恋人の話

今の恋人とは2年ほど経ちます。

二人でどこかへ出かけると、付き合ったきっかけを聞かれることが時々あるのですが、平たく言うと「付き合っちゃいなよ」と人から言われたので、私たちは付き合っています。

「付き合っちゃいなよ」と言ったのは、ほかの人よりも俯瞰する視点の高度がずいぶん上のほうにあるような人で、いつもその知性や洞察力に一目置いている人です。さらに、その人は私たちのことをそれぞれよく知っている人でした。

「(私たちをよく知る)その人がそう思ったんなら、まあそうかも」

そんな具合で、付き合うことになっています。

結果的にその人の「指示」は、正しかったように考えています。今後私たちのどちらかに重大な変化などがなければ、おそらくずっと一緒にいるのではないでしょうか。漠然とした見通しですが、私はそのような関係だと感じています。私たちは、うまく噛み合う歯車の相性にあるように思います。


恋人は、基本的には変な人です。往年のふかわりょうやジョイマンのネタのような動きを、私の前ではよくしています。外を歩いていて風が吹けば、GLAYのTERUのような動きをします。愉快な人です。

恋人はとてもお酒が好きで、私もそこそこ飲むほうですが、私と同じか、それよりもややハイペースで飲みます。これはけっこう重要なことで、お酒への耐性や飲むペースが大きく異なる相手だと、どちらかが控えたり、無理をしすぎたりするので、たとえ無意識にでもすり合わせる必要が出てきます。その点で私たちは、お互いにほとんど遠慮がないかもしれません。

遠慮がない分、一緒に買って恋人の家に置いてあった美味しいラムやジンなどが、気付いたときには空き瓶になっていることがあります。ただ、事前にちゃんと釘を刺しておけば残しておいてくれるので、恋人には理性があります。恋人に理性があってよかった。

私たちが一緒に過ごす時間が増えてからというもの、二人とも肥えてしまって困っています。「痩せないといけないな〜」などと言い合った直後、以前から行きたかったカレー屋のメニューを見てテンションが上がり、腹が破裂するほど食べまくったりしてしまうので、気をつけなければいけないとは思っています。

自らの欲望にストイックな点などは、私たちはよく似ているかもしれません。特に「飲み食いに関すること」ですが。心なしか、最近は姿形も似てきました。


今は、恋人と一緒に住む家を探しています。

ちょっと前までの私は、恋人と一緒に住むことを頑なに拒んでおり、同じマンションの301と405にそれぞれ住みたい(上下や隣同士も近すぎてイヤだから)、もしくは隣のマンションか同じ町内くらいの距離感に住みたいとか、勝手なことをよく言っていました。

心境の変化としては、上記でも述べたように、なんとなく二人が一体化してきたところがあります。恋人の部屋の掃除も、最近はほとんど私がやっていますが、自分の部屋を掃除しているのと完全に同じ感覚です。「床に物が落ちているから片付けなければいけない」とか。住まいが別々である意味が、私の中でもほとんど無くなってきました。

誰かと衣食住を一体化すること自体、私はそもそも全くやりたくないほうだったのですが、今の恋人なら「それもいいか」と自然に思えました。これがもし、今の恋人でない人だったら、やはり「別々の住まいがいい!」と主張し続けていたかもしれません。この変化は、私自身にも意外なことで、とても面白く感じています。

そのうち家が決まって合流するとなったら、私にはひとつ要望があります。それは、現在恋人の家で使っている「キラキラしたドクロの玄関マット」を、二人の住まいには持ち込みたくないということです。また、現在使っている毛羽立ったタイプのキッチンマットも、汚れが溜まって掃除しづらいので、こちらは合流を待たずにそろそろ買い替えたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

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