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獣とて、剣に焦がれることはある。 山の主を喰い殺し、妖魔さえ己が獲物とした魔狼は、その日生まれて初めて自身の脚より迅く、自身の牙より鋭いモノを見た。 近くの国に名を轟かせる剣豪、武路譲羽の剣である。 魔狼の牙を凌ぎ、駆ける爪に先んじて繰り出される斬撃に、魔狼は美しい黒毛を幾度となく裂かれた。けれど譲羽は魔狼の返り血さえ浴びることなく、涼しい顔をして月下に立っている。 魔狼は思った。この人間に勝つことは出来ない。 であればせめて。この山で最強を誇った牙の持ち主と
ヒトをゾンビ化するウイルスを放ったのは、世を儚んだオッサンなのだと言う。 曰く、世界はどんどんと悪くなる一方であり、未来に希望などは無いらしい。 だから全てを滅ぼして、最初からやり直してしまう方が人類の為だとか。 そんなオッサンの言葉に世の多くのオッサンオバサンが迎合して、自らゾンビウイルスに感染して他のオッサンオバサンをゾンビ化していった。 テレビでいつも文句言ってるオッサンはそれが政府のせいだとか言ってキレて、ウイルスを撒いたオッサンは被害者なのだと言い出して