エフェクチュエーションとわらしべ長者

　「エフェクチュエーション」という言葉はご存知でしょうか？これは、優れた起業家に共通する思考プロセスや行動様式を体系化した意思決定の理論です。この用語は、"Effectual"（結果を生み出す効果がある）という形容詞と、変化を促す働きかけを意味する接尾語の"-ation"を組み合わせて作られたものです。エフェクチュエーションは、成功した起業家たちの考え方を体系化し、その論理を構築することを目的としています。

　この理論はインド出身の経営学者で、現在バージニア大学ダーデンビジネススクール教授のサラス・サラスバシー氏によって2001年に提唱され、その後日本でも2015年に訳書が刊行されました。この理論は、VUCAの時代とよばれる先の見えない環境の中で新規事業をたちあげるための方法論として注目を集めています。

　エフェクチュエーションは、「市場創造の実効理論」としても知られ、起業家が市場の不確実性に対処し、新しい機会を創造する方法を提供することを目的としています。

エフェクチュエーションとわらしべ長者

　英語ではなかなかとっつきづらい言葉なのですが、この理論の考え方は、日本の昔話しの「わらしべ長者」と同じ考え方になります。

　エフェクチュエーションは、成功した起業家の行動や考え方を学ぶ理論で、未来は予測できないという考えのもと、手元にあるものでどう価値を生み出すかを考えます。一方、わらしべ長者は日本の古い物語で、主人公が小さなものから始めて物々交換を繰り返し、最終的には大きな財産を築く話です。

　これらを比較すると、エフェクチュエーションとわらしべ長者は、与えられたものでどう価値を生み出すかという点で共通しています。エフェクチュエーションはビジネスの世界で、わらしべ長者は古い日本の物語の世界で、資源を上手に使い、価値を生み出す方法を教えています。しかし、エフェクチュエーションは現代のビジネス環境に焦点を当て、わらしべ長者は物語を通じて賢い交換の教訓を示しています。両方とも、少ないリソースから価値を生み出す方法を探求しており、それが成功への一歩となることを示唆しています。

　エフェクチュエーションの特徴的な点は、従来の経営学が重視してきた「予測」ではなく、「コントロール」に焦点を合わせることです。これにより、起業家は不確実性に対処し、新しい価値を創造する可能性を見出すことができます。

　エフェクチュエーションは、起業家や経営者にとって、不確定要素が多い市場環境での意思決定を支援し、事業の成功に向けて価値ある洞察を提供する重要なフレームワークとなる可能性があります。

　エフェクチュエーションとは、起業家の思考法であり、未来予測に頼るのではなく、手持ちのリソースを最大限に活用して未来を創造する方法論を指します。一方で、生成AIは、人間の思考を模倣し、新たなアイディアや解決策を提供する力強いツールとなっています。これらの技術と思考法を組み合わせることで、人生のエフェクチュエーションを実現し、新しいイノベーションの可能性を探ることができるのです。

中年の危機に有効なエフェクチュエーションの人生術

　人生100年時代と言われる今、40代後半から50代にかけての人生の転機は、多くの人々にとって重要な意味を持ちます。

　死や病気、離婚、家庭の崩壊、職の喪失など、人生の大きな転機は、それぞれの人生を大きく左右するものとなります。しかしながら、これらの困難を乗り越え、新しい人生の道を切り拓く力となるのがエフェクチュエーションの思考法と生成AIの力です。

  わたしの経験からいうと、40歳の時、私は勤めていたベンチャー企業からのリストラを告げられました。それは非常に辛い経験で、一時は「うつ状態」に陥りました。しかし、心の立て直しを図るべく坐禅を始めたことが転機となりました。坐禅を通じて、うつ状態も徐々に改善し、さらには数々のビジネスアイディアが浮かんでくるという意外な体験をしました。これがきっかけとなり、「zenschool」という坐禅を活用したイノベーションスクールを立ち上げることができ、自立する道を見出しました。

 　また、私は禅への感謝の念と、その叡智を世界に広めたいという強い願いから、初めは仲間4人で始めた禅とマインドフルネスに焦点をあてた「Zen2.0」というイベントを、北鎌倉の建長寺をお借りして開催させていただきました。これは禅とマインドフルネスをテーマにした国際カンファレンスで、やがてこの分野で世界最大のカンファレンスへと成長しました。

　Zen2.0の創業以来、7年連続でカンファレンスを成功させることができ、数多くの禅やマインドフルネスの専門家との繋がりや、サポートをしてくださる素晴らしいボランティアの方々との出会いは、私の人生におけるかけがえのない宝物となりました。

　リストラを経験していなければ、これらの素晴らしい出会いは決して得られなかったでしょう。過去を振り返り、今では心から、リストラを宣告したかつての会社に感謝しています。皮肉などではなく、真に心からです。なぜなら、そのリストラが私にとって大きな変革のきっかけを提供してくれたからです。

生成AIは人生の転機においてどのような可能性を提供できるか。

　生成AIの活用においては、人生のエフェクチュエーションにおける強力なツールとなります。生成AIは、人間の思考を模倣し、新しいアイディアや解決策を提供することができます。さらに、生成AIは、人間の創造性を補完し、新たな可能性を模索することを支援します。人生の転機において、新しい道を切り拓くアイディアや解決策を見つけるために、生成AIは非常に有用なツールとなるでしょう。

　生成AIとエフェクチュエーションの思考法を組み合わせることで、人生の困難を乗り越え、新しい可能性を見出すことができます。そして、これらの技術と思考法を活用することで、人生の各局面で新しいイノベーションの可能性を探ることができるのです。

　自分の起業の初期段階を振り返ると、私がビジネスアイディアを練り出すプロセスは非常に困難なものでした。坐禅を続けながら、浮かんだアイディアを紙にメモしていました。数百のアイディアを思いつき、移動中の電車でそれらを清書し、自分自身で何度も検討していました。

　当時は誰にも相談する環境がなく、このプロセスは非常に孤独で単調、そしてつらいものでした。しかし、現在では生成AIの存在により、状況は大きく変わりました。ChatGPTなどのAIツールに自分のビジネスアイディアを入力し、ChatGPTの中に設定した、複数の仮想の専門家に議論させることで、最終的な収益の見積もりまで得ることができます。

　生成AIの存在により、アイディアの練り出しと検討のプロセスにかかる時間と労力が大幅に削減され、何よりも孤独感から解放されることができます。これは、起業家にとって非常に大きな違いとなり、ビジネスの構築において新たな可能性を開くものでしょう。

　地球環境の変動や最先端技術の急速な進歩により、人生を計画することはより困難になっています。しかし、エフェクチュエーションの思考法と生成AIの力を組み合わせることで、困難を乗り越え、新しい人生の道を切り拓くことができるのです。

　人生のエフェクチュエーションと生成AIの活用における新しいイノベーションの可能性を、より深く、かつ、情熱的に探求することができます。そして、読者に対して新しい視点を提供し、人生の困難を乗り越える勇気を与えることができるでしょう。

　このような、生成AIの急速に進化するの世の中で、自分の軸となるワクワクを取り出し、生成AIを活用しつつ、エフェクチュエーションの思考法も取り入れながら、自分自身の本当に心からやりたいことを取り出すzenschoolを鎌倉で実践中です。ご興味が在る方は以下のサイトを御覧くださいませ。

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