服の話

私のここ数年間のファッションテーマは「シュッとしたパジャマ」です。着心地がいい、ラフなもの主体ですが、あくまで外着としての「シュッとした」を、心がけ程度に添えています。

トップスはTシャツやスウェットで、季節を問わずChampion率が高いです。ボトムスはなるべく外付けのベルトを必要としないもの、Gramicciが中心でしょうか。無地でシンプルなデザインのものを好んでいます。

新しく服を選ぶ際、私がもっとも気にかけるのはサイジングです。ものすごく欲しい服があっても、私に合うサイズがなければ、その場では必ず諦めます。「全然サイズが合っていないおしゃれな服」と「サイズが合っている普通の服」だったら、普通の服のほうが断然いいです。もちろんこれは、数々の失敗をもって学んでしまった教訓の一つです。


たまに「かわいい靴下を履いているね」と言われることがあるのですが、これはいつも履いている「A Hope Hemp」の靴下です。耐久性があって、普通に3年くらい履けるところが気に入っています。カラバリも豊富なので、常時5足以上は取り揃えています。

これが夏場などは、5本指フットカバーになります。5本指フットカバーは色々探しましたが、結局グンゼのものがベストかなと思います。

5本指に目覚めたのは、肉体労働の仕事をしていたとき、先輩が履いていたのを真似たことから。私の足はかなり湿りがちなので、5本指の心地よさに慣れてしまったら、もう5本指以外は考えられなくなりました。
(ちなみに、A Hope Hempの下には5本指フットカバーをインナーとして履いて二枚履きしているので、5本指フットカバーは年中いつでも履いていることになります。)


服装に関して「自分はこういう格好でやっていくぞ〜!」というものがある程度固まっていると、かなり生きやすい感じがあります。ファッションジプシーの時期は自己肯定できずに、なんとなく辛い時期もあったような気がしています。引きこもりから脱するか、脱しないかくらいの頃でしょうか。今考えると、だいぶ変な格好をしている時もありました。

私のファッションで最初に固定化したものは「バンドTシャツ」です。足繁くライブへ通うたびにTシャツが増え続けるので、とりあえず普段からそれを着るという感じでした。20代の多くの時間はそのように過ごしましたが、ライブへ行かなくなるのに合わせて服装も変えていこうと思い、やがて「シュッとしたパジャマ」にたどり着きます。

最盛期で150枚ほどあったバンドTシャツは、数年前にTwitterで引き取ってくださる方を募集して、ほとんど全部配り尽くしました。今でもZAZEN BOYSのやつとか、ごく数枚だけは手元にあります。でも、プリントTシャツの類をこれから外で着ることって、もうほとんど無いのかなと思います。シンプルな格好をするようになってつくづく思いましたが、あれは本当に合わせるのが難しい。それで結局、毎日無難な黒スキニーを履くことになります。

バンドTシャツ当時と比べたら、最近は地味になったかもしれませんが、ファッションとしては確実に今のほうが幅があって面白いです。


「フランス人は10着しか服を持たない」みたいな胡散臭い話がありますが、どこかで私はその言葉のイメージを拝借・引用しています。不必要な服は持たないという、どちらかといえばミニマリスト的文脈でとらえていますが、この事はいつも頭にあります。

具体的には「ポーカーの手札」のイメージです。一枚捨てたら一枚受け取る、一枚欲しければ一枚捨てる、といったように、クローゼットの枠内からはみ出さないように心がけています。買うなら処分する、処分するなら買っていい、というのが基本的な流れです。

以前、引っ越しを機にハンガーを一通り揃えたのですが、「ハンガーにかかりきらないものは持たない」をルールにしました。ハンガーの数が、ポーカーの手札にあたる感じですね。ただ、物を増やさない意識を高めすぎたあまり、結局今ではハンガーがすごく余ってしまっています。ハンガー自体の整理を検討するという、なんとも本末転倒な状況です。

そもそも着たい服は無限にありますし、ハンガーも余っていますが、それらを十分に買い揃えるお金がありません。私は「おさがり」も含めて古着が苦手なので、買うなら新品に限定されます。フリマアプリもリサイクルショップも使っていますが、私は売る側専門で、買ったことはほとんどありません。

一度でいいから値段を気にせず、思う存分服を買いまくってみたいものです。仮にそんな浮き足立つような機会が訪れたとして、今ならきちんと地に足をつけて、自分に似合う服を選べる気がしています。服選びは経験値が出ますね。だから若くして「自分のスタイル」のようなものをしっかり持っている人のことは、本当にすごいな~と思っています。

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