プーチン大統領の追い出しを図る西欧諸国の思惑 論座 #3

論座へのコメント投稿 第3弾として、ウクライナ問題を取り上げる。

プーチン大統領の追い出しを図る西欧諸国の思惑
ロシアの民主化は可能か? 地政学的な地殻変動について考える
西村六善 日本国際問題研究所客員研究員、元外務省欧亜局長
2022年08月17日

要約
 バイデン大統領は3月26日(2022年)、ポーランドで演説し、プーチン大統領を虐殺者、独裁者、戦争犯罪人だと呼んだ。彼はこの戦争で勝利者になることは決してあり得ないだけでなく、「どんなんことがあっても(For God’s sake)、この男を権力の座に置いてはならない」と叫んだ。

バイデン大統領は、5月31日付のニューヨークタイムズ紙への寄稿文で「この戦争は最終的には外交によってのみ決定的に終結する」と論じた。

バイデン大統領は上記の3月26日のポーランドでの演説後、記者団から「ロシアの政権変更を意味するのか?」と問われ、米国当局者は「そうではない」と否定した。しかしこれは表向きの応答であって、米国は明らかにロシアの政権変更を意図していると見るべきだ。

|ロシアの民 主化は可能なのか?
 ロシアの市民 社会の未熟さや脆弱(ぜいじゃく)さも議論されている。更にその権威主義的強圧政治を維持するため、国際社会特に米 国の民 主主義を徹底して敵視する。これがプーチン大 統領の行 動を規定しているというのがおよその結論だ。
さらに、ソ連が崩壊した1991年以降もロシアにはその(マーシャルプラン)ようなプログラムは提供されなかった。ここがロシアで民 主主義が足 場を築けなかった理由だというのだ。

|ロシアに国民 を粗末に扱わない民 主主義を
 英紙フィナンシャル・タイムズ紙の看板評論家ギデオン・ラクマンはカーネギー財団のロシア人 上級研究員の声として「ロシアはこのままではあらゆる面 で中国のジュニア・パートナーに堕する危険があるので、ロシアの有識者の多くは西 側との関係改善を切望している」という切実な意見 を紹介している。
一方、欧米 ではロシアでの政変は起きないという議論もある。政変が起きても成功するためには治安部門 の解体が不可欠 だといった議論である。

|経済支 援も民 主化を促進する
 スウェーデンの経済学者のアンダース・アスランド氏 は「フォーリンアフェアーズ誌」の最近号で、今回の戦争の結果、ロシアは大 敗し、その経済は大 混乱に陥ると予測し、ロシア救済のために西 側諸国は「新マーシャルプラン」を動員するべきだと論じている。
ウクライナでの戦況がプーチン・ロシアを圧迫して行 く限り、民 主ロシアを求める圧力 は国の内外で強くなるだろう。

|ロシアの民 主化は何をもたらすのか
 ロシアの民 主化はいずれ国際議論の俎上(そじょう)に上る問題である。
ロシアの民 主化がいくぶんでも現実化すれば、幾つかの重要な変化が起きそうだ。
 第1に、ロシアが民 主的な国に変貌(へんぼう)する場合、ロシアはNATO加盟国の脅威ではなくなる。
第2に、世界的な勢力 バランスの面 でも衝撃が走 る可能性がある。ロシアと中国という専制国家が維持してきた協力 体制だ。

|日本と「民 主ロシア」との関係は
 明らかに、「民 主ロシア」は日 本にとって、大 きな可能性を開く。あらゆる分野で大 規模な前向きの議論と交流が始まるだろう。

|ロシアの大 国主義はどうなるのか
 民 主化したロシアでも、事の正邪よりも力 への信仰などは変わらないだろう。一 言 でいえばロシアの大 国意識は、民 主化と折り合いをつけることが出来るのか?

 

投稿コメント 投稿名はU.S.S.ヴォイジャー

U.S.S.ヴォイジャー(新ID) ID: a77fb3 2022.8.17 15:09:40
3ページ後半から引用
バイデン・ショルツ原則とでも称すべき「プーチン・ロシアを相手にせず」という強いメッセージを前提にすると、「民主ロシアへの展望」は仮説の領域を離れ現実の領域に向かっているといえるのではないか。

「プーチン・ロシアを相手にせず」とは、プーチンの特別軍事作戦が失敗、つまり敗北失脚してからの戦後処理で「民主ロシアへの展望」へと持っていくことだろうと思うが、その前提は甚だ怪しいし、特別軍事作戦が失敗するまでの時間的展望は厳しいのではないか。
ロシアが、大敗することは考えにくい、仮にそうなったとしても、飛躍的とも思えるが、NATO解体とする条件でロシアに対する「新マーシャルプラン」をやる位でないとロシアの信頼を得ることはできないでしょう。ロシアは西欧から、のけ者扱いされてきたと感じてきた歴史があるという。広大なロシアの大国主義は変わることはなく、民主ロシアは幻想かな。
前に戻って「前提」のことだが、プーチン大統領を虐殺者、独裁者、戦争犯罪人だと呼んだバイデン氏、これは失言壁の本音を披露しただけで、政権としては、現実的外交としてプーチン・ロシアを相手にすると思われる。


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2022年2月17日 午後7時 NHKニュース



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