を張れる規模には至っていません。

名実ともにミャンマーの頂点にいる3サイトが、JobNet.com.mm(SimilarWebでMAU23.3万)、Myjobs.com.mm(同15.7万)、JobsInYangon.com(同9.4万)です。この数値をみる限り、SmartAloteはサイト規模を更に5〜6倍程にしなければトップ層と競争できない状況です。ただ、最後発で、かつ非常に限られた予算で運営していることを考えると割といい位置にいるのではないかと考えています。

ちなみに、私の一押しで参考にしていた独ロケットインターネット配下のwork.com.mmは昨年(7月だったかな)にExit(というか撤退)したため利用者はJobNet.com.mmに引き継がれました。そのため現在のミャンマーではJobNetが圧倒的な首位に君臨している状況です。繰り上がってJobsInYangon.comが3位に躍り出た格好。

それ以下のサイトでいうと、MyWorld、MyanmarJobLink、MyanmarJobsDB、24Jobs、JobReady365、JobBankあたりも転職ポータルサイトをやっています。更に、日系資本でいうとDreamJobsMyanmar(ウィルグループと提携関係)、Jobseekers(アルバイトタイムスのグループ会社Miracが運営)があります。ただ、様々なサイトの情報を勘案すると、お陰様でSmartAloteは既に日系資本2サイトを規模で上回っているようです。2サイトともミャンマーでは老舗の部類ですから、ありがたい限りですね。とはいえSmartAloteはまだまだ4位集団の中に埋もれている状況です。2019年はこの状況から一歩抜け出すことが目標となります。

さて、前置きが長くなりましたが、ここからがサイトの規模を大きくするためにやったことです。

Job Fairイベントへの出店

実は一昨年の年末、このイベントに出店することが急遽決まったため求人情報もほぼ掲載されていない状況で見切りローンチしたという経緯があります。現地でスペースを貰ってその場でサイトに登録して貰おうという企画でしたが、残念ながら登録者数、アクセス数を稼ぐことはほぼできませんでした。ただ、これはSmartAloteが求職者の目を引くための十分な準備ができていなかったことが大きいと思います。その後イベント出店はしていませんので効果を定量的に示すことはできませんが、出店料がリーズナブルなのであれば出してみることもありなのではないでしょうか。

Adネットワークへの出稿

MOA(Myanmar Online Advertising)という事業者が提供するAdネットワークへの出稿をしてみました。MOAはDVB、KUMUDRA、Mizzimaといったミャンマーで知名度の高いメディアへのバナー出稿ができるため、クライアントもOoredoo、Grab、IKBZ等のミャンマーのメジャー企業が利用しているようです。価格もそれほど高くないため出稿を考えてもいい広告ではないでしょうか。ただ、これもSmartAloteの求人情報がほぼ無い状況の時にトライしたので、とりあえずDAUは急激に集まったもののPVや利用者登録には直結しませんでした。しかしDAUを運んでくる破壊力はミャンマーで利用できるオンライン広告としては相当高い方だと思います。SmartAloteも今ならもう一回使ってみてもいいかな、という感じ。

リテンションメール

メディア運営者の基本中の基本ですが、やはりこれは重要ですね。毎週火曜日と金曜日にサイト登録者+運営会社が準備したメールアドレスに対してリテンションメールを投げています。基本的には新規にサイトに掲載された求人情報をアップデート情報として投げています。PV、DAUを増やすには最も手っ取り早く、サイト運営者は絶対にやるべきものです。

いまSmartAloteで計画しているのはもっとリテンションメールを高度化させてユーザーの志向毎にコンテンツを変えることと、いわゆるサイト上で行われたイベントを起点にしてステップメールを送るようにすることです。既に日本を含め先進国のメディアでは普通に行われていることなので今更という感じかもしれませんが、ミャンマーのサイトでこれをしっかりやっているサイトって無いのではないかと思います。Email Delivery Systemを自社開発するのはちょっと重いので、外部のソリューションを使おうと思いますが、たくさんありすぎてどれにするべきか悩んでいます。英語対応ありでオススメがあったら誰か教えてください。

Facebook上でのキャンペーン

ここからはFacebook上で行ったプロモーションについて述べていきます。が、まずはFaebook上でのキャンペーンについて語る前に、改めて書いておくべきことがあります。それは、「ミャンマーは何をおいても先ずはFacebookだ」ということです。ミャンマー人は本当にFacebookが大好きで、インターネット=Facebookだと思っているのではないかというレベルです。既に世界ではFacebook離れも徐々に始まっているような話も聞きますが、ミャンマーでのこの状況は僕が帰国して1年以上経っても全く変わっていません。しかもミャンマー人はFacebook上で個人情報を晒すこと、友達申請やLIKEをすることに対する抵抗感が圧倒的に低いと言えます。そのため、ミャンマーのメジャーなFacebookページではLIKEが100万超えというのはザラですし、一個人でもウン百人と友達になっている例が散見されます。

この状況なのでミャンマーでは何が起きるのかというと、Webサイト運営事業者は自身のWebサイトにユーザーを誘引することを根本的に諦めてしまい(もしくは軽視し)、Facebookページのみで事業を行おうとしていきます。前述した3位以下の転職サイト群の中にはWebサイトの販促はほとんど行わず、FacebookページでのLIKE獲得に集中しているサイトもあるようです。おそらく日系で挙げた2サイトもそんな感じに近いと思います。自社ポータル上に求人を掲載するよりもFacebookページで数十万人のタイムラインに流した方が人材紹介業者としては効率的なのでしょう。それは確かに現状では合理的に思えます。

しかし、Facebookにのみ集中している事業者を見ていると、本当にそれでいいの?と疑問を投げかけたくなります。確かにFacebookの優位は当分変わらないとは思いますが、それでも、単一プラットフォームに依存することの恐ろしさをこれまで山ほど見てきた僕としては不安になるのです。SNSは時代とともに覇権が何度も入れ替わっている業界なのです。事実、転職サイトのトップ3はきちんと露出を分散してリスクヘッジしているように見えます。SmartAloteとしても、FacebookでのLIKE獲得は軽視しないものの、最後には自社サイトへの誘引を図っていきたいと考えています。

Lucky Drawキャンペーン

Facebookページ上で何かキャンペーンをする上で真っ先に思いつくのはLucky Drawですね。一定期間中に特定の行動(ページへのLIKEやリンク先のWebサイト上で会員登録)をしてくれた人に対して抽選でプレゼントをあげるというものです。プレゼントとして手っ取り早いのはMNOのトップアップカードです。5,000Ks〜10,000Ksくらいのプレゼントを用意すれば結構な数のミャンマー人が参加してくれます。初めてこのキャンペーンをやった時は日本の感覚でマーケティングを捉えていた僕としてはその反響に随分驚きました。こんな低予算でここまで人が参加してくれるのかと。手軽に何度でもできるオススメの販促手法と言えます。

求人情報を用いたブースティング

個人的には今のところ一番効果が高い(効率的)と思っているのがこのFacebook広告に求人情報(及びそのページへのリンク)を掲載するパターンです。ミャンマーでは基本的に雇用契約は1年更新なので皆ステップアップのための転職に興味を持っています。Facebook広告として求人情報を投げることでFacebookページへのLIKE数も稼げますし、かつ、Webサイトに誘導することもできるのでアクセス数、会員登録数も順調に増やすことができています。今のところ月間予算100ドル以内くらいでやっているのですが、その少額予算でも十分な成果を挙げています。今後はもう少し予算を増やすことを検討してもいいかなと思っています。獲得単価はここでは書きませんが、日本でマーケティングを経験した自分からすると効率が良すぎて笑ってしまうレベルでした。

FacebookページLIKEのみを狙ったブースティング

前述した通り、ミャンマーでは「インターネット=Facebook」なので、Facebook上でのLIKEの数がある程度サイトの信用を表す指標となると考えられます。そのため、あまりに少ないLIKE数を改善しようと考えて数回LIKEの獲得のみにフォーカスした広告出稿をしてみました。が、結果としてはあまり良い数字を得ることはできませんでした。そもそもLIKEを狙えるコンテンツとは何なのか?僕はまだ答えを見つけられていません。Facebook広告は記事単位が基本なので、例え良いコンテンツをブーストしても記事にのみLIKEを貰ってしまいあまり意味があるとは言えません。ページ自体にLIKEが欲しいので、ページ自体の広告も打ってみましたが、それはもう残念としか言いようのない数値となりました(あくまで求人情報を用いたブーストをした場合との比較ですが)。これらの結果から、今のところはLIKEにフォーカスした広告出稿は控え、求人情報を用いてページLIKEとサイト誘引を両取りするのが勝ちパターンなのではないかというのが僕の答えです。もちろんこれも毎回の効果を見ながら最適化していきますので、「うちのサイトでは今のところ」という結論ですが。。

一つ書いておいてもいいかなと思うことを思い出しました。それは「誰が(誰のアカウントで)広告出稿をするか」です。これまで広告出稿は完全にミャンマー人スタッフに任せていたのですが、この年末年始、僕のFacebookアカウントにも管理者権限を付与して貰って僕のアカウントから広告出稿してみました。結果、何が起きたかというと、僕のアカウントからの出稿では広告の審査が通らないという問題が起きました。ミャンマー人スタッフのアカウントから申請した際は審査がすんなり通っているものが、僕のアカウントから申請すると拒否されるのです。年末に何回かFacebookの審査チーム?とやりとりしましたが、結局拒否されてしまった広告が2つもありました。

これ、一体なぜなのか分かる方がいたら教えて欲しいのですが、私の仮説は私のアカウントから投稿した広告の審査は日本の広告審査チームが判定しているのではないかということです。そして、日本のチームの方がFacebookポリシーの運用が厳格なのではないかと。いやいや、そんなことないよ、という方、ぜひ教えてください。既にミャンマー人スタッフが出稿して審査が通っていた広告ですら私が金額を増やして再出稿するとポリシー違反のため承認されなかったこともありました。それ以来、広告出稿が中断されてしまうことが怖くなって私の方から追加出稿することは中止しています。他の方ではこういうことはないのかもしれませんが、私としてはミャンマーで出す広告であれば日本人のアカウントからではなくミャンマー人のアカウントから出稿する方が安全だと考えています。

さて、長くなりましたが、改めて書いてみると当たり前のことばかりですね。ずっと思っているのは「当たり前の事を当たり前にやれる者が勝つ」のだということです。2019年も徹底的に効果測定に基づくトライを繰り返してサイトを育てていきたいと思います。

新年のご挨拶も兼ねて。今年もよろしくお願い申し上げます。

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