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「50歳過ぎて起業してうまく行かず、転職して週末だけ葉山で自分の基地生活を楽しむライフスタイルを確立」コーヒーレンジャー 小野勝秋さん

●ご挨拶と出演者紹介

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三木:第176回マイクロモノづくりストリーミング始まりました。今日はこちらの素晴らしい葉山ファクトリーという

元建設会社の社宅を改造したクリエイティブファクトリーというところで、“コーヒーレンジャー”をされている小野さんをお訪ねして色々お話を伺っていきたいと思います。

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小野:よろしくお願いします。


●enmonoとの出会いとzenschool受講の経緯

三木:小野さんは実はコーヒーレンジャーになる前に色んな顔をお持ちでして。

宇都宮:IT企業の役員をされていたんですよね。その当時にお会いしたような気がするんですけど。

三木:我々とお会いしたのがどれぐらい前ですか?

小野:3年半ぐらいじゃないですかね。(実際は2014年なので5年前)

宇都宮:その頃は今の面影がなかったというか(笑)。カッチカチのサラリーマン。

三木:カッチカチのサラリーマンの役員みたいな感じでお会いされて、zenschoolにその直後に入学されて。

小野:9期(2014年11月)ですね。

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三木:結構前ですね。

宇都宮:今は2019年なので5年前ですね。

三木:その時にどんな体験をされたんでしたっけ?その時からつなぎを着てませんでしたっけ?

小野:その時はつなぎを着てなかったですね。zenschoolに行った頃は。

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三木:どういう経緯でそういう?

小野:元々セミナーで三木さんの講演を聞いて、それがきっかけだったんです。

宇都宮:新谷さんのやつだ。トーマツイノベーションサポートっていう。

小野:そうです。僕もその頃会社で役員とかやってたけど、これまで30年ぐらいずっとやってて、何か「これでいいのかな?」みたいな感じで、世の中色々変わってきてるし、自分も変わらなきゃいけないんだけど、会社は古い体質でずっと変わりそうもないし、本当は会社を変えていければ良かったんでしょうけど、そういう周りを動かせる力もなく、自分1人でもやもやしてたっていう時でした。


●zenschoolで生み出されたもの

三木:それでzenschoolに入ってどういう発想を考えたんですか?

小野:zenschoolに入って本当に自分がワクワクすることをやろうっていう発想がこれまで振り返ってみると本当に忘れてた。僕のこの50年近い人生でいつの頃からなくなってたなみたいな。

宇都宮:50歳の頃でしたっけ?

小野:50ちょっと前だったかな。それが衝撃的っていうか、ガツンと頭を殴られたような感じで、それを自分で見つけないとつまらない人生になっちゃうだろうなっていう感じもあって、気持ち的には何か見つけなきゃ、見つけなきゃっていう焦った気持ちでした。

三木:それで発表会ではどういう発表をされたんでしたっけ?

小野:僕はその時本が好きだっていうことで、電子書籍ってページをめくる感覚がないので、電子書籍にページをめくる感覚をつけたいみたいな発想だったと思うんです。そういったガジェットみたいなのを作ろうっていう発表をしました。

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宇都宮:あと衝撃の告白も。

小野:そうですね。それを考えてた時にもうこの会社を辞めようって決意してて、その発表会でちょうど「来月か2ヵ月後かに辞めます」みたいな話をしたんです。

宇都宮:みんな驚いてて。僕らも初耳だったので。

三木:決して我々は辞めることを奨励しておりません。できれば辞めないほうがいい。辞めないで自分の好きなことを始めて、そこからなにか可能性が見えてきたらちょっと考えるぐらいがいいかな。でもその前に決断されてしまったんですね。

小野:そうです。そこでどうせならもう思い切って退路を断ってみたいな(笑)。

三木:断つ必要ないのに何かそう思い込んじゃった?

小野:そう思い込んじゃって、そこからが大変でしたね。

三木:どう大変?どんな人生が?

宇都宮:先を決めてないみたいな。

小野:そうですね。実際に辞めて何もなくなって、最初はまだ多少は蓄えとかもあるし勢いもあるからいいんですけど、段々不安になっていくっていうか、何も見えない状態で「まずいな、これ」みたいな焦りも出てくるし。

三木:我々はあの時サポートを1年間やっていく中で段々変わっていきましたよね。

小野:そうですね。やりたいことがちょっと変わっていって、本に絡むことでしたけど、モノを作るっていうよりも場を作る、本を使ったみんなが集まれる場を作る発想に変わっていったんです。

三木:何か本が読めるカフェみたいな?

小野:そうです。

三木:リヤカーか何か移動式か、そういう場を作るかどっちかみたいな話で。

小野:墨田区の助成金の募集に応募して1次審査は通ったんですけど、2次審査のプレゼンでダメだったんです。

三木:そうなんだ。どんなことをプレゼンで言われたんですか?

小野:今まで自分があまり人前にパッて出るタイプじゃなかったから、その辺を変えたくて役所にどピンクのつなぎを着て行ったんです。

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宇都宮:プレゼンで役所に!?どんな反応でしたか?

小野:入った瞬間「誰ですか?今忙しいんだけど」みたいな(笑)、業者の人と間違われた感じで、もうそれでドン引きになっちゃった感じでした。

三木:でも印象には残った。

小野:そうですね。「何でそんな恰好してるんですか?」って言われて。

宇都宮:ピンクのつなぎの人(笑)。

三木:その場は盛り上がった感じなんですか?

小野:結局難しい質問をされて終わっちゃったなみたいな、これダメだなみたいな。

三木:「どうやって回収するんですか?」みたいな。収益計画みたいな。

小野:そうですね。その辺全くできていなくて甘かったのもあるでしょうけど。


●コーヒーレンジャーについて

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三木:その後どんな人生でした?

小野:そこからが困っちゃって、色々やろうとしてたんですけど、ビジネスにしようとした時に色んな課題もあるし、1人でやってたものですから、相談することもできずに結構もやもやした感じでずっとやってました。

三木:僕らのところに連絡くれれば良かったのに。

小野:そうですね。その時にたまたまトーマツのセミナーでも一緒だったコーヒー屋をやってる社長と知り合って、その人に「それだったらうちに手伝いに来いよ」って言われて、コーヒー屋に期間契約社員みたいな形で入れてもらったのがコーヒーとの出会いだったんです。

宇都宮:それまではコーヒーは?

小野:コーヒーは飲むぐらいで別に好きでもないし、こだわってもないし、ミルとかそういうのも持ってなかったので。

三木:どれぐらいやられたんですか?

小野:そこは1年ぐらいです。ちょうどネットの販売とかもやってたので、一応IT経験があるっていうことでお手伝いさせていただいたんです。

三木:自分としてはどんな感じでした?コーヒー屋さんの体験は。

小野:コーヒー自体がどうこうっていうのはなかったですけど、コーヒーに関する知識は色々教えてもらったり体験したことが結局は今につながってはいるんです。

宇都宮:コーヒーレンジャーですからね。

三木:コーヒーの煎れ方とかをそこで学んでいった?

小野:そうですね。豆の種類が色んなものがあるとか、焙煎によって結構変わるとか、そんなことを少しずつ学んでいく中で、自分でもできるかもしれないなみたいな感じで、それでコーヒーの会社を毎日行ってたのを週2回に減らして、コーヒーを自分で焙煎して売るっていうのをやり始めたのがその後ですね。

三木:それが今でも続いてる?

小野:そうですね。

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三木:結構人気だって聞きました。

小野:最初直接の販売とかをやろうとしてたんですけど、なかなか集客とかが難しくて、たまたま在庫処分みたいな感じでメルカリで出したら意外と売れて、「あれ?」っと思ってそれからメルカリに出すようになって2年半ぐらい経つんですけど、段々コツというかこうすればいいかなっていう、徐々に価格はこれぐらいがいいとかも何となく分かってきて、やるうちに段々リピーターも増えてきて。

三木:小野さんの焙煎の仕方がおいしいっていうことで?

小野:そうですね。

三木:焙煎で味が変わっちゃう?

小野:そうですね。だいたい一般の人って普通スーパーとかで買うじゃないですか。そういう豆って焙煎してから結構時間が経っちゃったりしてるものが多いんですけど、僕のは焙煎した翌日には発送するので、焙煎したての豆って全然新鮮さが違うっていうところが分かってくれる人達が増えてきて。

三木:いわゆる通の人達が?

小野:通までいかないその下のレベルぐらいで、「これ結構おいしい」「普段飲んでるのと何か違う」みたいな感じだと思うんですけど、そういう人達がリピーターになってくれて、今評価数が1,200ぐらいなんですけど、普通以下はゼロでずっと良い評価が続いていて。

三木:すごいですね。

宇都宮:どれくらいの期間続いてる?

小野:2年半ぐらい。

三木:その間に1,200の商品を出して。そこからコーヒー豆おじさんになったんですね。

小野:それは本業まではいかないですけど、副収入程度にはなるようになったっていう。

宇都宮:豆は普通の豆を仕入れて焙煎するんですか?

小野:前に働いてたところから仕入れさせてもらって。

三木:焙煎の技が職人芸みたいな感じでしょ?

小野:いやいや、それほどでもないです。

三木:プロがいるからね。

小野:メルカリっていうマーケットにどういう層の人がいるかとかそういうのも含めて、こうやれば反応がいいかなとか色んなことを試行錯誤しながらやってる感じです。

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三木:何ていう名前でメルカリをやってんですか?

小野:それが『コーヒーレンジャー』っていう名前です。

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三木:皆さん、コーヒーレンジャーで検索してください。そうするとメルカリで出てきます。(https://www.mercari.com/jp/u/435486544/

宇都宮:カフェインレスとか。

小野:カフェインレスは主婦の方にすごい人気。子育てしてまだ授乳してる方とか。

宇都宮:カフェインレスってどういう意味ですか?そういう風に焙煎するってことですか?

小野:豆の状態からカフェインを抜く処理があって、それは海外でやってるんですけど、カフェインを抜かれたものを仕入れて、ほとんど100%近いぐらい抜けてるっていうことです。

宇都宮:味も違うんですか?

小野:そうなんです。普通のカフェインレスって結構味が落ちちゃうことがあるんですけど、僕が仕入れてるのはカフェインレスかどうかも分からないぐらい味が変わらないっていうことで割と評判が良いです。

宇都宮:体にも影響は…

小野:カフェインがないので、カフェインにどうしても弱い体質の方とかもいるので、そういう人達には非常に評判が良くて。妊娠中の方、授乳中の方はコーヒー好きなんだけど飲めないっていう人が結構多いので。

宇都宮:そういう人はメルカリで『コーヒーレンジャー』を検索すれば。

小野:カフェインレスは本当にお勧めです。



●空き家レンジャー活動について

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三木:そこからどういう経緯でここに辿り着いた感じですか?

小野:ここに来たのは、元々プレゼンやったりした時も町工場の空き家を使って何かやろうみたいな発想だったんです。ここも空き家を再生してみたいなキーワードが近かったっていうのもあって行ってみようかなって。最初ここを立ち上げた人間がDIYで改装しようっていうのを募集してたのを見て何か面白そうだなっていって来たっていう。

宇都宮:それはFacebookか何かで募集してた?

小野:Facebookで。たぶん宇都宮さんがシェアしたか何か…

宇都宮:加藤さんのメイクネットワークパーティーっていうのが世田谷ものづくり学校で開催されて、それに僕が何度か行って。

小野:それを見たんだと思うんですけど、来たのが2年ぐらい前かな?

三木:2年前にここに来た時はどんな状態だったんですか?

小野:使わなくなってそんなに経ってなかったんですよ。だからそんなに寂れた感じではなかったんですけど、普通に人が住んでるなっていう状態でしたね。

三木:人はもう住んでいらっしゃった?

小野:住んでなかったんですけど、まだテレビが置いてあったり布団が置いてあったりとかもあったので、そんな感じで。

宇都宮:キッチンもちゃんとしてますね。

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小野:そうですね。社員食堂だから結構立派な厨房があったりとか。

三木:何人ぐらいでここをリフォームしていったんですか?

小野:中心メンバーは20人ぐらいでやってたんですけど、毎週毎週募集してやってるような感じなので、延べ人数だとたぶん200人ぐらい来てるんじゃないかっていう。

宇都宮:クラウドファンディングで募集して。

小野:1回来てそれっきりっていう人結構いたりするので、そういう人も含めるとかなりの人数が関わってると思うんです。

宇都宮:地元付近が多いですか?葉山とか逗子とか鎌倉とか。

小野:湘南エリアの人達が割と多いですけど、でもたまに東京から来たりとか、千葉とか埼玉とか「えー?頑張って来たね」みたいな人が結構いたりして、僕もその頃は横浜に住んでたので横浜から毎週通ってたんです。

三木:空き家レンジャーになると色をもらえるんですよね。

小野:そうですね。自分で好きな色をつけなきゃいけないっていう。

三木:小野さんは何色なんですか?

小野:僕はコーヒー色なんです。だからコーヒーレンジャーっていう。

宇都宮:ピンクのつなぎからコーヒーに進化したんですね。

小野:そうそう。ピンクレンジャーは加藤太一がピンクレンジャーで。

宇都宮:取られちゃってたんですね。すでに。

小野:それは決まってたんです。ピンクは人気があるから。僕はコーヒー色にしたんです。

三木:200人でここを1年半ぐらい?

小野:1年半後にオープンっていう形にしたので、1年半ぐらいかかって改装して。


●葉山ファクトリーと漫画図書館について

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三木:その後からまた新しいことを小野さん始められたじゃないですか?

小野:そうです。2階の元々の居住スペースを工房っていう形にして、そこでモノづくりをしたりとか、アート系の人とか陶芸をしたりする人もいたりするんですけど、各部屋をそれぞれに使いたいように使っていいよみたいな感じで貸し出しています。

三木:先ほどちょっと拝見したんですけど、京都大学の吉田寮みたいな感じで、昭和でかつかなり自分達で色々手を入れられる感じですね?

小野:そうですね。それがウリっちゃウリなんですけど、自分でどんどん改装してよくて、原状復帰義務が全くないので。

宇都宮:原状復帰しなくていいの?

小野:いいんです。塗ってもいいし壁に釘打ってもいいし、もう自由に何でもできるっていう。

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三木:何で漫画図書館にしたのですか?

小野:元々はそこでコーヒーの焙煎を始めたんです。最初は自宅でやってたんですけど。

三木:匂いがすごいんじゃないですか?

小野:煙とか匂いがすごいから、僕はベランダでやってたんです。

宇都宮:ベランダでも隣の家から…(笑)。

小野:クレームは来なかったんですけど、迷惑してる人もいたんだと思うんです。ここがあるからじゃあここでやろうってことで、ここを借りることにしてここで焙煎をやってたっていうのが最初だったんです。

三木:焙煎は焙煎マシーンみたいなのがあるんですか?

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小野:そうですね。電動の焙煎機があって。

三木:煙がブワーって出るんでしょ?

小野:結構出ますね。ここだったら割と外に出しても大丈夫みたいな感じです。この広い場があるので、ここで人が集まって何か面白いことをやりたいなってずっと思っていて、結構ここに来る人に「秘密基地みたいだよね」って言われることが多くて、「あ、そっか」と思って、「秘密基地だから秘密基地にあるものって何だろう」って考えてて、「やっぱり漫画が必要だよな」っていうのが最初のきっかけ。コーヒーもそうですけど漫画もそんなに好きじゃなくてあまり興味を持ってなくて、だから最初1冊も持ってなかったんですけど、漫画は必要だろうって思ってそれで漫画を少しずつ増やしていったんです。

三木:子供達のためとかじゃなくて?

小野:大人の秘密基地っていう感じです。

宇都宮:大人の秘密基地にするために備品として漫画が必要っていう。

小野:そうです。最初はそんなに多くなかったんですけど、でも漫画カフェっていうのも何か俗っぽくて嫌だなと思って漫画図書館にしようと思って、それで今5,000冊を超えてるんです。

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三木:すごいな。5,000冊。

宇都宮:どうやって集めたんですか?

小野:ブックオフ、メルカリ、ヤフオクとかその辺の一番安い価格を見つけて仕入れるとか、あとやってる中で色んな人が持ってきてくれたりとかも結構あります。

三木:それでクラウドファンディングをやったんですよね?

小野:そうですね。

三木:どれぐらい集まりました?ゴールはできた?

小野:目標は20万。直接現金でくれた人もいたので、その分をカウントできなくて、目標には達成しなかったんですけど。

三木:キャンプファイヤーでしたっけ?あれって達成しなくてももらえるやつですよね?

小野:そうです。漫画はある程度仕入れたので、僕は今平日は会社勤めしてるから、平日も開けたくて、それを資金にしてアルバイトの人を雇って平日店番してもらってる感じです。

三木:アルバイトを雇える余裕があるんだ。

小野:それも収入がないのに先に支出作ってしまって、2ヵ月ぐらいは支援していただいたので何とか賄えるかなっていう感じですけど、その後どうしようかなっていうのが今の課題です。

三木:今はそのアルバイトの方はいらっしゃらない?

小野:平日しかいないので今日はいないんですけど。

三木:平日とか来る方いらっしゃるんですか?

小野:この辺に住んでる主婦の方とか、割と平日のほうが来やすいっていう人も多いんです。

三木:利用料はいくらぐらいなんですか?

小野:会員制になっていて、月1,000円が基準価格です。半年とか1年契約していただくと割引がちょっとある感じです。

三木:今会員は何人ぐらい?

小野:会員は20人ぐらいです。クラウドファインディングで支援していただいた方もいて。

三木:僕も会員。初めて来ましたけど初会員で。

宇都宮:会員証もらってますから。

小野:1人北海道から支援してくれた人もいて、北海道の人はさすがに普段来れないからっていうことで特別に回数券にして。

三木:なるほど。今の課題はどうやってビジネスを回すのか。

宇都宮:経営課題ですか?

小野:経営課題ですね。だから皆さん会員になってください。よろしくお願いします。

三木:お問い合わせはこちらまで。


●漫画図書館の紹介と現地見学

三木:せっかくこちらお邪魔してるので、漫画図書館を拝見させていただきたいと思います。

<漫画図書館の現地見学>

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三木:重厚な扉を開けて。すごいですね。良い感じで。お邪魔します。

小野:こういうファンシーグッズを制作してるクリエーター。

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三木:すごいね。

宇都宮:クリエーターさんが多いんですかね?

小野:そうですね。ここもまだ変えたばっかり。

三木:すごい漫画がぎっちりとありますね。コーヒーの匂いがつく漫画ですね。いいですね。『今日の1冊』。

小野:これはお気に入りの会員の人達が…。

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三木:なるほど。『今日のコーヒーは』みたいな感じですか?

小野:『今日のコーヒー』。葉山ファクトリーブレンドっていうのが僕のオリジナルのコーヒー。

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三木:いいですね。子供も利用者いるんですか?結構大人が多いのかな。

小野:小学生以下は無料なんです。

三木:どんな方々が利用されるんですか?クリエーターさんとか?

小野:そうですね。ここで改装を一緒にやった人達とか、あとはこの近所の主婦の方ですね。

三木:結構葉山って自由人が多いですよね。クリエーターさんとか。

小野:そうですね。葉山は多いですよね。色んなイベントも結構多いですもんね。毎週のように何かやっていますよね。

三木:中を拝見します。

小野:こっちはコーヒーの焙煎をやってる。

三木:『珈琲さんの漫画図書館』。

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宇都宮:ここが居場所なんですね。こじんまりとした閉鎖空間。

小野:ここは基本的にコーヒーを僕が焙煎するのをメインにやっています。

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宇都宮:すごいコーヒーの香りが。

小野:これが焙煎機今2台置いてます。

三木:すごい。焙煎機ってこういうのなんだ。

小野:電気でやって熱風を出して、この中に豆を入れてクルクル回転していくみたいな。

宇都宮:ダクト工事もしてますね。隙間ふさいだほうがいいんじゃないですか?

小野:結構寒い(笑)。

三木:これが生の豆?

小野:はい。これが生の豆。これが焙煎済みの(豆)。袋詰めにして、これを箱に入れて発送するという。

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宇都宮:シンプルな素っ気ない感じの。

小野:これが人気のカフェインレスコーヒーです。

三木:いいですね。おもろいわ。『めぞん一刻』。懐かしい。

小野:ここは割と僕でも分かる昭和の漫画。

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小野:隣が漫画図書館の会員だけが入れる会員専用ルーム。

三木:漫画に囲まれる。

宇都宮:囲まれてますね。すごい。こたつも入って。もうヤバいですね。こたつがあると冬場はもう…

小野:そうなんですよ。ここでくつろぎながら。

宇都宮:寝落ちして朝までみたいな。

小野:そういう場合もある。

三木:営業時間はあるんですか?

小野:平日はアルバイトの人がやるので11時から夕方4時までです。土日は僕がやってるのでいる間は開けてます。お客さんがいれば何時でも。

宇都宮:でも10人は入れないですね。4人ですよね。コーヒーも出るんですか?

小野:コーヒーは隣でセルフでも入れられるので。割と新しい本はこっちのほうにびっしり入ってます。

三木:『バクマン。』

小野:『バクマン。』知らない(笑)。最近のは…

宇都宮:図書館の司書さんはよく知ってないと。

三木:会員しか番号を知らない。

小野:会員専用ルーム。

三木:専用ルーム。素晴らしい。

小野:月1,000円で好きなだけ使えるという。

宇都宮:もう各部屋も今貸し出しされてる?

小野:まだ1部屋空いてるので。ここはこれから入居希望があれば。改装を自由に。

宇都宮:扉もないもんね。

小野:そうです。扉も自由に。この部屋は廃材で扉を2つ重ねてつなぎ合わせて、自分でこうやって好きなように作って。その辺が楽しくて。

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三木:素晴らしい。

小野:自分で作るのでこの辺隙間があったりして、そこがまた良い。

三木:これは雨とかきたらどうなりますか?

小野:たまに雨漏りするのは何ヵ所かあります。廊下は。部屋のほうは大丈夫ですけどね。ここは天井の板が取れちゃったので、むき出しになってる感じです。

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三木:寒いですよね。

小野:そうですね。断熱が。

三木:居場所を見つけられた感じですね?ついに。

小野:そうですね。

三木:コーヒーレンジャー。お家は今どこですか?

小野:ここから歩いて10分ぐらい。

三木:引っ越したんだ。色々なことがあって。

小野:はい。色んなことがあって。ちょうど1年前の2月。

三木:どうですか?葉山に住んでみて。

小野:葉山は良いですね。静かですね。通勤が大変になりましたけど。今東京駅丸の内まで毎日通ってます。

宇都宮:横須賀線1本じゃん。

小野:そうです。1本だから座って行けるから。

宇都宮:逗子からだったら始発座って行ける。

三木:電車の中で本を読んだり?

小野:電車の中で本を読む時間もなく。コーヒーのメルカリでこうやって出品してるっていう。

宇都宮:商売人ですね。スマホで仕事ができる。

小野:スマホで注文受けられるってすごいなって。

宇都宮:メッセージもすぐ送れるしね。

小野:そうです。便利だなって。

宇都宮:時代ですよね。

小野:本当にありがたい。

宇都宮:週末はだいたいここに?

小野:もうほとんどここです。土日は。夜もほとんどここです。

三木:戻って来ました。ご案内ありがとうございました。


●長年勤めた会社を辞めてからの心の変化

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三木:ちょっとお伺いしたいのが、5年前は普通のサラリーマンをされていて、そして1回会社を離れ、紆余曲折を経てここに至る。多くの50代のサラリーマンが同じように「あれ?俺の人生これで良かったんだっけ?」みたいな方が増えてると思うので。

宇都宮:急に気づきますよね。がむしゃらにやってきたのが良かったのかなみたいな。

三木:そういう方に参考になるお話を伺えればなと思うんですが、5年かかってここまでトランスフォーム=自己変容されてきて、変わる前と今で比べるとどういうところが自分が心の変化があったのかなみたいな。

小野:そういう意味では辞めちゃったこと自体は今になってみればしょうがないっていうのはあったんですけど、収入源がなくなると気持ちがダメなんです。不安だけが先に立っちゃうから、焦りとかそういうマイナスのことばかりが頭の中に出てきちゃうので、恐怖とかが出てくると逆に自分の好きなこと、楽しいことをやろうっていう気持ちが萎えてきちゃうっていうか、小さくなっていっちゃうんです。それに後で気づいたっていうのが正解だと思うんですけど、僕はサラリーマンに復帰しました。前の役員やってた会社で一般社員として復帰したんですけど、それもいいかなと思って。社長にお願いしたら「何でもやるんだったらいいよ」っていう感じだったので、それで復帰して。

宇都宮:喧嘩別れしなければ良かったんですよね。良い感じで辞めれば。

小野:そこである程度安定的な収入が得られたので、そこからのほうが割と色々できるようになってきたことに気づいて、当然時間的な制約は出ちゃいますけど、その限られた時間の中で思いっ切りやることのほうがもしかしたらいいかもしれないです。

三木:これをご覧になっているもやもやされているサラリーマンの方も今の仕事は辞めないで、ある程度仕事の分量を落とせるのであればそういうモードにした上で、時間を作って自分の好きなことに着手する。

宇都宮:小野さんは辞める前もサラリーマンだったわけじゃないですか?安定的な収入もあって生活が安定してて、今と同じく祝日もあったわけでしょ?その時と今と条件で見れば変わらないじゃないですか。逆にむしろ給料が減ってるわけじゃないですか。その比較は何かあります?

小野:生活っていうか物の考え方も変わってきて、色んな物を買う喜びとか所有する喜びみたいなのが昔はあったと思うんですけど、車とか洋服とか鞄とかそういうところには全く興味がなくなって、それよりも…

三木:作る?生み出す?

小野:作ったりとかみんなで何かやろうとかそういうほうに気持ち的には変わってきました。

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宇都宮:でもオシャレじゃないですか。

小野:これもものすごい安い手ぬぐいで、スカーフじゃなくて手ぬぐいでいいんですよ。これ手を洗った時にここでふけたりとか、よだれをふけたりとか。

宇都宮:マフラーじゃないんだ(笑)。

小野:手ぬぐいなのですごく機能的だったり。

宇都宮:でも柄があると違いますよね。

小野:こういう作務衣なんかもなくディスカウントショップで買ってきたりとか、帽子もこれ500円なんですけど。

宇都宮:足元も地下足袋で。

小野:仲間に作ってもらって。

三木:無ければ生み出せばいいみたいな。

小野:はい。

宇都宮:買うわけじゃなくても別に生み出せばいいみたいな。実際部屋もDIYしてますもんね。

小野:そうですね。


●葉山ファクトリーの今後について

小野:僕の今の想いっていうかこうなればいいなと思ってるのは、ここの葉山ファクトリーっていう場所はみんなで色んなものがシェアできる空間。だから究極に言うとお金がなくてもここに来れば生きていけるよみたいな、コーヒーとか食べ物あるし…

宇都宮:食堂もありますもんね。キッチンも立派だから。

小野:そうですね。自分で自分のものを買うんじゃなくて、みんなでシェアすればいい。ここの中でそういうことができれば面白いなと思ってるんです。

宇都宮:電気も作ればいいし。

小野:そうです。それぞれ色んなスキルの人がいるから、それぞれのスキル自体をシェアし合うことができると面白いなと思ってて。

三木:人間関係もかなり変わったと思うんですが、会社の時はどういう人間関係…?

小野:当時は週末といえばゴルフに行ったりとか。

宇都宮:それは何のゴルフなんですか?

小野:お付き合いとかがほとんどでした。それはそれで悪いとは思わないですけど、そうではない人達と付き合っていく中で、本当に心から楽しめるっていうのは感じました。

三木:今心から楽しんでる感じなんですか?

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小野:そうですね。別に誰に気を遣うわけでもなく、自分達の好きなことをやっていく中で、みんなで何かやろうっていうよりも自分のやりたいことをみんなやればいいんじゃないのっていう感じ。そこに面白いと思ったことに周りが絡んでいくようなスタイルが良いなっていう感じです。何かに強制されるとか気を遣うわけでもなく、そんな関係性が非常に心地良いっていう感じです。

宇都宮:表情が違いますもんね。

三木:こちらでお付き合いというか仲間になった人達はどういう人達が?

小野:色んな人がいますよ。基本的にはそれぞれの仕事を持ってるし、家庭も持ってるし、その中で空いた時間ここに来て色々物を作ったりとか。

三木:サラリーマンの人もいるし…

小野:主婦の人もいますし。

三木:主婦とか、あとはどういう人ですか?

小野:あとは自分で自営している人とかですね。アフリカの布を使った洋服作ってる人もいたりして。

三木:クリエーターみたいな。

小野:そうですね。あとはデザイン家具を作ってる方とか、最近はアイスクリームを作る方がやって来たんです。葉山アイスという、葉山のふるさと納税返礼品にも選ばれてるような。

宇都宮:おいしそう。

小野:おいしいですね。葉山の棚田で作った稲を原料にしてるアイスらしいんです。

宇都宮:米?

小野:米で甘酒みたいなのを作る過程を経てアイスクリームにするらしいんです。

宇都宮:夏場販売してる感じ?

小野:ずっと年中販売してます。今道の駅でも売ってますし。

三木:すぐ近くですね。道の駅が。道の駅があると人がこっちのほうに来るんじゃないですか?

小野:そうですね。週末なんか道の駅が結構混んでるので、そういう人がここに来てくれるようにしたいなと思ってるんですけど、まだ認知度が低くて、何かあるようだみたいな分かりにくいっていう点もあるんです。その辺が今後の課題です。

三木:ぜひ(道の駅)葉山ステーションに来られた方は、ここにこんな素晴らしい場所がありますので。この場所はどういうことで使えるんですか?

小野:ここはカフェ営業している時はカフェとして使えるんですけど、元々はシェアキッチンっていう形で、色んなそういった食に関することでそれを仕事にしていきたいっていうよりも副業みたいな形でやってる人が多いんですけど、そういう人達が共有して使える場所ということです。

宇都宮:週末営業みたいな?

小野:そうですね。空いた時間はスペースレンタルも始めましたので。

宇都宮:スペースマーケットで借りられる。

小野:イベントやったりとか。

三木:時間いくらぐらいですか?

小野:今2,000円ですね。安いです。Wi-Fiもあるし、スクリーンもあるので。

三木:いいですね。食器とかも使ってもいいんですか?

小野:どうぞ使っていいです。

宇都宮:漫画も読めるし。

小野:漫画も読める。コーヒーもよければ。

三木:ここでzenschoolやってもいいですか?

小野:いいかもしれないですね。

三木:ありがとうございます。今日は小野さんのトランスフォーメーション(変容)を見ることができました。一時は結構ハラハラドキドキ心配していたんですが、ようやく前以上の素晴らしい笑顔になられて。

宇都宮:(ライフ)スタイルが決まった感じですよね。

小野:そうですね。

三木:落ち着いた感じで。人生100年時代ですから、100歳まで生きると50はまだ半ばですから、色んな人生が次の50年を送るためにも…

宇都宮:小野先輩に話を聞きたい方はぜひこちらへ。

三木:いくつもの仕事を変えながら自分の人生を作っていくっていうのが100年時代ですので、ぜひそういった塾をやってもいいんじゃないですか?中高年のためのトランスフォーメーション塾。

小野:50歳からの生き方みたいな。

三木:ここでやればいい。いっぱい来るよ。ジェットコースター人生の話を聞いて、ワークショップをやって、みんなでここでご飯を作って食べるみたいな。

小野:いいかもしれないですね。

宇都宮:昔の同僚とか昔の知り合いとか…

三木:わらわら来ますよ。これから伸び盛りのマーケットですから。

宇都宮:不安が増えていく年代ですよね。子供の手が離れてとか、奥さんも自由を謳歌し始めてとか、旦那さんだけは孤独を感じてお酒に行っちゃうみたいな。

三木:今日はありがとうございました。

小野:ありがとうございました。


対談動画


小野勝秋さん

:⇒https://www.facebook.com/coffeeranger


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