MMS164梶川さん

「自社の金型工場に美術館を建てて1周年。想像の斜め上行くことが起き過ぎてます」 (株)フジタ 代表取締役 梶川貴子さん(2018/4/9対談)

●ご挨拶と出演者紹介

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三木:本日もマイクロモノづくりストリーミング始まりました。本日は株式会社フジタの素晴らしいFactory Art Museum Toyamaのほうにお伺いして、梶川社長に色々とこれを生み出した経緯を伺っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

梶川:お願いします。

前回の対談

●Factory Art Museum Toyamaの1周年記念イベント

三木:素晴らしいミュージアムで完成してすでに1年ということで…

梶川:昨日(2018年4月8日)でちょうど1年です。

三木:この1年どうでしたか?このミュージアムがオープンしてから。

梶川:ミュージアムオープンしたと言っても毎日人がわんさか来るわけじゃなく誰も来ない日のほうがまだまだ多いんですが、一番決定的に違うのが、絶対ミュージアムをやってなかったら一生会うことがない人達が足を運んでくれると。そういった現象がポツポツと増えてきて、イベントとかすると「よく分かんないけど場所がここだったから来ました」というような人達もまたさらに増えていくということは現実的に起こってます。

三木:具体的にどういう新しい出会いがありましたか?

梶川:セミナーとかイベントを開催して、Facebookとか見て「おもしろそうだ」と言って来られて、来て初めて「ここ一体何ですか?」みたいなのがあって、そもそも製造業なので製造業の方が多かったりということで、実際お仕事じゃなくても技術情報の交換というつながりにはなりました。

三木:業種でいうとどういう?

梶川:サラリーマンだったり、一人でお仕事されてるデザイナーさんだったり、モデラーさんだったり、Web屋さんもいたりっていうことで色々…

三木:製造業以外の出会いが結構多いですね。今ここに後ろにいらっしゃる阿修羅像、これも豊田市のzenschool卒業生(今井さん)ですけども、今回の1周年のセレブレーションするにあたって、どういう流れでここに展示されることになったんですか?

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宇都宮:オープニングの時に一応試作品を今井さん展示されたんですよね?まだ門外不出なのにテレビに出ちゃったっていう…

梶川:そうです。去年のオープニングの日にこれの前の試作品を持ち込まれて、それが新聞とかニュースで流れて、それを見た人が「阿修羅像って無いのですか?」みたいなのをよく言われたので、やっぱり人気あるんだということで今井さんに「常設したいんですけど」って言ったのがありますね。

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三木:この洞窟は何ですか?

梶川:この洞窟は川崎市のヒラミヤさんの作品なんですけど。

宇都宮:ポリゴンつながり?

梶川:そうですね。「1周年が4月にあるので、こういうのを飾れたらおもしろいと思います」ということで、この阿修羅さんのポリゴンつながりで言ったと思います。

三木:それで阿修羅さんから紹介していただいたんですか?

梶川:いや、ヒラミヤさんは去年私のほうから一度会社に伺っていて、その時は展示する云々はなかったんですけど、この人のこれとこの人のこれを飾ったらいいよねっていうのが閃いたんです。

三木:何か企画力がすごい上がってるような気がするんですけど。

梶川:ありがとうございます。

三木:以前だったら僕らがお手伝いしたりプログラムを考えたりとかしてたと思うんですが、今回全部自分で…

梶川:気づいたら集まってたみたいな。

三木:どういうメニュー構成になってるんですか?この2日間で色々イベントがありますよね?

梶川:4月7、8日でまずオープニングのイベントがありまして、来週4月15日が哲学カフェ。(このあと、5月13日(日)に第4回「人工知能x倫理」、6月10日(日)に第5回「幸福とはなにか?」が開催予定です。)

三木:哲学カフェ。それは何ですか?

梶川:これは哲学を専攻していたzenschool富山1期生(野末さん)がいまして、今製造業なんですが、よくよく聞いたら「実は大学時代哲学を専攻してた。哲学カフェも開催してたんだけど今忙しくてちょっとご無沙汰してる」って言うので、「じゃあミュージアムでやりませんか?」というのが去年開始してこれで3回目になります。

三木:結構人気があるって聞きました。参加できる人数は何名ぐらいですか?

梶川:だいたい最初10名ぐらいだったんですけど今はもう15名まで伸ばして。

三木:どういう内容なんですか?

梶川:1回目は技術とテクネーっていうギリシャ語のモノづくりみたいなことでテーマがあって、2回目はアトムとビット。次の4月15日は人工知能AIと人間の仕事が残るのかっていうことを、哲学的に見てディスカッションするということで、そちらのコーディネートは講師の野末さんがやってくれます。

三木:参加してる方はどんな方ですか?

梶川:私も初めてやって初めて分かったんですけど、そもそも根強い哲学ファンがいて、私は哲学全然知らないので今まで会うことのなかった人達なんですけど、哲学カフェってページを上げた途端にパタパタパタって参加があって。

宇都宮:なかなかいないわけなんですか?そういう方同士が話せる場というか…

梶川:何か求めてるみたいですね。場がほしいみたいです。その場があれば遠くから1時間かけていらっしゃるので。

三木:その哲学カフェの後(1周年イベント)何かあるんですか?

梶川:その後は次の週4月21日に100万人のクラシックライブコンサートっていうのと…

三木:クラシックライブ?すごいですね。

梶川:それは財団でそういう活動をされてる財団があって、その方達がバイオリンとピアノを弾く人を準備して広報もしていただけるので、うちは場所を提供すると。それもそこの現場でやる予定です。

三木:現場で!?すごい。

梶川:それは全国に広めようという目標があるらしいんですけど富山は初なんです。100万人のクラシックライブコンサートといって、要はクラシックに馴染んでない方達にそういう場を提供してクラシックを愛してくださいっていうチャリティ的な場を全国どこででも開催しますという…

宇都宮:町工場とクラシックってあんまり接点がなかったようなところでもあるし、いいかもしれないですね。

三木:いいですね。素晴らしい。その後は何か?

梶川:その後はゴールデンウィークに尺八のライブを今計画してますけど、まだ全然広報もできてないですが。

三木:僕の友人の工藤煉山(くどうれんざん)さんなんですが。

梶川:それはちょっとマインドフルネス的なところを入れて…

宇都宮:毎週末ある感じ?5月6日まで。

梶川:そうですね。毎週末と平日寂しいので何か即興でやれないかなと思ってたら、ここを設置してからすごい夜がキレイなんですよ。撮影スポットになるので夜オンリーの撮影会でもしようかなと思ってます。

三木:平日夜限定の1ドリンク付きのみたいな?

梶川:そうそう。1ドリンク付きの。

三木:ちょっとワインっぽいテイストのノンアルコールジュースで乾杯みたいな。

梶川:撮り放題ですみたいなそういうので…

三木:いいですね。それはおもしろいね。こういうイメージって僕らとzenschoolやってる時ってありました?

梶川:全くないですね。

三木:でもちょっと以前の写真を見返してみたらこんなのが出てきまして。これはzenschool2015年の7月に梶川さんが我々のschoolに参加した時にホワイトボードに梶川さんの言ったことを書き留めたら、まず1番まっ白。

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梶川:まっ白です。全部白です。

宇都宮:でも白をオーダーしたわけじゃないんでしょ?

梶川:「白くしたい」って言った私の記憶はあんまりないんですけど、結果白くなっちゃったって感じです。

三木:2番目がシンとした空間。誰もいない美術館。いかがでしょうか?

梶川:毎日誰もいないです。

三木:シンとしてますね。3番、工業団地だけど気持ちいい。確かに気持ちいい。お花があったり仏像があったり本当気持ちいい空間です。どうですか?この適合具合は。

梶川:適合し過ぎててすごいですね。あの時何もなかったのに言語が現実化した。

三木:削り出し技術で生み出して展示する美術館のような工場、ミュージアム、TFM、Toyama Factory Museumっていうあれだったんですね。

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(現在のFactory Art Museum Toyamaと以前の物置き)

梶川:そうですね。最初はね。

三木:どうですか?こういう現実を見て。どうしてこういうことが起きたと思いますか?

梶川:分かんないです。分かんないけど夢中になって走ってたら結果ができたって感じです。

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●zenschool受講のきっかけとenmonoとの出会いについて

三木:zenschoolに来た理由は何だったんですか?

梶川:zenschoolに来た理由はずっと遡るとリーマンショックの次の年(2010年)に私社長になったんです。その前はルールもなければ組織もない動物園的な会社で、しまりがないというか規律もない。まず「改善しましょう」ということで3S活動を入れて、3年くらいすると売上同じなのに、経常利益が良くなっていったみたいな感じで、何かやったら結果は出るんだと思いながら、その次の先って考えたら、今のやってる仕事を今後10年続けれるのかなって考えたらすごい疑問符があって、やはり仕事自体も変えなきゃ、あるいは違うことをしなきゃっていうことを常々ずっと探してたんです。でも見つからない状態でした。

三木:その探している期間ってどれぐらい探してたんですか?

梶川:もう社長になってすぐだから5、6年。

宇都宮:震災の前ぐらいですか?

梶川:いや、震災の後ですね。震災はある程度きっかけになりました。あの時は積み上げてきたものが震災で一瞬になくなっちゃうっていう衝撃というか、朝元気だった人が震災で亡くなるっていうことが家族として起きたら、やりたいことっていうかもうちょっとやれることをやらなきゃいけないのかなっていうのは感じました。ブツブツ自分で日々肩を落としてることが馬鹿らしくなったことは覚えてます。

宇都宮:(やりたいことって)そんなすぐ見つからないですもんね?

梶川:見つからないですけど、つまんないことに時間をかけるのがもったいないって思いましたね。

三木:つまんないことっていうのは?

梶川:例えば会社の中の小さいことで悩んでたりしたので、そんなことで悩む時間あったらみたいな…

三木:やりたいことやろうよみたいな?

梶川:もっと大きなこと目指したほうがいいんじゃないかなっていう…

宇都宮:色々調べたりしたんですか?こういう新しいことがないかなとか新しい知識を得たいなとかって、動きとして外に出るというか…

梶川:そうですね。その頃ずっと中にいてまず外に出てなかったので、会社の外に出るっていうことも結構ハードルがあったりして。

三木:ハードルっていうのは自分的なハードル?会社の?

梶川:両方ですね。ずっとCADとかやってたので、それをやらないと現場が流れないので、外に出るのが悪みたいな、仕事が止まるぞみたいな、なのですぐ私の仕事をシフトできる人を入れて、外に出るようにしました。

宇都宮:出始めて何か色々刺激を受けました?

梶川:色んな意味で刺激だらけでしたね。良くも悪くも刺激だらけでした。

三木:その中で2015年2月世界コマ大戦というのが開かれ、そこで初めてお会いしたんですよね。

梶川:そうですね。

宇都宮:インターンの小山くんに連れて行かれたらこの2人がいていつの間にか握手してる、写真も記録に撮って。

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梶川:いや、enmonoさん達は私認識してて、会うきっかけがその時までなくて、その世界大戦の懇親会で、小山さんがまさかインターン生とは思ってなくて、喋ってたら「僕実はenmonoさんでインターンしてるんです」って言うので、「ちょっと紹介してよ」って言って連れて行かれたんですよ。

宇都宮:僕らをどういう認識をしていたんですか?

梶川:よく分かってなかったんですけど、ただ例えば…

宇都宮:iPhoneヌンチャク系の…

梶川:藤澤さんとか、あとそのもっと前にモノづくりのコミュニティで、東京のほうでちょっとしたワークショップを開催してるっていうのをネットとかで見てたんです。ただ一体何をされてるかはよく知らなくてzenschoolも知らなかったです。

宇都宮:でも握手して受講することになっていったわけですけど。

三木:その後色々心の変動があったっていう…

梶川:握手してから10期の発表会を見に行ったんですよ。

宇都宮:10期の発表会って着ぐるみ着た人とか筋肉の人とか。どんな感想だったんですか?

梶川:最初の着ぐるみは何が始まるんだろうっていうので度肝を抜かれました。「え?何?このピエロは」って。筋肉の方も「僕は癌です」って言いながらえらい筋肉があるって思いながら…

三木:それを見て不安になっちゃったんですね。

梶川:不安っていうことはないですけど、私の中ではすごい新しい世界でした。初めて見た世界っていう感じでしたね。もうバーンっていう感じ。「何これ?」みたいな。

三木:自社商品開発って頭にあったのが行ったら何か違うみたいな感じだったんですか?

梶川:違うというか商品だけじゃないなというのと、「自社商品を開発して私は○○で会社を○○していきます」みたいな、キチキチのものがあまり見えなかったので、こういう発表でいいんだっていうある意味ちょっとした安心感がありました。

三木:受講前に色々不安な感じになっちゃったんですか?

梶川:そうなんです。自分の中に新たなモノがあるんだろうか、出るんだろうか、できるんだろうかっていう不安がありましたね。

三木:出ましたね。

梶川:いやいや、今だから言えるけどその時は出なかったらどうしようとか思ってました。

三木:誰の中にも眠ってるんですよね。

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●zenschool富山とzenschoolマスターについて

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三木:卒業してこのミュージアムを取り出した後に、梶川さんこのzenschoolを極めるためにzenschoolマスターというのになろうということで申し込んでいただいて、このミュージアムの上でzenschool富山を開催致しました。

宇都宮:去年の7月に。

三木:その時の思い出はどんな感じでしたか?

梶川:良い思い出です。楽しかったです。あれは思いつきだったんですよね。「フリースペースできたからzenschool富山しますか?」みたいにふと言って「いいね。やりましょう」って言って募集かけたんです。

宇都宮:そしたらすぐ野末さんが申し込んでたんですよ。

三木:3日後ぐらいにページを作ってリリースだったんですよね。

梶川:そしたら1名すぐポンと。

三木:その野末さんが今哲学カフェを上でやってる。

梶川:そうなんです。野末さんが今哲学カフェの講師。

三木:どうでした?zenschool富山を第1期やって1周年。

宇都宮:今回マスターとして眺める側の立場で、zenschoolを自分が受講した頃とは違う目線で見て。

梶川:やっぱりカチンってスイッチが合った人っていうのはもう全然表情変わるんだなっていうのは分かりました。「あ、この瞬間なんだ」っていうようなのは…

宇都宮:野末さんとか前田さんとか分かりやすい。

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zenschool富山第1期生の野末さんと前田さん

三木:それが自分にも起きてたってこと知ってます?

梶川:分かんないです。

宇都宮:写真には残ってましたけどね。某ガイアの夜明けに出ましたし。

梶川:でも分かんない。自分では。

三木:だからもう本当0.0何秒なんです。ドーンってそれがイメージがボーンと下りたらもうバーンとこれができてるんです。

宇都宮:その一瞬をちょっと時間をかけて書き留めただけなんですよね。

三木:その一瞬を僕らは見逃さないように超集中してるんです。その人の表情を見て。

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宇都宮:(梶川さんが)モノづくりをしようとして来られて、僕ら「本当にそれしたいんですか?」って聞いても表情が明るくなかったんですよ。「美しいモノを作る」って言ってるんですけど「本当に美しいモノを作りたいんですか?」って確認するとパチンと弾けれない感じがどうしてもあって、でもご自身も行き詰った感があって外の空気を吸いに行かれて、ちょっと間を空けて翌日に「他にも使える資源ないんですか?」みたいなことを…

三木:これが生み出された直後の表情です。

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梶川:本当だ。笑ってる(笑)。

三木:これを僕らは何回も見て、何回もその人の中で起きることが何回も経験してるので、「あ、これ今下りた」みたいなのが分かるんです。

梶川:分かるんですか?

三木:ドーンと下りてバーンみたいなのができたので。

宇都宮:前日の「美しいモノを作る」って言ってる時と表情が違うわけですよ。

三木:これは本当に不思議なことに起きるんですよね。これはちなみに梶川さんのチャートですけど、この時はまだモノになってるんですよね。モノづくり。

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梶川:そうなんです。頭から離れないんですよね。会社の現場みたいな。

宇都宮:でもそれは社長だから仕方ないですもんね。

三木:何か“ガツーン”と書いてますね。すごい驚かせたいみたい。

梶川:あと「ぽくないよね」っていうのをよく言ってましたね。「工場っぽくないよね」とか「社長っぽくないよね」って。

宇都宮:でも機械加工からまだ離れてないっていう意識が…

梶川:だって工作機械使わなきゃって思うと…

三木:“企業価値=自分のやりたいことがチャレンジできる”とか…

梶川:すごいこと書いてありますね。そういう会社にしたいんです。チャレンジしない人はいらないというか来なくていいからみたいな。

三木:“製造業じゃないことをやる会社”みたいなことを書いてます。

梶川:いいですね。イベントしてますから製造業じゃないことやってますよ。

三木:こういうプロセスを経て今ここのFactory Art Museumができてると。

宇都宮:この場にこんなに色々モノが集まってくるっていうのって…

梶川:モノもね。びっくりしますよね。


Factory Art Museum Toyamaの今後について

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三木:これからのFactory Art Museum Toyamaがどういう風に変化していきたいのかという梶川さんの想いを聞かせてください。

宇都宮:去年(2017年)4月8日にオープンしてから丸1年経って何かが起きたんですか?これがあることによっての変化というか…

梶川:そうですね。これがあることによって取材とか見学コースの依頼とか…

宇都宮:取材ってそんなに頻繁に?

梶川:取材はもうポツポツ来ますね。定期的に。

宇都宮:それは地元の?

梶川:地元が多いですね。テレビとかモノづくり系の特集番組とか、ちょっとした30分番組の依頼とか、あとは県とか市とかの見学する産業観光用のコースの1つにとか、あるいは「じゃらん」さんや「るるぶ」さんが来たり旅行系の会社が「載せませんか?」ということで来られたりです。

三木:そういう取材はウェルカムでしょ?

梶川:基本ウェルカムです。よっぽどのことがないと。

宇都宮:メディアの取材とか外の人が色々来始めるっていうのが変化?それまで物置だったところ…

梶川:物置でした。私も年に1回来るか来ないかぐらい。

三木:ここはどういう風になっていきたいですか?

梶川:まだちょっと分かんない部分もあるんですけれども、最終的にはやはりうちの商品とかうちの作品なんかをもっともっと増やして、いずれうちの会社の商品、製品が定期的に作れるように、あるいは外部の人でそこそこ技術を持った人達が、ここにやって来て知り合ったネットワークで、お仕事が成り立つとか作品ができるとか新たなプロジェクトが生まれるとか、そういったことのきっかけの場になっていただきたいなと思います。

三木:でもそれはもう起きつつあるんですよね?

梶川:起きつつありますね。

三木:それがもっと加速すればいいんですか?

梶川:加速するというか、できればボーンって弾けるのが、日本じゃなくてどこか遠い海外で弾けて、「実はこれ富山なんだよ」っていうようなことで、また新たな注目ネタが作れたらいいかなと思ってます。

三木:弾けるっていうのは向こうのメディアとかに?

梶川:メディアなのか商品が売れるとか分かんないですけど、とにかく情報が外から発信されると。日本を飛び越えて海外の遠くからピューって。

宇都宮:昨日何かおっしゃってましたよね。海外で活躍しているアートの方と知り合うきっかけができてとか…

梶川:そうなんですよ。思ってもない場所で、期待して行ってないところで出会うんですよね。意外に。

三木:「よし、何かゲットするぞ」と思って行くと……

梶川:コケるんですけど、ただ参加したところにたまたま隣にいた人がそういうアーティストだったりとかあります。

三木:ありますよね。この間も京都にいたんですか?ミニシアターに。

梶川:そうですね。京都のちょっとした町家のミニシアターに行ったら、ニューヨーク在住の日本人の方がいて、「ちょうど明日富山の人と話をするんですよ」みたいな話になって、「今度行きます」っていう話が…

三木:そういったつながりがどんどん増えていくといいですね。

梶川:そうですね。その彼自体は日本の良さを逆輸入したいって、日本の文化とか伝統をニューヨークから発信したいとおっしゃってたので、すごい、まさしくみたいな(笑)。

三木:何かコラボレーションできそうですか?

梶川:まだちょっと分かんないですね。これからなので。

三木:そうやって海外とつながっていくことで海外から逆に注目されると…

梶川:そうそう。逆輸入パターンですね。

三木:我々zenschoolもそれ狙ってます。

梶川:そうですよね。ここも意外に海外から先にもっと評価されるとなると「あれ?」って…

三木:海外からいらした方いらっしゃいます?

梶川:今はまだいないんですよ。さすがに。

三木:でもたぶんその流れはできると思うので、英語でホームページとかあるんでしたっけ?

梶川:英語はまだです。

三木:英語のページがたぶんあったほうがいいですね。あと来られた時にもし英語でガイドできる学芸員っぽい方がいるとよりいい…

梶川:より一層いいですよね。私がなれば?っていう話なんですけどね。


●富山県の製造業等との連携や講演会について

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三木:夢としては海外ともつながっていきたいということですけども、もう一つこの富山県の製造業とかそういう方々について、こういう取り組みに賛同してもらいたいとか、そういう想いはありますか?この周囲だけじゃなくてもタカポケとかあるじゃないですか。そういったところとの連携とか。

梶川:そうですね。まだまだはてなマークが付いてるんですよね。製造業の中では。

三木:この取り組みが?

梶川:そうそう。この取り組みがたぶんみんなこういう感じでチラチラ見ながら、「何かやってるぞ。でも何だろう?何してるか分かんない」。

三木:結構色んなところでは講演会されてますよね。

梶川:そうですね。商工会議所とかポツポツ。

三木:今までの講演会の反応とかどうですか?

梶川:真っ二つですね。全く理解できなかったっていうのと、すごくおもしろかったっていうのが真っ二つという…

三木:聞く人の特性によって違うんですか?

梶川:そうですね。例えば商工会みたいに経営者さんが聞くってなると、やはりクラウドファンディングとかネットで募集みたいなことを言うと、ちょっと年齢層がお高い方には通じない。でも30代とか40くらいの若い人達には、興味は持ってもらえます。自分達も何かやりたいんだけど、何をどうしていいか分かんないっていう人が結構多いかなと。

三木:あと学生の方とかにもこの取り組みを知ってもらったらいいんじゃないかなと。工専とかね。

梶川:学生ですか。分かりますかね。

三木:工専とかの子達が自分達の目指す方向みたいなのが、なかなか今見えにくくなってきてると思うんだけど、モノづくりとか。別にモノを作らなくてもそういう空間を提供するとか、モノづくりを伝えるということ自体に意味があることだと思うので、そういうのを伝えてもらえると、「工専から学芸員になりますか?」みたいな。

梶川:いいですね。

三木:モノづくり専門のアートキュレーターだったりとかいろいろな道があると思うし。何かそういうモノづくりっていうカテゴリーに自分を押し込めるんじゃなくて、色んな可能性があるっていうことを、梶川さんの取り組みを話してもらうことで…

梶川:参考になりますか?

三木:絶対なると思いますよ。

宇都宮:大学の工学部だって、もうちょっと範囲を広げたほうがいいよねっていう。

三木:例えば富山大学の経営学部、機械工学科とかそういうところで…

梶川:そうですね。

宇都宮:エンジニアがもっと経営のこととかデザインのこととかアートのこととかそれこそ哲学とか…

梶川:あったほうがいいですよね。

宇都宮:技術はどんどん進化すると機械も変わってくるので。

三木:アート的な感性、デザイン的な感性がこれからのモノづくりに重要だということをお伝えするためにここの取り組みとかここでワークショップやってもらうとか。

宇都宮:哲学カフェに来てもらうとか。

梶川:いいですね。

三木:そういうのを、(デザイナーの)西村(ひろあき)さんもお呼びしてやればいいんじゃないですか?

梶川:西村さんすごいですよね。

三木:これ(イス)は西村さんがデザインしました。

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●これからのモノづくりとzenschoolマスターの役割について

三木:モノづくりというか、ビジネス自体が変化がすごい早いので、それからまたAIが進化してくるとよりもっと早くなると思うんです。その時に人間が持っているべき価値は、感性なんじゃないですか。

梶川:そうですね。

宇都宮:来週の哲学カフェのテーマもそんな感じのテーマですもんね?AIとの関わり方みたいなもの。

梶川:そうですね。仕事があるのかないのか。

三木:これからの人間の持ってる感性と、あとはキーワードとして「対話」っていうのを推してるんですけど、zenschoolでやってることは「対話」なんですよね。僕らと受講生の対話あるいは受講生同士の対話、自分のことは自分で見つけられないですけど対話をすると他人が気づくから、「こうなんじゃないの?」って誰かがそっと言ってあげると「あ、そうだった」って気がついてそこからオエーっと出てくるわけですね。

梶川:でもなかなか「あ、そうだった」って聞き入れる人も少ないですよね。「そんなことない」とかブロックする人が…

三木:それを場を作ってあとはチームビルディングを十分してるとお互い安心な空間で何でも言える人達であれば「そんなことない」っていうのはあんまりないですね。

宇都宮:安心感はまず必要、ガードを解けない人っているじゃないですか。自分をさらけ出すっていうことに恐怖を感じている方、そういう方を目撃されたと思いますけども。

梶川:仮面を外せないみたいな?

宇都宮:それって本人は気づいてないんですよ。仮面を被ってることに対して無意識なので。何かおかしいなとかモヤモヤぐらいまでくると外せるきっかけはあるんですけど、それすら微塵もないぐらい無意識の奥底に押し込んでる人は、世の中の多くの人がそうで、人によってはお酒を飲むとそれがちょっと外れる人もいるのかもしれませんけど、でも酒がなくなると忘れるので、それってあんまり効果がないから、お酒やドラッグとかの力を借りないで…

梶川:そうなんですよ。お酒を飲むと一気に質問が増えたりとかするんですよ。

宇都宮:それをシラフでできるっていうのが対話の力だと僕らは思ってるので、お酒より対話のほうが安いですし。

梶川:でも対話するぞって構えると力入りますよね。

宇都宮:それはたぶん対話じゃない。対話もどきっていう。

三木:だから場を作っていく人が重要なんですよ。場を作っていく人のあり方が重要で、要は手順化しづらいその人の雰囲気で場が作られてくみたいな、お坊さんが対話をしてくれると、段々場が和むみたいなのがあるじゃないですか。そういう場を作る人のあり方が重要で、それがこれからのファシリテーションになると思うんですね。

宇都宮:環境とかですね。自然の中とか木の中とかたき火を囲みながらとかだとまた対話の仕方が違ってくるとか、アルコールじゃないものをシチュエーションをセッティングしたりとか、例えば問いかけていく人のテクニックの部分はあるんですけど。

三木:問いかけていく人のあり方ですよね。

梶川:問い方がなかなか難しいですよね。

宇都宮:そこは訓練である程度いくと思いますよ。無意識ではたぶんできないと思うんですよ。ある程度訓練は必要ですね。

三木:だから当事者じゃない人がやるほうがいいんじゃないですか。

宇都宮:製造業じゃない人が製造業してる人に向かう方がたぶんいいというか…

三木:株式会社フジタの社員の方に、梶川さんがやるよりは僕らが場を作って行きましょうか、みたいな。全然当事者じゃないから利害関係がないから、外から来た人にはそんな失礼はできないしみたいな、だからコンサルタントの仕事が成り立つんだと思います。

梶川:そうなんでしょうね。きっとね。

三木:僕ら対話のプロなので皆さんお任せください。コミュニケーションが社員間あるいは社長と社員の間でうまくいかないという会社があれば場づくりのプロにお任せを。

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一同:(笑)

三木:そういう場を作っていくとコミュニケーションがよくなっていくとか、あるいはその中からもしかしたら新しい事業アイデアとかが生まれるかもしれません。

梶川:そういうところまでいかないんですよね。

宇都宮:でも新しいって意識できないところから来ないと新しさがないんです。だって気づいてることは他の人も気づいてるわけですから。

梶川:そうそう。「今さら?」みたいなことしか出てこないですよ。日常の中では。「どこにでもある話じゃない」みたいな。

宇都宮:でもそうすると場がどんどん落ち込んでいくっていう…

三木:そこで「素晴らしい」(という掛け声が)。

宇都宮:「素晴らしい」。語尾をちょっと上げる感じで。

梶川:「素晴らしい」って言うんですか(笑)?

宇都宮:zenschoolマスターには必要です。

三木:zenschoolマスターはそこをマスターしないと。どんなことでもネガティブなことを一切言わないっていう孔雀明王の修行っていうのがあるんですけど。

梶川:「さすがですね!」って。「良いところに気がつきましたね!」って。

三木:それを自然に言うんですよ。

宇都宮:表情にも出さない。自然な感じ。ジャッジをしない。

三木:物事には「普通」か「素晴らしい」の2つしかない。普通の時はただ黙ってるんですよ。良かったら「素晴らしい」。

梶川:「素晴らしい」ってそんな手の内喋っていいんですかね。

三木:はい。

宇都宮:みんながそうすればいい話なので。


●梶川さんの考える「日本の○○の未来」に対する想いについて

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三木:一番最後の質問があるんですが、梶川さんの考える「日本の○○」、○○は自分で考えて入れていただいて、製造業とか中小企業とかモノづくりでもいいですし富山でもいいですし。

宇都宮:Factory Art Museum Toyamaの未来とかでもいいし、身近なところでもいいしご自身の感じるところを大上段で、無責任に発言していただければ。

三木:zenschoolの未来、zenschool富山の未来でもいいです。

梶川:そうですね。zenschoolを受講してミュージアムができて、ちょっとアンテナの高い人達が近づいて来るようになって、まだまだ全然認知度が低いんですけれども、それが潜伏期間を置いて、ウイルス的に気がついたらあっちでもこっちでもみんなここに来た人達が活躍してるぞ、みたいな場になるといいなと思ってるんです。モノづくりって区切っちゃうと、モノづくり以外の人は「私モノづくりじゃないので」ってバリアを張ってしまうので、この辺の北陸の地域にしましょうかね。この北陸の4日間連続で雨が降ってしまうという天候の恵まれてないようなところでも、晴天になるようなそういう場づくりをこのミュージアムから発信したいと思ってます。ここに来た人が本当に超活躍するっていうことを作り上げていけたらと思うので、ぜひ皆さんミュージアムに一度足を運んでいただきたいなと思います。

宇都宮:ちょうど1ヵ月間イベントがありますので5月のゴールデンウィークまで。

三木:哲学カフェもありますしクラシックコンサートもあります。

宇都宮:情報はFacebookが中心ですか?

梶川:Facebookとホームページですね。

宇都宮:検索キーワードは?

梶川:検索キーワードは“Factory Art Museumのイベント情報”なので長いですよね。

宇都宮:“フジタ、富山”とか。

梶川:“フジタ、富山”もしくは“フジタ、高岡”。

三木:で検索してぜひ訪れてみてください。ということで、本日はフジタの梶川社長に登場いただきました。どうもありがとうございます。

梶川:はい、ありがとうございました。


対談動画


▶梶川貴子さん

:⇒ https://www.facebook.com/takako.kajikawa


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