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【ウルトラマン】ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀 -究極のヒーローショー-

ギャラファイTAC最終回観ました!!!
いやはや、ああいうラストになりましたか。
予測は出来ていたとはいえ、最後のあのキャラとか、Twitter予告のシルエットとか、どうなるんだろう!?って情報が山盛りでしたね。

本編は全体を通して、ウルトラヒーローのカッコよさをしっかり描いてくれていたと思います。ホントその辺は大満足。究極のヒーローショー。

ただ反面、作品の方向性の問題なんでしょうけど、気になる部分もちらほらとありまして。楽しんだ点と気になる点、両方合わせて感想書いていきますね。

ウルトラ凄いヒーローショー

まず文句なしに最高だと言えるのは、ウルトラ戦士の描写ですね!
新人時代のリブットから始まり、ウルトラマンゼットの成長まで、様々なウルトラ戦士の活躍を描いた本作。

中にはウルトラマンジャスティスウルトラマンゼノンなどといった、これまでスポットが当たっていなかったウルトラ戦士の活躍もあり、映像作品では実現していなかったジョーニアスとタイタスの会話など、スペシャル感のある展開にいちウルトラファンである私も毎週盛り上がっていました。

第一章では未熟なリブットの成長を描く中で、同じく海外作品のウルトラ戦士であるパワードやグレートをリブットの師匠役に抜擢。ウルトラマンコスモスやレジェンドがタイプチェンジして戦闘に挑み、マックスはそのパワーの凄まじさを描写。本編以来となるゼノンの助っ人もあり、最後にはウルトラマンレジェンドの登場まで!

その後リブットが所属することになるギャラクシーレスキューフォースの一端が描かれたのも印象的でしたね。参加メンバーがアンドロメロスに戦神、グクルシーサー。……後半二体は現代時間軸だと未参加な気がするんだけど……ウルトラマン以外のヒーロー組織を登場させる、という試みは興味深く、今後の展開も気になってます。

(ウルティメイトフォースゼロももっと活躍して欲しいな!)

第二章では、過去の光の国の事件が描かれましたね。
エンペラ星人との決戦の中、『メビウス』での回想に繋がるような演出でウルトラの父の活躍が描かれたのには強いこだわりを感じて嬉しかったです。わーあのよく分からない金色きらきら空間だ!若い時は短かった父のウルトラホーンともみあげが、剣の力によって潜在能力を引き出すという形で描かれたのも良かった。もみあげは……潜在能力だ!!

(M78流竜巻閃光斬、ここでケンが剣を握る事を出自にしてるのかしら)

更には(こちらも映像では描かれていなかった)タロウとトレギアの若い時代の話も。タイガスパークの出自や、トレギアが想い悩むキッカケの描写がこうして映像になるの、本当に有難いです。タルタロスの介入もあって正史の流れとは違う部分もあるのでしょうが、現状ハードルが高かったトレギアの過去を知る手段になっているのは嬉しい。若い時のタロウはタイガのイメージに寄っている感じがしつつ、あの一点の曇りもない明るさはトレギアにとって眩しすぎたよなぁ、という事を納得させられる。

タロウとトレギア、すれ違うどころか完全に違う方を向き続けていた二人という印象があって、並行同位体にはまた違う結末が待っていると良いなと思ってます。

ウルトラ兄弟VSモルド&ジュダの戦いも良くて、6兄弟の歌と共にそれぞれの特徴を活かしたバトルが展開される流れは、本作最大の見どころと言っても過言ではないレベルだと感じました。ギンガとビクトリーの話を持ち出されて「誰だそいつは!」と怒ったり、アンドロ警備隊の話をして「一体いつの話を!?」とゾフィーが戸惑ったりするなど、並行同位体の認識を示す描写が良かったなとも。しかしここはほんと6兄弟の卓越したテクニックが良くて、特に八つ裂き光輪で直接斬りに行くエース兄さんの迫力が凄かった。エフェクトは八つ裂き光輪っぽく見えたけど、あれってフラッシュハンドの派生なのかなぁ。普段の客演では使わないウルトラアタック光線みたいな技もガンガン使っていきながら、最後はコスモミラクル光線で〆るというウルトラ兄弟全部盛りがまた良い……

ゾフィーのCVが武内駿輔さんになったのも、結構好きです。低くて威厳がありつつも老いた印象はない。今後もこのキャスト配置でやっていくのかな?

その後のアーリーベリアル・アーリートレギアとの戦いでは、コスモミラクル光線の反動でエネルギーが尽きかけていた、という描写込みで圧倒する流れにバランスの良さを感じましたね。ゼロとベリアルが並行同位体でも気に入らない同士なのは楽しいし、「引っ込んでろ」と言われたのに一切引っ込まないトレギアの話聞かなさも好き。

アブソリュート不意打ちからのザ☆キングダムは今後の展開に興味をそそられる流れでしたが、ザ☆キングダムは結局ふわっとしたままでしたね……

そして舞台が現在に至り、『サーガ』のバット星人を甦らせるタルタロスたち……生み出される宇宙恐魔人ゼット………!!

第一章でのソラさん出演もそうでしたが、ショー展開で登場したキャラクターが映像作品に組み込まれるの、嬉しいサービスですよね。

惑星マイジーで修業するトライスクワッドも、その時点でテンションが上がる描写。トライスクワッドはああやって仲良く高め合ってる時が一番輝いて見えるんですよ。その上で惑星マイジーや恐魔人ゼットといった、ボイスドラマやEXPOTHELIVEでの流れを組み込んでいく。ウルトラマンタイガの広い展開が映像作品の中に収束していく。放送当時は色々思う部分もあったのですが、ちゃんと追っかけた上でこうした展開を見るのはやっぱり楽しいポイントなんですよね。

トラスクの結成秘話の中で、ジョーニアスとタイタスの組手やボイドラで語られたO-50襲撃事件、リブットとトレギアの絡みが描かれる上にタイガたちとヒロユキの絆を強く感じられる一作。オススメ。

話をギャラファイに戻します。
前作以降の流れで綾香市を頑張って守ってるグリージョの描写も良かった。
最初の頃と比べてしっかり強くなったのが見て取れるし、その上で全身からみなぎる頑張ってる感。怪獣二体を撃破でなく撤退させる流れはキャラ感を守っていて微笑ましい。

グリージョの声、本作では多くのウルトラ戦士が本職声優さんになってる中で、其原有沙さんのアフレコも上手いですよね。元気の出る感じ。しかし登場するかと思っていたEXPOの例のキャラが未登場なので、これは……次回作も出番ある感じかな……!?
グリージョ、公式に推されている感覚が強いなぁと最近思っています。男児メインのコンテンツで出し辛い希少なウルトラウーマンで、しっかり人気もあるキャラクターですから、どんどこ活躍させていってくれると私も嬉しいですね。

映像で描かれるU40と、ジョーニアスVSタルタロスの戦い。これも短いながら見応えが抜群だった。体術に関してはタルタロスに一歩も引けを取らないばかりか、ともすれば倒せそうな雰囲気さえ醸し出すジョーニアス……カッコいいぜ……

めっっちゃくちゃカッコいいフォトンアース活躍周りも最高だったんですが、その後のタイガ君周りの充実した関係性の描写もマジでサービスタイム。アレスも今後登場して欲しい……。
「じいちゃん」「ばあちゃん」呼びは当時のウルフェスでも披露して(笑いを呼んで)いたんだけど、それを注意するタロウの流れとか、一家の良好な関係性を思わせる描写は本当に素晴らしい。タイガ、ああいう出自だと家庭内でツンケンしててもおかしくない所なんですけど、普通に家族仲良さそうなんですよね。『タロウの息子』扱いされるのはイヤだけど家族の事は尊敬していて大好きなタイガ君。その孫みに癒される。

で、『兄弟子のメビウス』ですよ。Zボイスドラマの流れもあってコロセウムでゼットに修行をつけるメビウス兄さん。ゼロがああいう感じだから今まで描写されていなかった、成長したメビウスの立場を感じさせる一連の描写。もうメビウスもかなり昔なんだよなぁ。福山潤さんの声にはまだちょっと慣れてない……というのが本音なんですけれども、今後のメビウスは実力者の優等生が着実にキャリアを積んだ、頼もしい先達としての姿を見せてくれるのだろうな……という感覚です。

力の賢者としてジョーニアスと語らうタイタスは、本編始まる前からの楽しみの一つ。それに違わない責任感ある雰囲気が彼らのウルトラとしての重みを感じさせる一方、フーマはグリージョ相手にキョドっていた。

「こちらファルコン1!!!!!」

最終決戦では、未熟なウルトラマンゼットが仲間と共に戦う大切さを学んでいく流れが素晴らしかったですね。一人で突っ走る事が強さではない、というのをまずゼロが語るのが良いんですよ。そんな過ちの末に危うくベリアルと同じ道を歩むかもしれなかったゼロが、ですよ。『DREAM FIGHTER』の歌詞も思い出しますよね。そういう勘違いを乗り越えて大切なモノを知って強くなった、っていうのがウルトラマンゼロの経緯なので、その重要事項がゼットにも引き継がれていくこの系譜感よ!

同じことはタイガにも言えて、前作ギャラクシーファイト(無印)の直後、タイガはタロウの制止を無視して突っ走った挙句にトレギアに爆散させられている。そこから地球人・ヒロユキに出会って、仲間とも再会して、改めて共に戦う仲間との絆の大切さを思い知った。そんな彼がゼットを制止して協力することの重要性を教えていく。繋がっていく。メビウスの口から語られた流れが、この先も続いていく事をこうして示していく。最高。

などと言いながらゼロ師匠はウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロなんていう超ド級のウルトラチート形態を披露するんだからなぁ!!流石です!!

シャイニングウルトラマンゼロがウルティメイトアーマーを纏った姿、とだけ言ってしまえばそうなんだけど、その時と空間を超える力を同時発動しちゃうのは本当にゼロさん最高ですよね。銀色の輝きが眩しくてめちゃんこカッコよかったです……時空を超えるタルタロスの無法に堂々と乱入していくウルトラマンゼロ。そういう少年漫画的な熱さ強さがゼロさんの大きな魅力でもある。結果としてタルタロスを仕留めることは出来なかったけども、今回も最前線で滅茶苦茶するゼロさんが観れて幸せです!!!


などと、まぁ。
毎週毎週本当に楽しませていただきました。
ウルトラヒーローのカッコいいとこ、美味しいとこが詰め合わされたギャラファイTAC、名作。映像作品で観る全霊のヒーローショーといった感じ。

元々がゼロファイト以降のファイト系列って、短い尺の中でウルトラ戦士の魅力を描写していくような作風なんですよね。ひたすら戦い、勝利するウルトラマンたちの強さカッコよさ。それを時を超えて無数のウルトラ戦士でやってるんだから、これは盛り上がること必定です。今までは制限されることも多かったコスモスのタイプチェンジや、ウルトラ兄弟の珍しい技、若いウルトラ戦士たちの成長した姿に更なる必殺技、強化された姿!

ウルトラマンたちの活躍に絞って見れば、これ以上は無いんじゃないかというレベルで名作かも、と感じてます。……の、だけれど!

その反面で、敵側の描写に関しては首を傾げています。


怪獣側の魅力ももっと押し出して欲しい

ここからは不満要素の話。
タイトルの通り、怪獣側・敵側の描写に関して不満が残ってます。

まずは、というかこれが一番デカいんですけど。
ルーゴサイトの描写はあれはちょっと、違くないです?

ルーゴサイト『ウルトラマンR/B』ラスボス怪獣で、本来は宇宙の害悪を駆除する役割を持つ生命体が暴走。先代のロッソとブルを撃破し、地球を丸ごと呑み込もうとしている恐るべき存在です。

大きな特徴は、ルーゴサイトは元来『ガス状生命体』だということ。
実体らしい実体を持たず、その巨大な体で星を丸ごと呑み尽くすのがルーゴサイトの厄介な部分であり、ルーゴサイトを撃破するにはまずジャイロなどを用いて実体状態に固定しなければならない。

しかしジャイロでクリスタル化した後も自我を保ち、実体化した後も重力を無視したような浮遊めいた移動方法で通常の怪獣とは一線を画した雰囲気を醸し出す。
強力な光線を無数に放ち、触手やバリアなどの能力を持つルーゴサイトは、攻撃を受けても殆ど怯むことなく、直立の状態を保ち続ける事が多い。
魔境ともいえるニュージェネ最終回怪獣の中では比較的マトモな方扱いされてる事もあるが、とにかく光線の手数と耐久力においては他の最終回怪獣に一切引けを取らないだろうと、私は感じてる。およそ生物的な意思を超越した、一種の機構として活動を行うその姿の異様さが、ルーゴサイトの魅力だとも。

そんなルーゴサイト、ギャラファイTACでは最初から実体で登場した上、振りかぶっての格闘戦を選択したり、足を動かし地響きを立てながら歩いたり、相手の出方を窺って攻撃の手を緩めるなど、生物的な意識を思わせる行動が描写されたりしてしまっている。

一応は80の攻撃を体で受け止めると言ったタフネスさは見せつけていたが、ウルトラマンネオスやセブン21に抑えられ動けなくなっていたり、コスモスとジャスティスの攻撃で大きくよろめいたりするなど、『R/B』で描写されていたような超然とした雰囲気は消え去り一体の強力な生物として描かれてしまっている節があった。

もちろん、80にネオス、セブン21、そしてコスモスとジャスティスといったメンバーが揃えば、ルーゴサイトの撃破は十分に可能だろう。
だがその一方で、ルーゴサイトが本来の魅力・風格を上手く描写されないまま、ただ強いウルトラマン複数で掛かるべき敵とだけ処理されてしまったことには違和感を覚える。

坂本浩一監督の得意とする描写が格闘戦だ、というのは理解している。
実際、上記戦闘においても、ウルトラマンたちの格闘する姿はスピーディーに、かつ迫力を持って描かれていると感じた。しかしそれは、ルーゴサイトを活かす描写ではない。ああいう描写の仕方をするのなら、もっと他の怪獣をセレクトすべきだったのではないか、と思う。

似たような事はマガオロチにも言える。
前述のルーゴサイトと違い、マガオロチ自身は中ボスと言える立場で、『オーブ』作中でもサンダーブレスターの圧倒的なパワーを前になす術もなく撃破されてしまっている。といって、一時はオーブを追い詰めた強大な力を持つ怪獣が、見せ場らしい見せ場もなく倒されるのはどうなのだろう。しかも今回のマガオロチには、マックスのエネルギーを吸収し、ゴーデス細胞で強化されているという設定もある。そう言った設定を、ベテランウルトラマンたちが複数で掛かる理由としか扱っていないように見えるのは勿体ないと感じてしまう。

といって、ウルトラ戦士が苦戦する描写を長引かせる尺の余裕はなく……予算や設定を考えれば、ビル街のミニチュアのような分かりやすい破壊対象を用意するのも難しい話だ。ウルトラ戦士の活躍を主軸とする以上、怪獣の扱いが薄くなるのは避け得ない事態でもあると感じてはいるのだが。

ちなみに、人工ゼットン軍団もその戦闘員的な扱いによって話題となってしまったが、こちらに関しては私は問題視していない
ゼットン自身は強力な怪獣だが、既に倒せる怪獣として扱われて久しいし、今回のゼットンたちは複製体として実力が一段劣るものとして描写されている。それに……ゼットンが育成環境によって性能にバラつきのある怪獣であることは、今までの描写で何となく……周知されている気がしている……

良かったと感じる怪獣描写もある。
まずはヘルベロス。本編では出自などが一切明らかにされなかった宇宙怪獣だが、本編ではスラン星人の手駒として描写されている。
実はギャラファイTACに近い時期、博品館劇場のショーでもヘルベロスは悪い宇宙人の配下として登場しており、どうもヘルベロスは新時代の用心棒怪獣として扱われ始めている節がある。
出自が曖昧な宇宙怪獣で、外見はいかにも恐ろしく悪そう。実力はそこそこで、ウルトラマン一人でも倒せるくらいの立ち位置。ものすごく、用心棒怪獣に適任な怪獣だとは思わないだろうか?
本編での雰囲気が徹底されない怪獣もいる一方で、こうして新たな魅力を見出させてくれそうな描写があるというのは楽しくもあり、嬉しくもある。

同じくタイガ出身の怪獣からは、ナイトファングの描写も見逃せないだろう。悪夢を見せるという特性を活かしてトレギアを追い詰める様は、ナイトファングの魅力を十全に活かした描写と言えるだろう。更にはナイトファングは後に怪獣リングとしてトレギアの目的に利用されてしまう存在。本来なら自分が上手く扱うはずだった存在に翻弄されてしまうトレギア、という逆転もまた美味しい。

『ウルトラマンタイガ』は新規怪獣の多い作品でもあったので、彼らがこうして後年の作品で活躍している所を観られるのは個人的にとても嬉しいポイントだ。

『ウルトラマンZ』では、田口監督が「やられ役になるくらいなら」とマガタノオロチのスーツをゲネガーグへと改造した。その後、こうしてマガオロチがやられ役として描写されているのを観ると、寂しい反面その危惧も間違いではないのだなと感じてしまう。

本編での活躍を終えた怪獣が、再び我々の前に姿を現してくれる。その事実はとても嬉しい事だ。その内実が「毎週スーツを作る予算がない」という円谷側の懐事情によるものでも、再登場によって新たな魅力が見出される場合もあるのだから。

一方で本作のように、元来の魅力を描写されずただ便利なエネミーとして消費されてしまう怪獣もいる。ギャラクシーファイトに限った話ではないだろうが、今後はこういった点に関しても更に上手く描写してくれるようになると嬉しいな、と思うばかりである。

ベリアル……様?

怪獣以外にも気になる点はあった。
ベリアル様だ。ウルトラマンベリアルの過去描写。これはこう……賛否あるだろうし、好きな人は好きなものだろ思ってはいるのだが……

ギャラクシーファイトで描かれたベリアル様の過去は、悲惨なものだった。エンペラ星人との戦いの際、自身を差し置き聖剣を手にしたケンが潜在能力を発揮し敵を撃破。訓練でも実力の差を見せつけられ、一目惚れした女性は知らないうちに親友とくっ付いていた。

なるほど、そんな状態にもなれば一発逆転を求めてプラズマスパークに手を出しもするだろう。納得させられる圧のある描写だった。

でも、そういう共感性ってウルトラマンベリアルに必要だったか? って思っちゃうわけなんですよね!

初登場時のウルトラマンベリアルは、「力に魅入られ道を踏み外した」存在として描かれている。ギャラファイの描写を踏まえたとしても同じ文言で表現は出来るだろうけれど、その印象は大きく違う。

私がこれまで観て感じていたベリアル様像は、「より大きな力を求め続ける存在」だったのだ。のだけれど、ギャラファイの描写では「差を埋めるため」「マイナスな現状を打破するため」に力を求めたようにしか感じられない。間違ってはいても上昇志向の結果として悪の道に進んだのか、それとも他にどうしようもなくなってそちらへ進まざるを得なくなったのか。結果は同じでも、二者の描写は天と地ほど違う。

盛り盛りの筋肉を身に着け、圧倒的な力で邪魔するものを蹴散らし、高笑いしながら弱者を踏みつけ多くの部下を率いる。
ウルトラマンベリアルはそういう存在だと思っていた。
圧倒的な力故に、悪の宇宙人たちが惹き付けられてしまう。まさしく『悪にとってのウルトラマン』がベリアルなのであると、信じていた。

『銀河帝国』や『ゼロファイト2』での、ガキ大将的な暴君としての魅力。『ジード』でのねっとりとした悪の王としての魅力。ベリアル様の描写はジード前後で変わってしまっていたとはいえ、「圧倒的な力を持つ故に他者を惹きつける悪」という根本は変わっていなかっただろう。

ダークネスファイブが忠誠を誓い、フクイデケイがその身を捧げたウルトラマンベリアルとは、そういった存在であるはずだ。

その根本が。キッカケが。人間関係に端を発する『逃避』として描かれてしまったというのは、どうだろうか。

私はベリアル様にお子がいらっしゃると聞いた時も、ベリアル様のご尊顔が剣になったと聞いた時も、動揺こそすれ「それもまたベリアル様」と自身を納得させてきた。のだけれど、今回の描写はちょっと呑み込むのに時間がかかっている。短い尺でそれだけ逃避したくなるような状況を上手く描いていた、という言い方も出来るのだけど。

まぁ、ベリアル様に夢を持ち過ぎた、と言ってしまえばそうなのかもしれないけれど。そういった描写の末に、ウルトラマンベリアルを……そしてアーリーベリアルをどういったキャラクターに持っていきたいのか。今後の円谷の動向が気にかかるところです。

ちなみに、ここまでのベリアル様の活躍は以下で振り返ってる。
まーベリアロク含め、ここから今の状況になるとは思っていなかったんですけれども……


次回作への期待

なんだかんだとありつつも、アーリーベリアル・アーリートレギアを残したまま次回へと続いたギャラクシーファイト。
不満点はありつつも大変楽しかったので、続きも待望しております。

今回の描写では(最後のVSゼロまで)究極生命体の名にふさわしい戦闘力を発揮できていなかったようにも思える究極生命体アブソリューティアンの戦士アブソリュートタルタロスも、次回ではその強さを存分に発揮してくれるのだろうか。アブソリュート不意打ちとアブソリュート撤退ばっかりしていたので、タルタロスさん自身の強さ描写が曖昧なのは気にしてる。見た目もお声もカッコいいので、どんどん魅力を発揮していただきたいところ。

宇宙地上げ屋アブソリューティアンとウルトラ戦士の戦いはどうなっていくのか。ギャラファイTACで一瞬だけ意味深に登場したキングは何を考えているのか。キングの爺さんを攻略する手立てはあるのか。そして最後に移った謎のセブン似の戦士の正体は……!?

公式Twitterに乗せられた謎の戦士たちの画像も気になるところですし、早く続きが観たいですね。


っていうか感想めっちゃ長くなったな!?
これにて本作への感想はお終いです。
お読みいただきありがとうございました!


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