呼び声 - 2023/12/29

去年の今頃に書いた、正月明けのグループメッセージを揶揄した日記がある。
最近になってふとnoteの事を思い出したので読んでみると、これがまあまあ面白い。
黒背景にローマ字が刻印されたアプリケーションで「わたくしめが、魂と感情を精いっぱい揺さぶり、ひりだした文章となっておりますゆえ、どうかお読み下さいませ」と臀部を左右に振りながら媚びへつらった140文字を投稿しているのとは訳が違う、高潔な文章がそこにはあった。

ここまで面白いと、近いうちにプロライターの目に止まって、脚光を浴びてしまうのではないだろうか。
SNSで急速に拡散された私の文章により、人々は己の過ちに気づき、速やかにグループメッセージの退会・解散を行うだろう。
気づけば一億総アンチグループメッセージ社会となり、全国民が固唾を飲んで私のnote更新を今か今かと待ち続ける。
つい放った一言ですら、誰かの思想を上書きしてしまう強烈なメッセージ性を伴わせてしまい、国内外問わず様々な政府・秘密機関からも目を付けられよう。
そうなってしまえば今の生活ではいられまい。
ボディガードと影武者を雇うべきだろう。
サインも考えておかねばなるまい。
美女に言い寄られた時の上手い断り方も覚えておこうか。

こんな屁にもならない妄想をしながら、私は己の大脳新皮質を哀れんだ。こんな奴を主人に持ってしまうとは、なんと運のない奴だろう。



簡単な日記ですら習慣化できなかった無様な爪痕というのは、いささか見るに耐えないだろうと思い込んでいたのだが、かろうじてギリギリ崖際で命からがら、耐えた。
「一年前から私という存在は研ぎ澄まされていたのだな。」という確証を得ることができ、読み返していて少しの満足感も得られた。
日記というのも中々悪くない。

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