【ウルトラマンブレーザー】最終回まで感想/その手に宿った力

ウルトラマンブレーザーの最終回を……観ました!!
うぉぉ良い最終回だったし、良いテレビシリーズだったなぁウルトラマンブレーザー!! まだ劇場版やTHELIVEも残っているけれど、ここで一度己の感想を書きまとめておきたい!!

……ツブコン感想記事の後編がまだですが……冬のEXPOとかもあるんですが……それはまぁ、追々で!!


積み上げた単発

ウルトラマンブレーザーの最大の特徴、これでしたね。
他のウルトラマンとの干渉が無く、ニュージェネウルトラマンの中では縦軸の描写もギリギリまで控えられていた印象でした。

縦軸が強い物語は求心力があって、「この展開、来週はどうなるんだろう!?」と期待させることは出来るんだけど、単話としてのまとまりはやや薄くなるんですよね。一方で縦軸薄めだと、その回その回の展開や物語に思いっきり集中が出来る。どちらが良い悪いというものではないのですが、『防衛隊と怪獣特撮』がしっかり出来るブレーザーですと、縦軸薄めで単話強めの作風がしっかり合っていたと思います。

一方で、作品全体を通して『V99』に関する情報が少しずつ少しずつ開示されていく。これによって物語の底に得体のしれない怖さみたいなものが漂って行って、いずれ来る点火の時が楽しみになる。この辺りのバランスは個々人の好みも大きく出そうですが、私は好きでした。

そうして撒かれた布石が、最終三話で一気に描写されていく。
地球怪獣の活発な動きに、『V99』怪獣の攻勢。ピンチの連続で最終回まで観終えると、今度は「あの単発回の描写もさ……?」と気付ける点が出てきたりする。

最終回では、遂に攻めて来た『V99』の船団に対して、争う意志が無い事を示して事態を解決する。でもそうした「理解と共存の意志を示す」事の大切さは物語全体を通して多くの回で示されていて、ブレーザーのテーマをより強く感じさせる構成でした。

相手を信じることで解決の糸口をつかんだドルゴ回。
暴れることが目的ではない怪獣と、その対応の難しさを描くデマーガ回、ガヴァドン回。
その一方で、心を通じ合わせても結末を変える事の出来なかったガラモン/セミ人間回や、人間の生活の為に駆除を選ばざるを得ないズグガン回。

理解と和解は違う事で、知った上でも武器を取らないとならない事もある。そうした対話の難しさを描いたうえで問われる「『V99』の船団に何を示すべきか?」の問いは、話し合って解決する回ばかりだったら意義を持たなかっただろうな、と感じます。

ブレーザーさんが『V99』とは直接関係なかったのは意外でしたが、「未知の宇宙人であるブレーザーと絆が結べた」ことが直接の答えになってしまったら、非戦を選ぶことの重みが揺らいでしまうのだろうな、とも思います。理解し合える者もいる。出来なかった者もいる。相手がどちらかは分からない。そこで先に武器を下ろすのには勇気が必要で、だからこそ大事な決断だったのでしょう。

アースガロンについて

アースガロン、間違いなく登場人物の一人でしたね。
見た目はめちゃくちゃカッコよく、怪獣の被害を抑えてブレーザーの助けにもなる。大活躍はしていたと思います。

一方で、見た目がカッコ良すぎたのかもしれないな……と思う部分もあり。
アー君、外見だけなら超強豪怪獣の風格があるんですよね。それこそキングジョー辺りとも互角に渡り合えそうな見た目をしている。のだけれども、アー君自身の描写は「めっちゃ頑丈なサポーター」に寄っていた。そこにちょっと齟齬を感じてしまって、「アー君なかなか勝てないなぁ」という感覚になったりもしました。「アー君健気に頑張ってるなぁ!」と思うには強そう過ぎる。声も石田彰さんだし。

二話のラストで「ウルトラマンブレーザーよりも早く、怪獣を撃滅してみせろ」との参謀長の言があったので、その辺りの期待も重くなってたかなぁ……などと、振り返ると感じたりします。強そうなロボットが更にどんどん強化されていき、やがては大金星をあげるのかな? と思っていたらその時は来なかった。

防衛隊の戦闘機として見るなら、十分以上の大活躍なんですよね。
だから「アースガロン、全然活躍しない!」とは思わないんだけど、思っていたよりは……来なかったね!

中盤からアースガロンに対話AIが搭載された流れに関しては、「まぁなにかしら意味があるんだろうなぁ」と思いつつも、最後の最後までピンとは来てなかったです。なぜアースガロンが丁寧な石田彰声になったんだろう……と思いながら見てた。でも「アースガロンの技術はV99由来で、だからこそ彼らと単純な交信なら叶う」という流れを考えると、その前段階として「対話によって分かりやすく絆を深めていく隊員たちとアー君」の描写は必要で、そこが無機質な機械音声すぎると伝わりづらそうで……と逆算出来ていく。アー君とも仲良くなったんだから、V99とも仲良くできるかも? という予感を与える事に成功している、とも思う。

アースガロンとの関係については、第6話のカナン星人回でも描かれましたよね。当時はまだ対話AIは非搭載で、カナン星人に操られてしまったアースガロン。けれどヤスノブのアースガロンを信じる心が、アースガロンにも伝わったように見えて……という回。

放送当時の私はこの回を観て、「終盤にはアースガロンとの絆も確信出来てるだろうし、まだ関係の浅い今だからこその回だなぁ」と楽しんで観ていたわけですが、この回思ってた以上に全体への影響が強いのでは? と今は感じます。

ヤスノブほか隊員がアースガロンを一機の兵器として見ていたなら、第二三話や最終回のあの展開は来なかったと思うんですよね。隊員たちがアースガロンを仲間と認識していたから、アースガロンも可能な範囲で仲間としての彼らの意志を尊重した。そうした絆の学習の始まりが、未だアースガロンが言葉を持たないカナン星人回だった。

そうして無機物を仲間と認識して信頼する一方で、ゲント隊長とブレーザーは……とニジカガチ前後回で示していく。アースガロンと隊員の関係とゲント隊長とブレーザーの関係が並列して進められていく流れも、この作品の面白いところでしたね。

ウルトラマンブレーザー

ブレーザーさん自身に関しては、敢えて感想として書き記すべき事ってあんまりないんですが。ゲント隊長の「助けようという意志」から始まって、互いの事を分からないまま助け合って、行動によって確かな信頼を築く。その末に、最終回でボロボロになったブレーザーが発した「オレモイク」。この積み重ねと一言が完璧すぎて、もう本当、良かった。

付け加えて言うならば、最終回、ゲント隊長が身に付けた結婚指輪と息子のブレスレットが、息子の想いと繋がってブレーザーの力になったじゃないですか。あれは家族からゲント隊長への想い単体でも好きなんですが、「それを力として受け取れるブレーザー」にも感動したんですよ。

というのも……本編の話からはズレるんですが、ブレーザーさんって公式のショーイベントでも応援の力をハッキリと理解しきれていない様子だったんですよ。頑張れの声と共に送られるエネルギー。それを感じつつも、正体が分からない。そんなブレーザーさんの姿がしっかりと描かれていました。

『ウルトラヒーローズEXPOサマーフェスティバル』でのブレーザー

地球人の応援の声は確かに届いていて、ブレーザーさんの力にもなっている。でもそれをブレーザーさんは上手く認識できず、「なんだろう」と不思議そうに自分の手を見つめていた。

けれど年末年始のイベントになると、ブレーザーさんもその力を理解して、今度は逆に客席へ向けて手を伸ばしてくれるようになった。応援の力を受け取りたい、こちらからも返したい。ハッキリと言葉にはしないけれど、ブレーザーさんと地球人の間の信頼関係がそこに生まれていた。

そうしたショーイベントでの描写を踏まえた上で最終回を観る。
そこではブレーザーさんが息子の「頑張れ」から力を受け取っていて、力は奔流となって初めてのウルトラマンらしい光線技になる。

それまでも確かにウルトラマンであったブレーザーさんが、最終回で正真正銘のウルトラマンブレーザーになったんですよ。

もちろん、あの光線は本編だけでも成立している描写なんですが。
ショーイベントを通っているからこそ伝わる、「地球人とブレーザー」の関係性の変化がめちゃくちゃ効きました。

今、ブレーザーである意味

とにもかくにも、ウルトラマンブレーザー大いに楽しみました!!

新規怪獣盛り盛り、縦軸は散りばめつつ単話優先、過去作との繋がりが一切ない単独ウルトラマン。どれもニュージェネの制作環境下だと覚悟のいる決断だったかと思いますが、ブレーザーがそうした作品で本当に良かったと思います。面白かった!!

まぁもちろん既存の怪獣がスター的にどんどん出てくるとか、新旧ヒーローの共演とか、そうしたヒーロー番組然としたウルトラマンも私は好みなんだけど、「そういうのもあれば、こういうのもある」という状況がとても嬉しい。色々模索して、様々なウルトラマンがある方が楽しいからね。

ある種の「ニュージェネらしい様式美」が固まりかけていた所に、それらと距離を置いたブレーザーさんが現れた。それはブレーザー単体の面白さとは別に、今後のウルトラマン全体への期待値を高めてくれました。

次はどんなウルトラマンに出会えるんだろうなぁ?
再びの「スターズ」を味わいつつ、次代のウルトラマンも楽しみにしてます!!!



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