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もし自分の好むもの、大切にしたいものが、社会に存在する一般通念から大きく外れ、理解が困難なものである場合、どのようにその欲求と向き合い、昇華することができるだろうか?


21世紀になり、世界のルール、価値観はさまざまな形で変化し続けている。

LGBTQという言葉をよく耳にするようになり、社会的マイノリティと言われる人たちの尊厳を守ろうという意識、行動が各所で見られるようになった。

しかし、そのような括りにさえ入ることができない、およそ生物の真っ当なプログラムからは外れた嗜好や価値観を持って生まれてしまった圧倒的少数派はいるかもしれない。

自分と近い価値観、嗜好の仲間を集めるために、時に自身を偽り、時に誰かを欺き、どうにか自分の欲求と折り合いをつける。

社会に存在する一般通念との摩擦に喘ぎながら、普通であるかのように振る舞い、決して己の内側は晒さない。


この小説を読むと、社会の見え方は少し変化するかもしれない。

社会という場所で出会う人が、いかに偽りの仮面を被り、本当に自分と社会に求められる自分とのギャップに苦しんでいるのかを想像してしまう。

誰しも人に言えないこと、伝えるのが憚られる秘密は抱えている。
本当に信頼できる仲間やパートナーに出会えた時、その苦しみを分かち合うことができる。

たまにはこんなふうに価値観を揺さぶられる小説を読むのも面白い。

2022年 50冊読書 26冊目📕



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