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第25回高円寺(2020.11.7)

こんにちは。全宅銭湯部のかもめ君です。

街を歩いている時、思い出が唐突にフラッシュバックして、呆然と立ち尽くしてしまうことってありませんか?

僕はこれを「棍棒を持った思い出」と呼んでいます。棍棒を持った思い出は街角のあちこちに息をひそめ、隙あらば心のやわらかい部分めがけて殴りかかってきます。

僕にとって高円寺という街は、東京で一、二を争う棍棒タウンです。パル商店街、高架下の赤ちょうちん、古着屋の洋服棚、木造アパートの外階段。とげとげの棍棒があちこちで顔を出します。

高円寺で棍棒に出くわすのは僕だけではないらしく、全宅銭湯部の面々も道すがら「あぁ…」とか「うぅ…」などと唸り、立ち止まったまま動かなくなっていました。

さて、阿佐ヶ谷「玉の湯」でひとっ風呂浴び、阿佐ヶ谷駅近くの居酒屋でガソリンを入れた一行が向かったのは、沖縄料理「抱瓶」。高円寺の居酒屋シーンはこの店抜きに語れない超有名店です。

店に入ると、例によってカウンターに棍棒が立てかけてあったのですが、なるべく見ないようにして二階の座敷へ。10人という大所帯を予約なしに受け入れてくれる最高の大箱でした。

何を話したのか。また、どんな料理が出たのかは覚えていません。

お店を出て例の薄い土地へ。見るのは初めてでしたが、イメージしていた10倍ぐらい薄いです。東海道線のロングシートぐらいの薄さです。

「せっかく来たからここでみんなでガッツポーズして記念写真でも撮りましょうよ。すいませーん」

棍棒で殴られすぎた誰かが発案しました。道行くギャルに声をかけたらすぐに応じてくれました。高円寺民は頭のおかしいおじさんたちにも寛容です。

で、撮影したのがこれ。

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気づけば野球さん親子と、野球さんのお子さんと精神年齢が近いしらいしさんは帰っていました。

さて、ここからは大人の時間だっ! ということで訪れたのは、なめ茸さん行きつけのガールズバー「アルカナクラン」。店に入るなり、なめ茸さんの十八番「ボラーレ」がさく裂します。

次に気づいたら外でした。店を追い出されたのかもしれません。そして、あくのさんがキャバクラの前で黒服の人と何か交渉しています。

あくの「すみませーん!この店で26万円払ったんですけど、今日入れますか?」
黒服「すみません。今いっぱいなんですよ~」
あくの「えー!26万払ったのに女の子にLINEブロックされたんですよ?それでも入れないんですか?」
黒服「すみません。今日はダメなんですよ!」

押し問答の末に結局入ることはできず、屈強な黒人ボーイが客引きをする別のお店に行くことに。熟女キャバでもないのに、なめ茸さんに四十代のギャルが付くという珍しいコンセプトのお店でした。

外に出ると、またあくのさんがさっきの店員と交渉していました。

「まだお客さんいっぱいなんですかー?」
「ですね~。すみませーん」

こんなにわかりやすい出禁見たことがありません。

高円寺の面白さは街全体がエネルギッシュなこと。コロナ禍の夜であるのが嘘のように人が楽しそうに過ごしています。ナイトタイムエコノミーってやつでしょうか。

イタい記憶と街の魅力は背中合わせなのかもしれません。多くの人を惹きつける魅力的な街だからこそ、棍棒を持った思い出がうろうろしているのだと思います。

そんな街に来年オープンする薄ーいお店「酒チャンス」。高円寺にお越しの際はぜひお立ち寄りを。ガッツポーズで記念撮影しているおじさんたちがいたらそっとしておいてくださいね。


銭湯部にご寄進頂くと、ありがたいご利益(サウナで反社と出会わない、いつ行っても水風呂がちょうどいい温度等)があると言われています