〜52ヘルツのクジラたち〜
著者：町田　その子

僕はバイオレンスな映像や言葉が苦手。
血もあまり見たくない。

それが、ここ最近になって、加速はしているように感じる。
多分、感受性が高まってきているから。

文字や映像から、痛みを想像してしまう。

そして、この本では、途方も無い“心の暴力”が描かれている。
僕は今回、あえてこの本を読み直した。

一度目は、僕自身かなり弱っていた時期に、偶然この本と出会い、途中で読むのが怖くなるほど、読んでいて自分の心が傷んだ。
それでも、その痛みを乗り越えるために、何が必要で、なぜ自分はそこまで心が痛むのか、この本を読んでいる内に、一つの答えみたいなものにたどり着いて、読み終えることが出来た。

二度目の今回、僕は読みながら、幾度か涙を流した。

受容されない存在
届かない思い
戻せない時間

文字から情景が鮮明に浮かび上がり、声にならない声が聴こえてくる。

くじらは一般的に、10ヘルツ〜39ヘルツの音階でコミュニケーションを取っている。
自分の存在の発信、仲間の存在の受信、全てがその音階の中で行われる。

ただ稀に、52ヘルツの音しか出すことが出来ないくじらがいる。
彼らの声は、どれだけ発信しても、周囲には認識されない。

誰にも聞き取ってもらえない声を上げ続ける苦しみ
世界中で自分だけが“異質な存在”として扱われる痛み

僕はこの物語に深く共感してしまう。
そうならざるを得ない物語を生きてきた。

だけど、僕の物語も次のステージに進んでいるので、一安心。

まとめとしては、“あまり弱っている時に読まない方がいいよ”です　笑💡