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最優秀に沼田土建、清水建設/全建 23年度技術研究発表会

[建設通信新聞 2023-11-27 2面]
※建設通信新聞様より許可をいただき転載しています

 全国建設業協会(奥村太加典会長)は22日、東京都中央区の鉄鋼会館で2023年度技術研究発表会を開いた。取り組みの内容やその伝え方などを審査した結果、高度技術部門の最優秀賞に、沼田土建の吉田美由紀企画室長が発表した「災害復旧工事における生産性向上のための革新的技術の活用」を選んだ。創意工夫部門は、清水建設関西支店土木部に所属する萩沙智子さんがプレゼンテーションした「紙素材を用いた防音装置による騒音対策」が最優秀に輝いた。
 今年は応募があった118件の中から、特に優れた11件(高度技術部門6件、創意工夫部門5件)の取り組みを選出し、審査委員会(委員長・千葉嘉春全建建設生産システム委員長)がプレゼンテーション審査を行った。最優秀賞を除く9事例には優秀賞を贈った。
 沼田土建は、山間部での河川の災害復旧工事において、建設DX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性と安全性の向上を実現。まず、マルチキャリアボンディングルータや衛星通信システムなど複数の機器を組み合わせて通信環境を整えた。その上で、360度遠隔臨場の映像を活用した現場情報ポータルを構築するとともに、AI(人工知能)を使って異常水位による二次災害を回避する警報システムも備えた。
 清水建設は、都市部での高速道路の床版更新工事における周辺住民への騒音対策として、紙素材を使った防音装置を開発、導入した。特殊強化段ボールと紙製吸音材を組み合わせた簡易な構造で、加工も容易だ。現場では、チェーンブロックとケレン作業の騒音対策に活用し、十分な効果を確認した。女性や高齢者でも扱える軽さ、リサイクル可能な紙素材などがポイントで、SDGs(持続可能な開発目標)の視点を重視した。
 表彰式後、奥村会長は「今年は本当に素晴らしい発表が多く、紙一重の激戦だった。来年以降も新しい技術開発にチャレンジし、ぜひまた応募してほしい」と締めくくった。
 優秀賞は次のとおり(カッコ内は会社名、発表者・敬称略)。
 <高度技術部門>
 ▽ビジュアルプロジェクト管理システム「プロミエ」を活用した現場進捗管理(大林組、佐藤靖宏)▽新綱島駅非開削部の施工(戸田建設、磯部一斗)▽奥村式ハイブリッド梁構法による大スパン対応梁の合理化施工(奥村組、甲斐智博)▽植物性コンクリート塗膜養生剤の開発とNETIS登録(初雁興業、川崎裕一)▽遠隔操作無人バックホウにマシンガイダンス技術を融合させ「どこでもICT」に成功(旭建設、児玉敏徳)。
 <創意工夫部門>
 ▽既設基礎を活用した立入防止柵・出入口扉の開発(中村建設、金田学)▽既製杭の品質管理対策・既製杭内面撮影ロボット「MITSUSUKE-01」(丸本組、千葉慶祐)▽ICT技術による作業所の業務効率化(飛島建設、井上亮真)▽プレキャスト型枠使用による生産性向上(岩田地崎建設、齊藤孝)。

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