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『ウルトラ6兄弟THELIVE ウルトラマン編Vol.2』それは我々と彼らの積み重ね

銀座博品館劇場で行われた『ウルトラ6兄弟THELIVE ウルトラマン編Vol.2』観てきました!!

銀座博品館で今まで『ウルトラマン編』『タロウ編』『ゾフィー編』の3本が上演された6兄弟THELIVE。今回はその『ウルトラマン編』の続編という事で、意外なパターンに驚きつつも楽しみにしていました。

『タロウ編』は未見なんですが、『マン編』も『ゾフィー編』(こちらはツブイマで観た)も栄光のウルトラ6兄弟をメインに据えており、今ではレジェンドヒーローとして扱われる彼らの活躍を目いっぱい楽しめる素敵なシリーズです。

円谷プロダクションは今この『ウルトラ6兄弟THELIVE』を始めとした舞台シリーズに力を入れており、今回の『ウルトラマン編Vol.2』では、公式Twitterにて前日譚小説を掲載するなど、新たな試みも行われていました。

そうした流れもあり期待値を高めて観劇した『ウルトラマン編Vol.2』なのですが、これがまた、とてもいい作品でした……!

ウルトラマン生誕55周年の今年だからこそ行うべきステージだったと思いますし、見所やサプライズなども色々ありました。とても充実した内容で、初代ウルトラマンが好きな方はもちろん、今年50周年を迎える『帰ってきたウルトラマン』のファンも必見の内容になっている、と思います。

前作との繋がりは前半戦、物語となる楽園「クーパイト」の事情と、そこに住むバルタン星人の兄弟との関係性周りのみ。前作に登場したバルタン星人バルルは引き続き登場しウルトラマンとの絆を見せるのですが、かといって前作を知らなければ分からない、というバランスにはなっておらず、物語の中心に立つのはどちらかといえば新キャラクター・バルラ。

ですので、前作を未見の方でも劇場や配信でご覧になっていただきたい……と思うのですが、ツブイマの一般会員(月額550円)になれば前作も『ゾフィー編』も観られるので、もうホントに!どこからでも良いからTHELIVE観て欲しいですマジで!!

というわけで。
まだ本作をご覧になっていない方はぜひご検討いただいて。
ここからは、ネタバレ込みの感想を書いていくので、ご了承の上でお読みください。あとこう、丁寧ではない。


パァァァァン……パラッパッパァァーーーーッッ!!(ジャーン)


●ネタバレ感想

アバンストラッシュすな!!!!!!!

いやいつものナイスさんからのアナウンスね、博品館に来てるな~って安心感があって好きなんだけど、30分後のネタをぶち込むんじゃありませんよ。いや呼吸術を使うのよりはいいのか? どっちにしろ良くないのか? 配信では控えそうだけど、なんだかんだとフリーダムにネタ突っ込んでくるよねナイスさん。(「スマイルスマイル♪」→「スライムスライム!じゃないからなそれだと三十分後の大冒険になっちゃうから」→「アバンストラッシュ!!」、言ってる本人が一番自重してない)。

会場でナイスさんのアクキーが発売されたのもめでたいし、ナイスさんがギャラファイに出演するのもめでたい。会場のみんなで拍手で讃えました。ゆけゆけナイス。マジで応援してます。

で、本編始まったら即・ズルじゃん!!!

こっちは『ウルトラマン編Vol.2』って聴いて……
いや『ゾフィー編』の前例もあるから想像はしてたけど……

『帰ってきたウルトラマン編』じゃないの!

タイトルバックからして『帰ってきたウルトラマン』が飛び出してきたので、「これはゾフィー編と同じアレだな!」とちょっと笑みが零れた。のも束の間、いきなりグドンVSツインテールVS帰りマン兄さんの激闘が始まる。帰ってきたウルトラマン濃度が高すぎるスタート。

それでですよ。
バルラと話すジャック兄さん、すごく「郷さん」じゃなかった?

ウルトラ兄弟として振舞う時とは違って、兄のような頼もしさと気さくさを兼ね備えた気取らない雰囲気。バルラを可愛がるジャック兄さんの姿は、完全に次郎君と話している時の郷秀樹をイメージして描かれていたんですよね。それが良い……良いんですよ……今ウルトラマンジャックというキャラクターの中に郷秀樹らしさというものが出てくる余地ってあんまりなくて、後年の客演時の「先輩ヒーロー」的イメージが先行して描かれている感じだと思うんですよね。だけど今回は6兄弟メインで話を作って、バルラというと交流を持つことによってジャック兄さんの中の郷さんが顔を覗かせてくる。これが本作前半の一番素晴らしい点だと思うんですよ……!

『帰ってきたウルトラマン』の50周年に帰ってきたウルトラマン/郷秀樹にスポットを当ててくれるの、嬉しさしかないですよね。ここまでメイン所として描写してくれると思ってなかったので、不意打ちで嬉しかったです。

そんなジャック兄さんは、バルラたちが暮らす「クーパイト」に危機が迫っていると伝えられ、彼らの処遇に関してジャスティスと意見をぶつけ合う。

彼らを別の惑星に避難させるべきだ、というジャスティスの意見は正しくとも、身の安全さえ保証されれば良いという話ではないのも事実。光の国の戦争によって故郷の地球を捨てざるを得なかった郷さんにとっては、クーパイトという最後の故郷を捨てて逃げさせるなんて、とても承服出来る話ではない。

そんなジャックがバルラを守るために戦って、倒れてしまう。
そして帰りマン兄さんを逆さ磔にしたナックル星人は、楽園クーパイトに降伏を勧告する……!

ナックル星人の冷酷さと優秀さが光る中、それを打破すべく立てられた作戦が「ウルトラの星作戦」。『帰ってきたウルトラマン』の37・38話を思わせる展開にワクワクしっぱなしでした。

戦いが始まった後のサプライズも最ッ高!

まずゼロ&ゼットが今回も本人ボイスで登場!
これ事前に予告とか無かったので、めちゃくちゃ嬉しかったです。
「ヒーローは遅れてやってくる」と言いたいのに「寝坊してくる!」とか言っちゃうゼット君と、「知ったかぶりすんなよ……」「それじゃオレたちが寝坊したみたいじゃん……?」と戸惑うゼロ師匠、いつものノリ過ぎて最高に楽しい。し、セブン師匠と力を合わせて三人で戦う流れも嬉しすぎるんですよねぇやっぱ!

というかその前に先陣を切るセブンさんが格好良すぎる……
こういう時に先陣を切るのはレッド族の役目、って確かにレッド族は体頑丈だけど、それでいて「後から追い付く」ですもんね。セブンかっこよ……

それから不意に鳴り響くオーブニカ!
突然のオーブニカはいつでもズルい。あんなん絶対テンション上がるヤツだからね。しかも今回台詞少な目だったけど、あれガイさん本人……だよね……?

ハリケーンスラッシュ、ゼロ、ジャックでランス組勢揃いの流れが好きすぎました。っていうか逆にランス組揃えるためにガイさんも呼んだの??手厚すぎない……??

ジャック兄さんとナックル星人、「ブラックキングがジャックを羽交い絞めにしてボコる」みたいな定番のアレも見せてくれつつ、他のウルトラマン・怪獣が勢ぞろいする中でゆっくり立ち上がるジャックとナックル星人……みたいな描写がバリバリに決まってて、両者の格がめっちゃ高かった。

〆にジャック兄さんの光線を受けて吹っ飛ぶナックル星人とか、威力的な見せ場もあって楽しかったね……

決戦時にはジャック兄さんがゼットンと戦う一幕もあったんだけど、二代目オマージュの流れだよねぇ……バット星人こそ出てこなかったものの、最終回のイメージも含めての演出だったんじゃないか、と思うんですよ。

だってジャック兄さん、「ウルトラ五つの誓いを言ってみろ」っていうじゃないですか、バルラに。「言いたくないなら言わなくていい」までしっかりやっていくのは若干台詞が先行してるな、と思うんですけど(次郎君のように、言えば郷さんと二度と会えなくなってしまうようなどうしようもない予感みたいなものをバルラが感じていたか?という辺り。そもそも五つの誓いはバルラにとって意味のある格言なのか、とか)、それでもジャック兄さんがクーパイトで出会ったもう一人の弟に、彼と同じ言葉を言って聞かせるという演出は好きだし、そうして去っていくジャック兄さんに、バルラが次郎君と同じように「ウルトラマーン!」と叫ぶのは、これが『帰ってきたウルトラマン』を中心に据えた『ウルトラマン編』であることを強く意識させる。っていうか私のような後年の人間にはジャック兄さんはウルトラマンジャックだけど、当時の人たちにとってはジャック兄さんも帰ってきたウルトラマン。新ウルトラマン。つまりはウルトラマン。なんですよね。

そんなこんなで前半は『帰ってきたウルトラマン編』と言っても過言ではないものに仕上がっていたけど、かといって初代マンとバルルに関してないがしろにされていたという印象は無く、初代マンとバルル、新マンとバルラという形で同じ光、受け継がれるものを意識させてきてくれた、という感覚があります。

そうして濃厚な郷秀樹成分を摂取して大満足の前半戦。
もうこれだけでも十分元が取れたな……と思うのですが、まだ後半も残ってるんだな!


後半戦は今度こそウルトラマンメインで、だけど前半と比べて少し気楽に構えられるお話でした。記憶を奪われ、ウルトラマンとしての活動の全てを忘れてしまったウルトラマン……!

記憶喪失のマン兄さんが真面目さ故にボケに回ってしまう感じ、めちゃくちゃ楽しかったです。ゼット君がツッコミに回る事態。
光線ビュって出ちゃうとこ好き……

記憶を無くしたマン兄さん、ウルトラ兄弟としての緊張感や戦いの記憶を失ってはいても、体の中にはまだ経験が蓄積されている……っていう塩梅がすごく良くて、咄嗟に出る動きは機敏だけど考えて戦略を組む事は出来ないので「どうしたものかな」となってしまう感じ、良かったです。

途中のギナスペクターはなんだったんだろうね……
多分なにかの前フリ……だとは思うんだけど(ギャラファイかな?)、ここは本当に今回だけじゃよく分からないな、という感想です。でもなんか指先までしっかり管理されたモーション良かったです。

ウルトラマンが記憶を取り戻すキッカケは、平時であればいつも通りの皆の声援だったんだろうな、と思うんですよね。でも今は応援の声を届ける事は出来なくて、手拍子やウルトラチャージ越しにしか力を届けられない。でもマン兄さんは会場の地球人たちを守ろうとして、手拍子に力を貰って、声援を思い出した。これはやっぱり、そうやって積み重ねてきた地球人とウルトラマンの歴史を振り返るもので、また手拍子やウルトラチャージは声援と等価の、きちんとウルトラマンに力を与える応援手段なんだよ、と伝える描写でもあったと思うんです。博品館という長くショーを続けてきた場で、奇跡ではなく「積み上げてきたもの」がウルトラマンの記憶を取り戻す。今作は55周年を迎えたウルトラマン全体の記念であり、また同時に今までの日常を取り戻せるかどうかという情勢の中で、「ヒーローショーの記憶」を強く揺さぶり意識させるシナリオだったのかもな、なんて思います。

それから、記憶を取り戻すキッカケとして外せないのが、ペガの持ち出してきた武器「マルス133」。全てを思い出したウルトラマンは、それを「地球で出会った大切な友が作った」ものだと語る。

「マルス133」は言わずと知れた科学特捜隊のスゴイ武器の一つで、開発したのは科特隊のムードメーカーにして優秀なメカニックであるイデ隊員。そのイデ隊員役を演じた二瓶正也さんは、今年の8月にお亡くなりになりました。ここで「マルス133」からイデ隊員の事を想起させたのは、THELIVEなりの二瓶さんへの追悼だったのだろう、と思います。

初代ウルトラマンが地球に降り立ったからこそ、その先のウルトラ兄弟と地球人との絆が生まれた。そしてきっとこの先に生まれる新たな光も、その始まりは初代ウルトラマンから繋がっている。

ゼット君が言うように、ウルトラマンの歴史は初代マンから始まって、今に続いている。そんな彼と地球人の積み重ねの中にショーがあり、声援がある。我々が忘れない限り、その光は受け継がれていく。

このタイミングで再びの『ウルトラマン編』だったのも、55周年の機にもう一度、THELIVEシリーズを盛り上げるべき時にもう一度、彼と地球人との関係を見つめ直したい、という意図だったのかもしれません。いや、全部考えすぎで単に興収とかの問題かもしれませんけど、私がそう感じたのは間違いないです。

ゼットやトリガーに迎えられ客席に最後の挨拶をするマン兄さんが、とても偉大で輝いて見えました。私は彼の姿を観にここまで来たのだなぁ、と改めて強く思って、ウルトラマンに会って来たのだ、という実感が強く湧いてきて。本当に、至福のひと時でした。

そして。
挨拶を終えて去ろうとするマン兄さんの元に、聞き馴染みのあるBGMと共にやってくる一人のウルトラマン。……ダイナ!

『TDG THELIVE ウルトラマンダイナ編』、上演決定!!!!!

最後の最後までたっぷりサプライズを盛り込んでくれた『ウルトラマン編Vol.2』、本当にウルトラ大満足の傑作でした!

細かい魅力や好きな点を上げればまだまだ足りないのですが、今回の感想はこれで、おしまいっ!

次回のTHELIVEシリーズも、楽しみに待ってますね!
うわー、本当に良いなTHE LIVEって……楽しすぎる……


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